トップページに戻る 趣味語りに戻る その2へ その4へ


≪フリーRPG「孤島の牢獄」制作日記、その3≫

 今回はHP(ヒットポイント:打たれ強さ)の事でも書こうかな。まずは主人公側のHPについて。
 レベル1の状態で、白魔術師、黒魔術師、賢者は11〜14、戦士と海賊は15〜22。これに能力値ボーナスが平均で1くらい追加されます。前衛と後衛で、だいたい「3:2」の割合です。これは前衛と後衛のHP比率はこれくらいがベストという私の持論です。その理由は説明が難しいのですが、攻撃の受けやすさ(全体攻撃を含む)と、防御力や回避力、そして魔法耐性の現実的かつファンタジー的っぽい数値を考えた場合、これくらいで戦闘不能頻度が同じくらいになると思うからです。もちろんこれはシステム等によって変わるものですが、あまりにも差があるとイメージ的にもおかしいので、これくらいになるように調節するのが良いと思うのです。あ、全体攻撃を受ける時に、後衛が壊滅せず、かつ前衛にとっても脅威となるダメージに調節することが容易というのもありますね。

 「11〜22(+ボーナス1)では少なくない?」と思われる人は多いと思います。逆にウィズファンであれば、「初めから10を超えているって多すぎない?」と思われるかもしれません。でも実際のところ、HPは15程度あればなんとかなり、10を切ればかなり無理が出るものなのです。それがなぜかというと、序盤の敵から受けるダメージを考えると分かります。

 敵には個性が必要です。戦闘にはある程度の偶然性(数値のばらつき)が必要です。ですから群れるタイプの敵の場合、ダメージは(同じ場所に出る)最弱敵と最強敵で2〜3倍の違いはほしいですし、ばらつきは2倍程度はほしいところです。そうすると最弱敵からのダメージが1〜2程度。最強敵からのダメージは2〜5程度。これが防御力(ダメージ軽減)のないウィズ系RPGにおける最低ラインとなります。そして前衛キャラならば、集中攻撃や平均値を大きく超えるダメージを受けても1ターンは十分に耐えられる、でもそんな不運状態が2ターン続くと危ない、というくらいにすると遊びやすさと緊張感のバランスがとれると考えています(ちなみに蘇生手段は、楽しさを求めると低確率でどうしても発生してしまう「事故」に対する備え(ごまかし兼おわび)として存在します)。
 これは不意打ちを受けてそんな状態になり、2ターン目に敵の攻撃をすべて受ける前に回復できる、あるいは敵の数を減らせるという状況を想定しています。なお1体で出現するような強敵の場合には、敵の数を減らしようがないうえに回復が間に合わないこともあるため、1ターンあたりの被ダメージを最大HPの50%未満に抑えるというのが基本となります。でなければ、運100%の戦闘不能が頻発するからです。

 ・・・というのが理想的なバランスの話です。現実にはレベルアップなどにより、少しずつバランスが変化していきますので、理想的なバランスよりも少し厳しい状態で始めるのが良いと考えています。これは「丁度良い => 少し甘い」よりも、「少し厳しい => 丁度良い」と変化する方が、より充実感を感じられるはずだからです。なお新しい階(場所)に移動した直後も、やはり少し厳しいと感じられるバランスから始まるのが理想であると思われます。
 少し厳しいといっても、それが戦闘不能などに直結しては問題です。でも少し厳しい状態における一般的なプレイヤーは、とにかく慎重に行動するはずであり、システムとバランスが本当に良ければ、それで問題なく遊べるはずなのです。

 これらをもとに考えたのが前述の前衛キャラのHPであり、それを3分の2にしたのが後衛キャラのHPなのです。これが初めに書いた数値の根拠です。
 なおこのHPの数値は、敵の攻撃を半分以上は回避できるというRPGの場合であり(孤島の牢獄では7割回避が序盤の目安)、命中率は100%が基本という大抵のRPGの場合には、これよりもずっと高いHPが必要となります。またダメージのばらつきがあまりないというRPGの場合には、もっと少なくてもかまいません。パーティ人数などの様々な要素によっても変わってきますけどね。

