≪夏の月、5日(木)≫
今日も朝から雨。カリンまた働いたな。いったいどうしたんだ!?
依頼はショコラから。ラスクの好き嫌いを治したいという。ところが掲示板にそんなことを書いていたため、ラスクはそれを見て逃げ出したらしい。ポストに入れてくれれば良かったのに・・・。
ともかく、ラスクを捕まえてくればいいんだな。居場所はマップを見れば一目瞭然だ。あ、木の裏に隠れているな。
その後何とか説得し、ショコラの料理を一口だけでも食べるという約束をさせることができた。ところがその後のショコラの話では、料理を全部食べてくれたという。ラスクもこのところは好き嫌いをなくそうとする気持ちができていたし、ショコラの料理もおいしかったんだろうな。
・・・で、これで終わり? 無難にまとまった終わり方って珍しいな。きっとこの後、とんでもないオチが待っているに違いない。
・・・と思いきや、そのまま依頼は完了し、報酬をもらってお終い。
・・・・・・って、これで本当に終わりなのか!? 終わっていいのか!? おーい開発者さん、ここが踏ん張りどころだぞー! 本当に終わっちゃっていいんですかー!?
≪夏の月、6日(金)≫
今日はペルシャの誕生日。プレゼントは当然のようにイカさしだ。
ペルシャ「イカしているね!」
本当にイカのことしか頭にない子だな。あ、お風呂の仕事も大好きだったか。ついでだ、今日の依頼はペルシャからのにしよう。
そして旅館に行ってみたら、倒れて寝込んでいた。まさかイカさしにあたったのか!?
さくや「働きすぎで倒れるやなんて、どんだけ商売好きなんよ!」
あー良かった。私のせいではなかったらしい。ともかく、見舞いに焼きイカでも持っていこうということになり・・・。
ペルシャ「あ、焼きイカだー。おいしそー。なんだか悪いな、こんなに優しくしてもらっちゃって・・・・・・。早く元気になって、もっともっとがんばらないとね・・・・・・っ!」
・・・そんなに無理しなくてもいいのに。今までだって十分に頑張っていたんだから。
そう言うと、ペルシャは仕事のできない自分には居場所がないと言い出した。天真爛漫で能天気に見える彼女だけれど、実はそんな風に思いつめていたんだな。
でも私には、ペルシャがただの従業員だとは思えない。さくやもしののめさんも、ペルシャを本当の家族のように思っているように感じる。それに今のペルシャがあるのは、ペルシャ自身の努力によるもので、与えられたものでもないはずだ。
・・・という私の励ましで、ペルシャは元気を取り戻したようだ。うんうん、ペルシャには笑顔が一番似合ってるよ。
頑張れば、誰だって1人前の人間として認めてもらえる。そして町の住人として受け入れてもらえる。そんな当たり前のことが当たり前のこととして通用するこの町は、本当に素晴らしいと思う。私もペルシャに負けずに頑張らねば。そしてモンスター軍団を率いてこの町を、さらにはこの国を征服するのだ! ゆくぞ、モンスター軍団の精鋭たちよ!
【モンスター軍団】
ヒツジ 4匹
リス 3匹
カメ 1匹
ニワトリ 2羽
アヒル 2羽
ペンギン 1羽
ウシ 4頭
ゾウ 1頭
ハチ 1匹
・・・無理っぽい。
≪夏の月、7日(祝)≫
ひゃっほーう! 今日も朝から雨だー! 必ず晴れるお祭りの日を除くと、今月は6日中で4日が朝から雨! カリン偉い! お仕事、これからも頑張ってくださいよ! そしてジャンジャン雨を降らしてくださいよ!
しかし何なんだろうか、この変わりようは。もしかして、私が鍛えてあげた結果なのだろうか。
そこでカリンの様子を見るため、彼女からの依頼を受けてみた。
カリンの話によれば、「楽をするために苦労して都会に行こうとするのは間違っていた。なぜならこの町を都会にするほうが楽そうだから。名付けて・・・名前を考えるのがめんどくさい作戦。」
・・・ということらしい。そしてそのために、雑貨屋で都会らしい物を売り出すらしい。ヘーゼルさんに反対されて店の大改造はできなかったが(当たり前だ)、カリンが選んだ品を店に置かせてもらうことになった。カリンは珍しくやる気だ。どうしたんだろう?
カリン「分かんない。でも、なんとなく楽しいの。」
私が思っていた通り、カリンは生来の怠けものではない。心の奥底に眠っていた自分らしい生き方ができることに、これまで感じたことのなかった充実感を覚えているのかもしれない。
そしてトゥーナに頼んでいたという売り物を受け取りに行った。
・・・で、すごいクズ鉄ってなに?
(説明)すごい貴重なクズ鉄ではなく、すごいクズな鉄。
・・・レアな空き缶や超失敗作の姉妹品だろうか。こんな物を売ってどうするんだろう? ・・・って、まさか都会人ソフィアが好きなものを売ろうとしているの? ソフィアが例外中の例外的な都会人だってこと、理解してる?
さらにカリンがエリザさんからもらった服も売り場に並べることになった。お気に入りの服らしいが、それを売りに出すというのだから、カリンは本気だ。本気なんだけど・・・。売れていないデザイナーの服を並べて、売れるんだろうか?
そしてカリンは店番を始めたのだが、さすがはド田舎のお店。お客は一人も来ない。カリンは申し訳なく思ったのか、私にもう帰っていいと・・・。
そして店を出たら、面白い現場に出くわした。なんとヘーゼルさんがマージョリーさんを誘ってサクラになり、宣伝活動をしていたのだ。
・・・そうだな、宣伝しなければ!
私は町中を回り、カリンの店のうわさを広めていった。
そして最後にカリンの店で買い物。買ったのは普通の雑貨だが、初めてカリンの本気の接客姿を見ることができた。ときおり眠そうにしてはいたが、それでもこれまでに見たことがないほど輝いていた。
会計が終わった後、私がいなかった時のことを聞いてみた。お客さんの数は凄かったらしいが・・・肝心なものは売れなかったらしい。
そして失意のまま店じまいをしようかという時に、ソフィアとトゥーナがやってきて、クズ鉄を買って行った。最後にヘーゼルさんがやってきて、やはりクズ鉄を手に取り・・・。
ヘーゼル「あんたが自分から働こうとするなんて、これっきりかもしれないからね。これはその記念だ。貴重なものになるよ。」
結局カリンが売りたかったものは、身内にしか買ってもらえなかった。・・・世の中そんなものだろう。でも同情で買ってもらったのではなかったことも確かだ。変わった物ばかり売っていたから、変わった人や変わった理由がある人にしか買ってもらえなかった。それだけだ。
でも・・・。
カリン「このまちも、そんなに悪くないかな・・・・・・。」
今日という日は、決して無駄ではなかったと思う。カリンの未来に幸あれ!
しかしあのカリンが、これだけ頑張って働いたんだ。・・・明日は台風かなぁ。
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