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≪反撃≫

 王女の救出には成功したものの、迎えにきた飛空船においていかれたため、1羽のチョコボに3人で乗って、世界の裏側から帰還した私たち。
 しかし帰ってみると、アジトの様子がおかしい。誰もいないのだ。何事かと心配になった私たちは、慌てて人を探して走り回る。そして・・・いた!

 兵士「反乱軍は立ち上がった。まず、フィン城を取り戻そうと・・・・。ヒルダ王女やゴードン王子は、みなフィンのそばのキャンプにいるはずだ。」

 これって私たちは、フィン城奪回作戦には不要ってことですか!? 帝国に置いてきぼりにされたのは、初めから計画されていたことなんですか!?
 くっ・・・。最強の雑用係として、反乱軍のために世界中を駆け回っていたというのに、肝心な時にこんな扱いを受けるなんて。きっと恋のライバルだった、ゴードン王子の陰謀に違いない。ああ、今度の王女も偽物だったらいいのに。

 しかしまだ戦いが始まっていないことを考えると、私たちがこんなに早く帰還するとは思っていないに違いない。そこで急いでキャンプに向かうことにした。ふっふっふっ、王子の驚く顔が楽しみだぜ。

 そしてキャンプに到着。すぐに王子に話しかけるようなことはせず、プレッシャーをかけるために、まずは側にいる王女に挨拶する。

 ヒルダ「フリオニール! マリア! ガイ!」

 何でそんなに驚くんですか!? もしかして、ヒルダ王女も共犯ですか!?
 くそっ、こんな人に憧れていた自分が情けない。えーい、偽者であってくれ。
 私は邪な考えで、“のばら” の合言葉を口に出す。

 ヒルダ「大丈夫。わたしは本物よ。」

 ちっ!
 ・・・って、ちょっと待て。なんで王女が偽王女のことを知ってるんだ!? まさかゴードン王子がしゃべったのか!? 私が偽王女に騙された話も詳しく聞いているのか!?
 いかん、恥かしくて王女の顔を見ることができない。くっ、ゴードン王子め許すまじ。
 反撃を心に誓った私は、今度はゴードン王子に話しかける。

 ゴードン「我々が敵の主力と戦っている間に、城に潜り込んでフィン城の司令官を倒してくれ。君らには単独行動の方が向いている。」

 がーん!
 「単独行動の方が向いている」って、集団行動には向いていないって意味ですか!?

 ああ、反撃しようとしたらトドメを刺された気分だ。しかしまあ、司令官を倒すという任務自体は悪くない。むしろこちらからお願いしたいくらいだ。なにせこの辺りの帝国兵を指揮する司令官には、1度会ってみたいと思っていたのだから。
 お忘れの方も多いと思うが、私たちの戦いは、4人の黒騎士にボコボコにされたところから始まった。異常なまでの強さを持つ黒騎士を、一般人だった私たちの討伐に向かわせる。これほどの人事ミスは、並みの司令官にできることではない。そのことを本人に指摘して、悔しそうに顔をゆがめた司令官をやっつける。それが私の夢の1つだったのだから。
 私の反撃、それは今この時から始まるのだ。

【ブラックリスト、上位5人】
 1.ゴードン王子
 2.フィンの司令官
 3.皇帝
 4.ヒルダ王女
 5.ダークナイト(=レオンハルト?)

 味方と身内で過半数を占めているのはなんでだろう?


≪フィン城攻防戦、その1≫

 私、マリア、ガイ、そして表向きは行方不明のレオンハルト。私たち4人はフィンの国で生まれ育った。
 ・・・まあ、私の生まれに関する突っ込みはご遠慮願いたいのだが、生まれ育った国だからこそ、帝国の支配から開放したいという思いは強い。その願い、ついにかなえるときが来たのだ。

 敵の大半は反乱軍の兵士たちが引き受けてくれている。だから私たちは迂回して、見つからないように裏口から城に潜入し、司令官を直接狙う。
 ・・・という計画だったはずなのだが、一体どこが戦場になっているのだろう。フィン城の正門には誰もいないのだが
 そこで真正面から堂々と城に忍び込む私たち。しかし城の内部には、帝国の精鋭たちが待ち構えているはずだ。その中には、きっと高位の魔法使いもいることだろう。高額魔術書ゲットのチャンスだ! 司令官よ、ゆっくり首を洗って待ってろよ。私たちは急がば回れの精神で戦わせてもらうからな!

