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≪珍味3人衆≫

 その正体が海竜なのか怪魚なのかは分からないが、リバイアサンという化け物に飲み込まれた私たち。しばらく意識を失っていたようだが、丸呑みしてくれたおかげで消化されることはなく、どうやらみんな無事だったようだ。
 ・・・おや?
 レイラがいない!?
 まずくて吐き出されたのか!?

 どう考えても私やガイの方がまずそうだし、マリアだって下水道の中を通った経験があるから私と同類だと思うのだが、リバイアサンにとっては逆らしい。いや、下水の臭いが染み付いた私たちを、珍しい味、つまり珍味だと思って喜んで食べたのだろうか。
 うん、そういうことにしておこう。おそらく未婚のレイラのために。


≪珍味がいっぱい≫

 私たちの現在地は肛門の近くらしい。しかしこちらから外に出ようとは思わない。そこで口を目指し、まずは腸を通って胃へ向かう。
 内臓の名前で場所を説明できるのは便利だが、イメージ的にはよろしくない。しかもやはりというかなんというか、所々に付着した消化液がダメージゾーンになっている。あまり詳細に描写すると、うっかり想像してしまった読者までもが精神ダメージを受けそうだ。
 しかし下水道を通った経験さえある私たちだ。見た目など気にすることなく、モンスターを蹴散らしながら胃に到着する。

 ちなみにここで出会うモンスターは海に住む魔物ばかりで、津波を起こしたり電撃を放ったりと、いかにもな攻撃をしてくる。それに対抗して、私たちも攻撃魔法を放ったり、武器を叩きつけるために走り回ったりしている。
 ・・・のだが、ここはリバイアサンの腹の中。奴の暴れる様子がないことを考えると、リバイアサンの内臓はかなり丈夫にできているらしい。さすがはゲテモノ食いだ。きっとここのモンスター達は、珍味として飲み込まれ、仕方なくここに住み着いたのだろう。

 しかし、驚くのはまだ早かった。胃に到着した私たちが見たものは、なんと人間の集落だったのだ。もちろんそこで暮らしているのは、リバイアサンに飲み込まれた人たちだ。
 ・・・ああ、珍味がこんなに(汗)。


≪竜騎士≫

 先住民に話を聞いたところ、リバイアサンとは究極魔法アルテマを封じた塔を守る怪物で、クリスタルロッドを持つものを襲うのだとか。
 クリスタルロッドというと、アルテマを手にするために必要なアイテムだ。それを持つ者に襲い掛かってくるなんて・・・
 それにクリスタルロッドは、普通に考えると1つしかないはずだが・・・

 ・・・って、そこのお爺さん! なんでアンタも持っているんですか! これを手に入れるためにはフィン城の隠し扉を通って、白い仮面を入手しないといけないはずなんですよ!? ここにミンウがいないっていうことは、彼もクリスタルロッドを持っているということになるんですよ!?

 ・・・ああ、頭が痛くなってきた。クリスタルロッドはこの世にいくつもあり、その中には白い仮面と黒い仮面をそろえなくても入手できる物もあったようだ。それだけアルテマを封印した魔道師たちは、リバイアサンの防衛能力を高く評価していたということだろうが・・・。

 考えてみてほしい。私やここにいる人たちは、「クリスタルロッド&船&珍味」という組み合わせだったからリバイアサンに飲み込まれたのであって、飛空船などを利用して “空の抜け道” を通っていれば、奴は手も足も出なかったのだ。きっとミンウは、その手を使ったのだろうが・・・。
 ・・・ああ、下手に使うと世界を滅ぼしかねないアルテマの封印が、こんなにいい加減なものでいいのだろうか。また反対のことを考えると、クリスタルロッドがいくつあっても、すべてリバイアサンに飲み込まれ、アルテマの封印を解くのが不可能になってしまう可能性だってあるのだ。

