≪地下9階−1≫
昇降機を使って下りてくる。そして左右を見渡すと、なんじゃこりゃな光景が広がっていた。
ここは1本道。その両側にびっしりとつけられた扉・扉・扉。しかもそのほとんどがモンスターの住処になっている。まるで6畳一間の2人部屋が3桁もあるという、私が暮らしている寮みたいだ。どうやらモンスターたちの住宅事情はかなり厳しいらしい。小部屋で4人の巨人と遭遇したときなど、同情して涙を流してしまったくらいだ。もっともダークプリースト(闇司祭)が5人も集まって、4体ものジャイアントゾンビ(巨人のゾンビ)を護衛にして暮らしているのを見たときには、「こいつらアホや」と思ったが。
しかし驚いた。外伝2が日本的な要素の強い作品であることは以前に書いたが、まさかこんなところまで日本的になっていたとは・・・。
ユーザーの想像を上回る作品を作るのがプロならば、これぞまさしくプロの作品。オススメ度は、当然「5」に決定である。
≪地下9階−2≫
どうでもいい話の第2段。
ボルタック商店で戦利品を売り払っていたとき、面白いことに気が付いた。それはファルナが装備している物の売値(順番もこの通り)。
支えの盾 |
1000G |
まっぷたつの剣 |
2000G |
極上の鎧 |
3000G |
銀の小手 |
4000G |
鋼のすね当て |
5000G |
鉄仮面 |
6500G |
実に惜しい。まるで宝くじで、1等の前後賞のさらに1番違いを引き当てたような気分だ。いや、もちろんそんな経験などないのだが。
≪地下9階−3≫
エディシアがついにカルフォの魔法を覚えてくれた。レベルは17。10回目の正直だ。やれやれと思った私だが、念のために全員の魔法修得状況を確認してみることにした。カルフォは実用的な魔法だから気になっていたが、ウィズには誰も使わないような魔法がいくつもある。だから私が、未修得であることに気付いていないだけという可能性もあるからだ。
・・・案の定、リュードがカルキという防御魔法を覚えていなかった。ロードの場合レベル4から修得可能になる最低ランクの魔法を、16レベルになってもまだ覚えていなかったのだ。連続失敗回数、なんと13。
アレとは違って、リュードは非常に優秀な冒険者だ。冒険開始直後こそあまり役に立っていなかったが、凶悪魔法カニトを修得してからは主力となり、現在ではカシナートの剣、ティルトウェイト、マディなどを使いこなす、パーティの大黒柱だ。そんな彼が、なぜこんな失態をやらかしたのだろう。実力は十分。ならば足りないのは運なのか?
このパーティで “運” といえば、奴しかいない。彼は幸運の女神に取り付かれたのだろうか。
・・・そうか。奴はビショップに転職したときに、同時に疫病神にも転職していたんだ!
≪地下9階−4≫
カシナートの剣をまたもや入手した。今度はファルナが装備する。ちなみにもう1人の前衛であるクライスは、達人の刀を装備しているのだが・・・。
これの英語名はマスターカタナ。語感のショボさから、竹光を想像してしまうのは私だけだろうか。
≪地下9階−5≫
装備が充実してきたため、この階の探索を始める。やがて私たちは、ゴミが山積みになっている部屋を発見した。噂では、迷宮内で捨てたものがここに集められるらしい。どうやらモンスターの中には、ボランティアでゴミ拾いをしている者がいるようだ。たぶん友好的なモンスターとして出会う奴らだろう。人間よりもずっと奇麗な心を持っていそうだ。
そこのあなたっ! ゴミのポイ捨てをしていませんか!? 山、海、道路、その他もろもろはみんなの物です。つまりあなたの物でもあるんです。自分の物を汚して平気ですか? あなたはゴミを自分の部屋に捨てますか!?
・・・すいません。これから部屋掃除をしますので、今日のプレイ日記はここまでにします。
≪地下9階−6≫
この階は、まさに鍛えろといわんばかりの構成だった。だからしっかり鍛えさせてもらった。レベルはそこそこだが、この時点での最強装備になっているはずだ。
冒険者にとって、戦闘力は自信につながる。そして自信は勇気を与えてくれる。今の私たちならば、未知の危険にも対抗できるはずだ。そう感じたからこそ、私は決断を下した。
私たちは地下10階へとつながる、底の見えない落とし穴の周りに集まる。
さあ、行こう。最後の冒険に。
さあ、行こう。呪われた姫と、アルマールの街を救うために。
さあ、行こう。いまだ名前も分からぬラスボスのもとへ!
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