Music description

作品解説


  7   ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364
更新日時:
2006/07/17 
1979年ザルツブルクで作曲される。モーツァルトの本格的な唯一の弦楽器のための協奏曲とも言え、まさに、干天の慈雨である。私はこの曲の存在にとても感謝している。そのような意味では、シューベルトは小品しか遺さなかったためかなりの欲求不満に陥る。マンハイム=パリ旅行の成果が現れている曲であり、特にマンハイム学派の強い影響を受けている。主調は変ホ長調であるが、ヴィオラ・ソロ・パートは埋もれないように半音高く二長調で演奏される。また、小回りのきかないヴィオラは、ニ長調のほうが演奏し易いことも、もう一つの理由でもある。
 協奏交響曲は聞きなれない用語で、曲の性格自体も中途半端なので、定義は曖昧である。多くの人にとって、馴染みのない分野であるかもしれない。オーケストラのソロ楽器が華やかな演奏をするが、そうかといって、完全にソロを優先させてオーケストラが伴奏に徹する訳ではなく、交響曲的性質を残しているのが特徴である。18世紀の後半、パリ、マンハイム、ロンドンで流行した楽曲である。バロック的流れの(合奏)協奏曲の発展系ともいえる。
 協奏交響曲というカテゴリーに、私は音楽の楽しさを感じる。演奏する側と聴衆の緊張感もあるが、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲は演奏する側にも合奏を創りあげていく喜びが共有できる内容を持っているからである。
 第1楽章は分散和音で始まるが、その単純さゆえ、一気に聴衆は熱狂的な雰囲気に引き込まれていく。この楽章はヴァイオリンとヴィオラの対立要素が強い。第2楽章はモーツァルトにしては、原色的で、インターナショナルな響きではないので個人的には好きではないが、一般的には人気のある楽章のようである。演歌のような節回しに近いものがあり、日本人好みの曲調であるかもしれない。第3楽章は第1楽章に比べ協調的な流れで終結へ向かっていく。
 最近この曲を聴くと微妙な音のずれが気になるようになった。ヴィオラも変ホ長調で演奏すべきではないか?演奏上の技術的な問題であるような気がするので、誰かヴィオラを変ホ長調で弾いて欲しいと希望する。  
 
演奏・録音
 
 この曲に関しては、やはり、ライブ録音が楽しい。個人的には、田中直子&ナルド・ポイ オルフェウス室内管弦楽団 東京オペラシティー 1999年5月30日収録(個人的所有)が素晴らしいと思う。CDとしては同じオルフェウス室内管弦楽団 ドイッチュ・グラモフォン 1989年12月録音(ニューヨーク)を挙げておく。最近は、オーギュスタン・デュメイ&ヴェロニカ・ハーゲン(ドイチュ・グラモフォン) や五島みどり&今井信子(SONY) の優れたCDもあるが、まとまりすぎて、ライブの緊張感やスリルが欠けているような気がする。
 
Sinfonia concertante for Violin,Viola and Orchestra in E flat major K.364
 
Music was written in Zalzburg in 1979.It can be also called the cocerto for Mozart's fullscale only stringed insutrument.The 2nd movement may be the music tone of Japanese liking.
 


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