モーツァルト自身の目録によると、1786年3月24日、ヴィーンで作曲された。それから、間もない、4月7日、ブルク劇場でモーツァルト自身のピアノ独奏で初演された。実際には初演というよりも試演のような感じだったのかもしれない。遺されている自筆独奏パート譜はスケッチ程度である。おそらくモーツァルトの頭の中では仕上がっていたのであろうが、いきなり演奏会に臨んだに違いない。それを裏付けるように、専門家によるとテクスト上の問題があるという。モーツァルトは作曲の分野を除き、自分自身をピアニストだと考えていた。優れたピアニストであるモーツァルトだったからこそ、いきなり本番のようなことが可能だった。それを証明するかのように、ヴァイオリン・ソナタやヴァイオリン協奏曲は数も少ないし、あまり力が入っていない。
モーツァルトのピアノ協奏曲は全部で27曲あるが周知のとおり、短調の曲は、第20番 ニ短調 と、この 第24番 ハ短調 の2曲しかない。モーツァルトの魅力は基本的に長調の輝きにあると思うが、ピアノ協奏曲に関しては短調のこの2曲を先に挙げなければならない。私が10代のころはニ短調の曲が好きであったが、最近は第24番のハ短調を聴く比重が大きくなってきている。
ピアノ協奏曲第24番は、管楽器の表現が広く深くなり、交響曲的色彩も強く出ている。ピアノ協奏曲の頂点であり、モーツァルト以降このピアノ協奏曲に匹敵する曲はないと断言できる。
演奏・録音
演奏としては、2001年1月27日、準・メルクル 指揮 イングリット・へブラー(ピアノ) NHK交響楽団 NHKホール 第1426回定期 の演奏が素晴らしい。へブラーはモーツァルト弾きであるが、あの巨体から醸し出される雰囲気は凄い。男性が弾いているようである。メルクルも隙がなく、逸材である予感がする。(但し、個人的所有のも)
CDとしては、イゴール・マルケヴィッチ 指揮 クララ・ハスキル(ピアノ) ラムルー・コンサート・オーケストラ を挙げておく。ハスキルは既にモーツァルト演奏家として評価が確立している。1960年の演奏であるが、ハスキルの貴重な演奏がステレオで遺されている。第1楽章は、ピアノ協奏曲としては異例の3/4拍子であるが、マルケヴィッチの指揮するアレグロのテンポはやや速く、劇的な緊張感を創り出している。
Piano Concerto No.24 in C minor K.491
According to Mozart's own table,music was written in Vienna on March 24,1786.It is the peak of a piano concerto and it can be declard that there is no music which is equal to this piano concerto after Mozart.
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