≪冬の月、２７日（火）≫

　今日の依頼はラスクから。野菜を持ってきてほしいらしいが、はて、ラスクって野菜嫌いのはずなのに・・・。
　そうか、明日行われる「冬の野菜コンテスト」に出品する野菜を欲しがっているんだな。このズルっこめ！
　と思っていたら、実は嫌いな野菜を頑張って食べてみるつもりだったらしい。なんだ、真面目な理由か。つまらん。
　・・・などと思っちゃいけないんだよな。私はこの町のために真面目に生きることにしてたんだからさ。そこで旬の野菜であるカブを渡してみたのだが、ラスクはお菓子の材料になる野菜を求めていたのだ。カブの入ったお菓子って・・・ま、まあ、きっとパティシエならば何とかするだろうな。エセパティシエモドキダマシじゃなければ大丈夫だろう！

≪冬の月、２８日（水）≫

　今日は「冬の野菜コンテスト」の日だ。私はほかほかの実レベル２で参加だ。
　・・・今、足元をナスが走っていったような・・・マリオン、また何かやったのか！？
　と、ともかくコンテストだ。

　【結果】

　「野菜ってなに？」と言っていたペルシャが３位って、この祭りはどれだけレベルが低いんだ。みんな本当に野菜を育てているのか？　そこら辺に生えていた雑草とかを出品しているんじゃないだろうな。もっともマリオンはさすがにランク外のようだが・・・もしかして、マリオンが育てた野菜もどきが優勝する可能性もあるのか？　もしもそんな日が来たりしたら・・・この町は終わりではなかろうか。
　広大な畑を所有する牧場主の誇りにかけても、マリオンにだけは負けられん。そう誓った私だけれど・・・そもそもほかほかの実ってなに？　これ野菜？　食べれるの？
　・・・もしかしたら、みんな同レベルなのかもしれない。この町の未来は暗いぞ、多分。

≪冬の月、２９日（木）≫

　今日の依頼はクルルファさんから。集落の人とは仲良し度が低いので、優先的に依頼をこなさないとな。
　そして依頼は甘いものが食べたいので、焼き芋を持ってきてほしい・・・。
　・・・いつものことだけど、本当に子供のお使いだな。しかし集落は砂漠にあるせいで物資が手に入りにくいらしいから、これはこれで重要なことなのかもしれない。さつまいもは保存していたから、この依頼は簡単だ。というわけで完了。
　お次はソフィアからのモンスター討伐依頼をこなして・・・夕方６時か。明日は大晦日で夜更かしする予定だから、今日は早めに寝ようかな。

　しかし、明日で今年は終了か。やりのこしたことはないだろうかと振り返ってみたのだが、別に今年中にすべてを終わらせる必要なんてないんだよな。あせらず行こう、のんびりと。

≪冬の月、３０日（金）≫

　今日は夜更かしをして風邪をひく予定なので、病院へ行って風邪薬を購入。ついでに町を回っていたのだが、大掃除をしている人を時々みかけた。そういえば私って、掃除なんてしたことないぞ。大丈夫なのか、あの家。普段行かないトロフィールームなんて、樹海になっているんじゃないか！？
　怖くて、とても掃除には行けません。

　ともかくカウントダウンまで時間はたっぷりとあるため湖で釣りをしていたのだが、湖の真ん中に神殿らしき謎の建造物があるのを発見した。なんだろう、これ。５つ目のダンジョンなのだろうか。しかし扉が固く閉まっていて入れない。ともかく覚えておこう。きっと重要な存在だろうから。

　そして夕方。エリザさんを誘ってみたが、なんとなく後ろめたい。「私はこの人を、１人の女性として好きなのだろうか？」そんな迷いがあるからだ。なのでしばらくブラブラした後で、別行動をすることにした。今年のカウントダウンは１人で過ごそう。ちょっとさびしいけれど、今の私はこれでいいと思う。無理に恋人を作る必要なんて、これっぽっちもないのだから。

　そして０時になった。どこからか花火の音がする。

　「あけましておめでとう！」

　そんな声が、あちらこちらから聞こえてくる。さあ、今日はみんなで夜更かしするぞ！　恋人がいなくても、みんなで過ごせば寂しくないぞ！　むしろ恋人がいないからみんなで過ごしたいぞ！
　・・・と思っていたのに、何時間もたたないうちに、みんな自宅にこもってしまった。しかもドアには珍しく鍵までかけて。まるで私を締め出そうとするかのように。
　誰かー！　私と遊んでよー！

　村八分にあった私に、はたして交流祭を成功させることができるのだろうか？
　こうしてシアレンスの町での２年目は、前途多難な幕開けとなったのだった。

　ちなみに仲良し度は、カリンが９でカルロス兄貴が７、ほかの町の人は８、集落の人とは６〜７。上限の１０が見えてきたぞ。頑張ろう！