 さて、ここでさらなる疑問を感じた人もいることでしょう。「なぜ極力小さな数値を採用したの?」ということです。これは簡単な理由でして、小さな数値の方が分かりやすいからです。
 もう少し詳しく説明しますと、RPGの戦闘には初歩の計算パズル的な楽しさがあり、計算が得意でない人でもその要素を楽しんでもらえるようにするためです。また敵の個性を分かりやすく表現する意味もあります。さらに成長の度合いを実感しやすいという理由もあります。
 数値データは無理のない範囲で小さくする。これが私の持論です。大きな数値を使えば派手さが出ますが、そのようなRPGの本質から外れたことはどうでもいいというのが私の考えです。

 お次はモンスター。HPと、ついでに経験値は、こんな計算式で決めています。

 HP=(レベル*耐久+10)*大きさ^1.5
 経験値=(レベル+8)^((2.9+出現階*0.05)+特殊能力)*大きさ*0.065

 簡単に解説しますと、レベルとか耐久とか大きさとか出現階とか特殊能力とかいうのは、HPや経験値の計算用に設定した隠しパラメータです。普通隠しパラメータというと、ゲームの内部には存在するけれどプレイヤーには分からないというものを指しますが、このデータに関してはゲームの中にすら存在せず、私のパソコンの表計算ソフトの中にのみ存在する、真の隠しパラメータです。それから・・・

 ・・・え、ちょっと待て? それ以前に訳が分からない? そりゃそうでしょうね。私だって他人がこんな計算式を書いていたら訳が分かりませんもの。それでもなんでこんな決め方をしているかというと、モンスターのデータに現実味を持たせるためなんです。きちんとした基準を決めずに数値データを設定していたら、序盤の敵はすべてのパラメータが低く、終盤の敵はすべてのパラメータが高いとか、その結果として序盤の戦士タイプよりも終盤の魔法使いタイプの方が物理攻撃が強いとか、そんなおかしなことが起きてしまうのです。こんなことは気にしない人の方が圧倒的に多いのかもしれませんが、私は気にするタイプですので、自分が納得できるものを作りたいのです。そしてイメージ通りの数値曲線にするために、ああでもない、こうでもない・・・と計算式をこねまわし、挙句の果てにはそのモンスターが出現する階層までデータとして利用して、ようやく納得のできるものになりました。
 と書けば職人的な格好良さがあるように思えるのですが、実はこの方が短い時間で良い物を作れるという理由もあったりします。

 ちなみに制作ツールでのモンスター1体あたりの経験値は60000が上限なのですが、最強ザコモンスターの経験値は59084。60000ピッタリにはしたくなかったので半端ですが、だからこそいい感じではないでしょうか(賛同者求む)。仕様の関係で、経験値は上限をほぼ目いっぱいに使わないと良いバランスにできそうもなかったので、頑張って調節しました。

 HPの計算式だって頑張りました。見た目は単純ですけどね。ドラゴンのように単体で強力な超巨大モンスターもいれば、デーモンのように群れるから強力な中型モンスターもいるわけで、格(出現階)が同じであっても、大きさによってHPには大きな差が出るようにしたかったのです。そうしなければ雰囲気を楽しめませんし、単体攻撃と範囲攻撃の両方に存在価値を持たせることもできませんからね。

 こんな風に色々と考えた結果、同じ階に出現するモンスターでも、人間サイズとドラゴンサイズでは、5倍くらいの差を作りました。
 群れるから強い敵と、単体でも強い敵。その他にもいろんなタイプを登場させる予定ですので、メリハリの利いた戦闘が楽しめるのではないかと思います。といってもウィズはもともとこの部分が良くできているゲームですので、ウィズファンにとっては当たり前のことかもしれませんけどね。
 それと1階を除いたすべての階で、低確率とはいえ(ある意味ウィズっぽい)とんでもない敵を出現させる予定もあります。初めてその敵に遭遇したウィズ未経験プレイヤーは、きっとびっくりするのではないかと思います。イッヒッヒ・・・。
 でもインパクトを重視しすぎると、序盤のキャラクターはちょっとした不運や戦術ミスで簡単に全滅するからなぁ。悔しいけど、序盤に出会う特殊敵に関しては、ちょっと控えめにしておくか。それとも初登場する階をもっと深くして、ウィズファンでさえ唖然とするような敵にしようか? うーん、悩むなぁ。

 あ、そうそう。この制作日記で書いている仕様は、あくまでも制作中のものであって、完成版では変更されるかもしれません。・・・というのはどうでもいいことですが、一応書いておきます。


トップページに戻る 趣味語りに戻る その2へ その4へ