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≪フリーRPG「孤島の牢獄」制作日記、その14≫

 前回の制作日記13で、異常な出現数のモンスターの話を書きました。今回はその補足です。補足の方が長いような気もしますが、気にしないでください。

 異常な出現数には、いくつものメリットが存在します。
 まずプレイヤーに驚きと威圧感を与えられること。出現数が一ケタ後半を超えれば何体いようと戦術的には大して変わりませんが、RPGは想像力で楽しむ部分が大きいゲーム(ここ重要)ですので、30体と80体では、プレイヤーが感じるこのモンスターの印象は、まったく異なるものになるはずです。「多い」「非常に多い」ではなく「異常と思えるほど多い」、そしてそんな個性を持つモンスターであるということを、プレイヤーに感じてほしかったのです。
 なおゲーム開始直後を除けば、一般のゲームと比べての出現数ではなく、このゲームにおける一般的な出現数との比較でプレイヤーは多い少ないを感じるものでしょうから、地下2階の群れるタイプの敵は5〜7体くらいが当たり前、10体を超えることも稀にある孤島の牢獄の場合、常識的な数では「多すぎる」とは感じてもらえないと思うのです。(なお序盤の敵は相対的にも弱くてサクサク倒せ、終盤の敵は硬くて強い傾向にあるため、ゲームが進むほど敵の数が少なくなります。これは上級のダメージ魔法の方が攻撃範囲が狭いことも関係しています)

 それからゲームコンセプトの1つとして、単体攻撃、グループ攻撃、全体攻撃の棲み分けを行うというものがあります。RPGCSの仕様ではダメージ魔法の個性を、属性と範囲と威力でしか出せないので、範囲が売りの初級魔法に大きな意味を持たせるためには、範囲魔法が実質必須な敵が必要だと思うのです。これには攻撃魔法を極端に軽視したパーティ構成や戦術(および魔法の使用回数切れという状況)には、相応の厳しさが存在するというバランスにしたいという理由もあります。自由なパーティを組めるという魅力があるウィズ系ゲームですから、パーティ構成によるある程度の得手不得手は必要だとも思います。
 ちなみにテストプレイ時には、通常攻撃のみでも戦闘不能者を出すことなく、あと一歩のところまで追い詰めることができた(最後は安全を優先して魔法で一掃しましたが、使わなくても犠牲者なしで勝てた可能性が高い)ため、初めに全体回避率上昇魔法を何回か使っておけば、通常攻撃のみでも余裕を持って全滅させることができたはずです。そのため真面目に戦っていれば、36体いても脅威にはなりません。「群れ」は脅威を与えるための存在ですから、このモンスターの強さで36体では、登場させる意味がありません。

 異常な出現数のデメリットですが、これはおそらく1つだけだと思います。それは(メッセージ表示速度が遅いと)テンポ的に非常につらい戦闘になるということです。これらのことを総合的に考えると、結果としては1グループの上限が9体というのは良かったかなと思います。つまりこの(明らかに足りない)数で、何とか楽しさを生み出さないといけないということですね。
 なお一撃のダメージが非常に少ない敵であることはすぐに分かりますので、メッセージの早送り(読み飛ばし)に明らかなデメリットは存在しないと思われます。なので表示速度を遅くしていてもキーを押している間のみ早送りできる仕様だったならば、当初の予定数・・・は多すぎた気がしますが、50体くらいがベストかなと、今では思うのです。

 最後に最も重要な、実際に体験して感じたことを書いておきます。
 戦闘中、パーティ全員のHPゲージがジワジワと削られていく様子は圧巻で、見ていて「これが私のイメージしていた『群れ』との戦闘だ」と感じました。これは36体もの弱小モンスターを単体攻撃のみで倒そうとしたからこそ、見ることができた現象だったはずです。この体験は、通常のRPGでは決して味わうことが出来ないであろう、とても面白いものでした。
 この面白さを、全体ダメージ魔法を撃ち込むという実質一択な戦術を使った場合にも感じてもらうには、約50体という異常な数の弱小モンスターに、ある程度の魔法無効化能力を持たせることがベストだなと、前回の更新後に考えるようになりました。データ設定時にうっかり考えるのを忘れていましたが、魔法の無効化が出来なければ、いくら群れようと先制の魔法一発で終わりますからね。
 なお36体が上限である孤島の牢獄の場合、魔法無効化率を高く設定することで、私のイメージする楽しさに近づけようとしています。前回40%と書きましたが、もう少し高い方がいいかもしれません。あんまり高いと、有効な戦術がない面倒な敵が存在するゲームだという印象をプレイヤーに持たせてしまいますので、50〜55%くらいが限度かな、とも思いますが。
 ちなみに不意を打たれたり逃亡に失敗したりして、無強化状態で総攻撃を受けることになった場合の話ですが、地下2階を訪れたばかりの戦力でも1.5ターンは余裕で耐えられるバランスになっていますので、いわゆる運ゲーにはなりません。本気で戦っても戦闘不能者が出る可能性は十分にありますけどね。


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