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≪長めの小話≫ 


【昔話メドレー】

 昔々あるところに、桃から生まれた桃太郎という若者がいました。やがて立派に成長した桃太郎は、人々を苦しめる鬼を退治するために、鬼が島に向かって旅立ちました。
 その途中で犬に出会いました。

犬「ももたろさん、ももたろさん、お腰につけたキビダンゴ、一つ私にくださいな。」

 こうして桃太郎のお供になった犬は、途中で吠えてこう言いました。

犬「ここ掘れ、ワンワン!」

 桃太郎が地面を掘ると、なんと大判小判がざっくざく。そこにサルが現れました。

サル「ももたろさん、ももたろさん、財布に入れた大判小判、少し私にくださいな。」

 こうして桃太郎のお供になったサルは、途中で出会ったカニにこう言いました。

サル「カニさん、カニさん。そのおにぎりと私の柿の種を交換してくださいな」

 サルのおかげでお弁当を手に入れた桃太郎は、今度は罠にかかって泣いているキジに出会いました。助けてあげると、キジは美しい女性の姿になって、こう言いました。

キジ「ももたろさん、ももたろさん、私をお嫁にしてくださいな。」

 「あの話ってツルじゃなかったかなぁ。」と思いながらもキジをお供にした桃太郎は、鬼が島へ渡るために浜辺へと向かいました。するとそこでは子供たちが、1匹のカメをいじめていました。

桃太郎「このキビダンゴをやるから、そのカメを私にくれないか?」

 桃太郎はカメをお供にしました。

カメ「助けてくれたお礼に、竜宮城へ連れて行ってあげましょう。」
桃太郎「いや、それ、行き先が違うから。それ以前に、浦島太郎の話になってるから。」
カメ「何をおっしゃる、ももたろさん。とっくに別の昔話が混ざっているではないですか。」

 桃太郎は「それもそうだな」と納得し、竜宮城へ行ってみることにしました。
 竜宮城では乙姫様の歓待を受け、タイやヒラメの舞い踊りに心を奪われ、しかし鬼退治の使命を忘れなかった桃太郎は、お土産に玉手箱をもらって竜宮城を後にしました。
 鬼が島に着いた桃太郎。そこでは鬼が痺れを切らして待っていました。

桃太郎「待たせたな、鬼!」
鬼「遅いぞ桃太郎!」

 鬼は金棒のさやを投げ捨て、それを見た桃太郎はこう言いました。

桃太郎「鬼、破れたり!」
犬「ももたろさん、それ昔話ですらないから。」

 犬に突っ込まれて恥ずかしくなった桃太郎は、八つ当たりして鬼をやっつけました。
 使命を果たした桃太郎は、お腹がすいていることに気がつきました。そしてカニからもらったおにぎりを食べようとしたところ、すってんころりんと転がしてしまいます。おにぎりはネズミの穴に入ってしまいました。
 桃太郎は鬼が持っていた打ち出の小槌をキジに振ってもらうと、桃太郎はどんどん小さくなり、ネズミの穴に入れるほどになりました。桃太郎はおにぎりを取り返すために、ネズミの穴に入りました。

ネズミ「おいしいおにぎりをありがとう。お礼にお供になりましょう。」

 「今さらお供を増やしてもなぁ。」と思う桃太郎でしたが、せっかくの好意を断ることもできず、ネズミは5匹目のお供になりました。

 小さくなったままの桃太郎は困りました。どうすれば元に戻れるのだろうかと。そしてダメもとで玉手箱を開けてみました。すると玉手箱からモクモクと煙が立ち込め、それを浴びた桃の枯れ木が見事な花を咲かせました。
 その桃の木はあっという間に実を実らせ、その中でひときわ大きな桃が桃太郎をパクッと食べてしまうと、すぐ下を流れていた川に落ち、下流へと流れていきました。
 その桃を、川で洗濯していたお婆さんが見つけました。そして家に持ち帰って桃を割ってみると、中から元気な男の子が飛び出してきましたとさ。
 
 サンプルエッセイも、ぜひ御覧ください。お願い、読んでー。

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