すみれ (Das Veilchen) は、1785年6月8日、ヴィーンで作曲された。(自筆作品目録) 作詞は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (1749〜1832)による。
クラシック音楽に関心のない人にも有名な曲である。個人的な体験で恐縮するが、どういう訳か私は20歳代半ばまでこの曲を聴いたことがなかった。ある時、クラシック音楽に関心がない知人に、歌曲すみれについて尋ねると知人は知っており、少なからず、ショックを受けた。おそらく、小中学校の音楽の授業で習ったのだと思うが、私にはそのような経験がなかった。多感な時期に、このような名曲に出会えなかったことは非常に不幸なことだった。私は音楽教育や教師については恵まれず、何一つ得るものはなかった。
モーツァルトの作品は、かわいいすみれが少女に踏み潰されてしまう経過を劇的に表現している。モーツァルトはピアノ伴奏の独唱曲を約30曲遺しているが、フォン・ゲーテの詩はこの曲だけである。しかしながら、文献によるとモーツァルトが手にした本は作詞者が別の名前になっており、フォン・ゲーテの作としてはほとんど認識していなかったという指摘もあることを付記しておく。
ドイツ・リートの完成はフランツ・シューベルトによってもたされるが、モーツァルトの作品はこの分野においても先駆けとなっている。ドイツ・リートの席巻を予感させる。すみれを聴くとドイツ語がよく分からない私でも、美しいことばと曲が調和・一致していることが理解できる。このようなインターナショナルな文化を持つドイツ人がなんとも羨ましい限りである。
演奏・録音
CDについては、最近優れた歌手がいないため、やや録音が古いが、EMI エリー・アメリング イエルク・デムス(ピアノ) 1969年12月録音 を挙げておく。音質自体は悪くない。
Lieder "Das veilchen" in G major K.476 :Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832)
Music was written in Vienna on 1785 June 8.It is music famous also to those who are not inerested in classical music.Although Mozart has left about 30 musics of solo music piano accompaniment,von Goethe's poetry is only this music.
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