≪秋の月、10日(水)≫
今日はグルテンさんの誕生日。甘いものが好きなので、むしカステラをプレゼント。でもプロの料理人に料理をプレゼントするのって、緊張するよなー。
さて依頼はモニカちゃんから。シアには内緒で聞きたいことがある・・・って、なんだろう?
モニカ「おねえちゃんのことスキ?」
こんなことはっきり聞かれたら、答えにくいんだけどなぁ。
モニカ「おねえちゃんのことスキだと、ちょっと悲しいな・・・・・・。だって、・・・・・・モニカだって・・・・・・。」
ああ、そういうことか。可愛いなぁ、モニカちゃん。
モニカ「でもね! おねえちゃんじゃない人をスキだと、もっっと悲しいんだよ・・・・・・。ぐすっ・・・・・・。」
ホント可愛いよ、モニカちゃん!
子供は大人に憧れる。恋をすることも珍しくないだろう。でもそんな人だって自分が大人になっていき、周囲の人も大人になっていくうちに、自然と同世代の人に恋をするようになる。人間ってそういうものだと思う。
・・・そういう私はどうなんだろう。
この町に来て、いや記憶を失ってからはじめて好意を持った女性であるエリザさん。私は彼女のどこにひかれたのかずっと気になっていた。でもモニカちゃんのおかげで気づくことができた。私のエリザさんに対する好意、それはモニカちゃんの私に対する好意と同じものなのではないだろうかと。
同世代の女性の中で、もっとも大人っぽく見えたエリザさん。そんな彼女に憧れたのは、私が子供だったからなのだろう。
でもそれから1年半。わたしは大きく成長したと思う。エリザさんが子供っぽく見えるくらいに。そして子供っぽく見えていた他の女の子たちも、みな立派に成長した。エリザさんへの恋心が薄らいできたのは、無理もないことなのかもしれない。
エリザさんに好かれたい。そんな気持ちが私を成長させたことは間違いない。だからエリザさんには感謝している。でも・・・。
・・・私の初恋よ、さようなら。私はあなたとは違う人を選びます。
今日、私は失恋した。一方的な恋心であり、一方的な失恋だったが・・・私にとっては辛い決断だった。でもおかげで私は、また少し大人になれたような気がする。
もっとも恋心が失われても、友情は少しも欠けてはいない。だからエリザさん、これからも友達としてよろしく!
≪秋の月、11日(木)≫
今日の依頼はダリアから。「レインボー・ドリーム」「はかないわね・・・・・・。」って、訳の分からない手紙だな。こういう場合は推測するよりも、直接会って聞くほうが早いことが多い。もっとも聞いたら最期ということもあるわけだが。
ダリア「ヨシヒトくんは夢ってある? わたしさ・・・・・・。塔を建てたいんだ。」
シアレンスの樹よりも大きな塔を建てて、世界を見渡したいらしい。「山に登ればいいじゃん。」と突っ込んではいけないんだろうな。芸術家なんだから、自分でやり遂げることに意味があるんだろうし。
ダリアは子供のころに教会の塔から見た景色に圧倒され、それを自分の手で再現し、世界を自分の作品に収めたいのだという。芸術家らしく、スケールの大きな夢だなぁ。
もっとも私の夢だって負けてないけどね。モンスター軍団を率いて世界を征服!
・・・ではなくて、モンスター牧場を生かして人とモンスターの交流を実現させることだから。
結局この依頼はダリアの夢を聞いてあげることで一応は終了。ただしついでと言うことで、いつか必要になるかもしれない塔の建造に必要な木材を、20本だけ準備することにした。先日の台風で切り株が大量発生したから、20本くらいは簡単だ。そして、依頼完了。
ちなみにこの依頼の途中でダリアに話しかけると、「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」と音声で言ってくれるのだが、これがなんだか面白くて、依頼そっちのけで何度も聞いてしまった。
「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」「どうした、助手くん!」「それいけ、助手くん!」
たぶん、これくらいは聞いたと思う。
≪秋の月、12日(金)≫
今日の依頼はショコラから。前回の依頼で料理試験に落ちた後、色々と考えていたようだ。そして今日、「良かったら少し時間をください。」ということなので、再試験、あるいは予行練習をするつもりなのだろうか。
そして2人で花畑へ。ショコラはお弁当を作ってきてくれたらしい。そしてそれを食べて・・・! 美味しい! これはどうやって作ったんだ!?
料理試験の時との違い、それはショコラが自分の好きなものを作ったのか、それとも食べる相手が好きなものを作ったのか、ということらしい。相手が好きなものを、相手が喜んでくれる料理に仕上げること、それがあれから考えた結論なのだと。
私はショコラに勇気づけられた。頑張れば花は咲くのだと。私ももう逃げたりはしない。
へーんしん!
ショコラ「ええ〜っ!? なななな何それ!? どどどどどどどどゆ事・・・・・・?」
ショコラはびっくりしていたが、やがてそれは笑いに変わった。
ショコラ「こんなんじゃ全然怖くないよ。」
モコモコだしなー。
でも良かった。私のもう1つの姿も受け入れてもらえて。
そして私たちは花畑を後にした。ショコラの再試験の時にも、私が協力することを約束して。今のショコラならきっと合格するさ。だから頑張れ! 私も交流祭の成功を目指して頑張るぞー!
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