 しかし今更そのことを問題にしても意味はない。私たちは得られるだけの情報を集めると、再び口を目指して突き進む・・・前に、1人の戦士と出会った。

 どうも彼は他の先住民たちと毛色が違うようなので、詳しく話を聞いてみたのだが、なにか引っかかる。身のこなしや雰囲気から只者でないことは分かるのだが、魔法使いでもないのにミシディアやアルテマのことに詳しすぎる。それになにより、彼がかぶっている、竜の頭部を模した風変わりな兜。
 まさか・・・。
 私はあることに気が付いて、彼に竜騎士のことを尋ねてみた。

 戦士「私が竜騎士だ!! 竜騎士と飛竜が全滅だ? でたらめを言うな!」

 間違いない!
 彼こそが、帝国との戦争前にアルテマを求めて旅立っていたという最後の竜騎士、そして私が故フィン王の要請で捜し求めていた希望の戦士、リチャードだ!

 リチャード「お前たちもアルテマの本を取りにきたのか。よし。ここから脱出して一緒に行こう。」

 こうして竜騎士リチャードが仲間に加わった。
 飛竜と竜騎士の力は、帝国打倒のために必要なものだと、故フィン王は考えていた。飛竜の方はまだ卵、もしくは子供の状態とはいえ、これで一応は故人の願いに応えることができたというわけだ。

 ・・・でも最後の竜騎士との運命的な出会いの場所が、巨大生物の腹の中とはなぁ。
 しかもここにいたということは、きっと彼も珍味だし。


≪脱出≫

 リチャードはアルテマ探索の任務を受けていただけあって、さすがに頼りになる戦士だ。攻撃に関しては私たちにも劣らない。ただ、防御面に少し不安がある。もう少し素早ければ言うことなしなのだが・・・。

 そこで、これまでは見た目の関係でマリアに装備させていた、素早さを高めるアクセサリーである、金の髪飾りをリチャードに・・・
 ・・・装備させると、剣で真っ二つにされそうなのでこの話はなかったことにし、彼がもっと打たれ強くなるまでは慎重に戦うことにした。まあ、彼は武器戦闘専門なので、すぐにパーティ最強の戦士になってくれるだろう。

 さて、食道を抜けると口に到着。そこにはなぜか、船がすぐに動かせる状態で残されていた。リバイアサンは歯磨きをしないらしい。しかし船の前には、巨大な長虫が居座っていた。寄生虫の一種かもしれないが、歯を掃除しているのだとしたら共生関係といえる。

 ・・・というのは今の私たちには関係のないことで、こいつを倒さないと、船で脱出することはできそうにない。あちらも私たちをエサ(リバイアサンの歯に挟まったゴミ)だと思っているようなので、戦いは避けられない。つまり戦闘だ!
 その長虫、ラウンドウォームはとてつもない攻撃力の持ち主で、防御に不安を持つリチャードがボコボコにされていたが、その割にはあっさりと倒すことができた。別に彼をおとりにしたわけではないのだが。

 さあ、リバイアサンの口から脱出するぞ。のどの奥から攻撃魔法を放ち、鼻の奥を刺激してみよう。人間と同じような構造ならいいのだが・・・

 リバイアサン「・・・。・・・。・・・・・・ふぇ、ふぇ、ふぇっくしょーん!」

 くしゃみの勢いで、私たちが乗った船は飛び出した。

 ・・・というのは冗談だが、私たちは脱出に成功した。全速力でその場を離れ、リバイアサンに気付かれる前に、近くにある島へと向かう。その島には、天まで届きそうなほど高く巨大な塔がそびえ立っていた。私たちは、ついにアルテマを封じた塔にたどり着いたのだ。
 塔の入り口は封印されていたが、クリスタルロッドに秘められた魔力を開放すると、ゆっくりと開き始めた。
 この塔が、アルテマを手にするための最後の試練なのだろう。そしてこの塔を登りきれば、そこにはきっと・・・

 ・・・今、重要なことに気が付いた。
 あわわ、リバイアサンから脱出するとき、先住民を連れて帰るのを忘れてた!
 みんな、急いで引き返すぞ!
 リバイアサン、リターンマッチを受けてくれ!
 そして料理ついでに必ずみんなを助けるぞ! 待ってろよ、切り身(トロ)!


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