Music description

作品解説


  6   2台のピアノのための協奏曲 (第10番) 変ホ長調 K.365 
更新日時:
2005/11/27 
 作曲された日付は、はっきりしていないが、1779年初めと推定されている。
 ヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲 変ホ長調 K.364 との明確な関連が指摘されている。ピアノのパートは、モーツァルト自身と姉ナンネルが一緒に演奏することを念頭に作曲された。(第1パートをナンネルが担当)ヴァイオリンとヴィオラのための協奏曲と同じくマンハイム=パリ旅行の後に書かれている。二人のピアノ奏者が必要なためコンサートで聴く機会は少ないが、祝典的な催しで採り上げられる場合もある。
 モーツァルトの失意の時代に作曲された曲であるが、変ホ長調という雄大な調性を選び、社交性のある輝きのある作品となっている。周知のとおり、現代のように情報が発達している環境とは違い、モーツァルトにとっての旅は、作曲の手法を吸収するうえで重要な意味をもっていた。その一方で、私生活上この旅で母が亡くなっており、決して楽しい旅ではなかった。作曲家の心情とは別の次元で作曲されているのが、モーツァルトの作品、あるいは、古典派の作曲家の特徴ではある。しかしながら、2台のピアノのための協奏曲を聴いていると母親と同じ名前を持つ姉ナンネルの存在が大きく影響しており、モーツァルトにとって、母亡き後は心の慰めになっていたのではないかとも思われる。
 第1楽章は模倣的な競い合い、第2楽章は静かな協調、第3楽章は開放的な軽やかな曲調であるが、中間部はバッハ的な響きをみせる。
 (この稿を書き終えた後、アインシュタインの著作を読んでみたところ、この作品にかなりのページを割いて、モーツァルトの作品は伝記的体験とは関係ないとも述べており、同じような印象を記している。但し、ナンネルの重要性については語っていない。)
 
演奏・録音
 
 2台のためのピアノ協奏曲は録音点数が少なく、現在のところ、推薦する演奏はない。
 
Concerto for two pianos and orchestra in E flat K.365
 
Although the composed date has not clarfied,it is presumed to be the beginning of 1779.
The part of the 1st piano was composed bearing in mind that elder sister Maria Anna 2 "Nannerl" performs together.The mother had passed away by the Mannheim-Paris travel.This music composed by the time of disappointment of Mozart. But E flat major is chosen and it has becom a work with sociable brightness.The feature of Mozart's works are written at the dimension different from a composer's feelings.However,if the Concerto for two pianos and orchestra is listened to,existence of "Nannerl"will have influenced greatly.
 
 
 


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