 しかし城に入ってすぐのところに、門番が待ち構えていた。どうやらのんびりお宝ゲットを考えている場合ではなさそうだ。
 門番は女性のようだが、油断するわけにはいかない。なにしろたった1人で待ち構えているのだから、自分の腕に自信を持っているのだろう。かなりの手練に違いない。実際、戦い慣れているのがひと目で分かる。ついでに言うならば、彼女の姿をどこかで見たことがあるような気もする。
 とはいえ、戦争に性別など関係なければ、知人かどうかも関係ない。敵ならば排除するのみだ。悪いが通させてもらうぜ!

 レイラ「一緒に戦うよ! 連れてっておくれ。」

 ・・・言われてみればレイラにそっくりだが、そんなはずはない。本当に彼女ならこんな所ではなく、キャンプで王子たちと待っていたはずだから。そういえばレイラには会わなかったが、きっとどこかで戦っているのだろう。
 ふふん、帝国の司令官も大したことがないな。偽物を使ってこの私を油断させようとは。この私が、そんな見え透いた手に引っかかると思ったら大間違いだ!
 偽レイラ、覚悟しろ! えーい、なんで戦闘シーンにならないんだ! こら偽者、勝手に仲間になるんじゃなーい!

 ・・・・・・・・・本物でした。


≪フィン城攻防戦、その2≫

 レイラを再び仲間に加え、4人で帝国兵と戦い続ける私たち。もちろん狙いは、高額魔術書司令官の首だ。城に入って真っ直ぐに歩けば、あっという間に司令官のいる玉座の間にたどり着くことに気付かず、うっかり道に迷ったせいでずいぶんと時間を食ってしまったが、まあレアな魔術書も入手できたからよしとしよう。

 そしてついに玉座の間へ。

 司令官「こんなところに反乱軍が!」

 フィンの司令官は、ゴートスという獣人だった。
 彼は玉座に座ってくつろいでいた。私たちがあれだけ城の中を荒らしまわっていたというのに、彼の部下は誰一人として報告していなかったようだ。この司令官、信頼のなさではあのボーゲンにも比肩するのかもしれない。さすがは無能だ。というよりも、帝国兵の昇進条件が気になって仕方がない。

 そしてついに司令官との戦いになった。彼はさすがに上級兵だけあって、そこいらのザコよりはずっと強いようだ。とはいえ身の危険を感じるほどではない。やはり無能だな。
 しかしその時、彼は信じられない特殊能力を使用した。

 ゴートス「酒」

 こらー! 戦闘中に酒飲むなー!

 いろんな意味で信じられない司令官だったが、しょせんは無能。軽く倒すことができた。
 夢の1つであった司令官を無能よばわり打倒に成功。そしてこれがきっかけとなってフィン城攻防戦は終結し、故郷であるフィン王国を取り戻すことができたのだ。
 この日のことは人々の記憶に刻み込まれ、きっと歴史の大いなる1ページとして語り継がれてゆくことだろう。

 だが人々は知らない。この戦いに深く関わった人たちの詳細を。帝国の司令官が極めつけの無能であり、それを倒した雑用係のリーダーが、色ボケ方向音痴の物欲魔人であったことを。
 ・・・ほんと、詳細を知らない人は幸せだと思う。いや、幸せなのは私も同じか。こんなことを語り継がれたりしたら、末代までの恥になるのは間違いないだろうから。

注:FF2には「バッカスの酒」という、攻撃力を高めるアイテムが存在する。ゴートスが使った特殊能力はそれのこと。


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