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≪カシュオーン城へ≫

 大戦艦を破壊できる唯一の存在、太陽の炎。それはカシュオーン城にあるという。その城の扉は特殊な封印によって閉ざされているが、それを開けるための鍵である女神のベルは、今や私たちの手の中にある。
 ヨーゼフの命と引き換えに得られた女神のベル。私たちはそれを持って、カシュオーン城に向かうことになった。かなり遠いという話だが、ポフトの町から飛空船に乗ればすぐに着くはずだ。
 ・・・が、そのポフトに、思わぬ障害が待ち受けていた。そう、カシュオーン城を守るものは、扉の封印だけではなかったのだ。

 【飛空船の運賃】
 カシュオーン城まで 400ギル

 お金が足りません!

 しかたなく私は、持ち物をいくつか売り払うことにした。カシュオーン城の封印を破るためには、必ず犠牲が必要になるようだ。その城は、きっと呪われているに違いない。

 しかしこの飛空船、400ギルという価値はあった。シドが自慢するだけあって凄まじく速い。そして道中でモンスターに襲われる危険もない。まもなく私たちは、湖に囲まれた美しき城に到着した。飛空船は片道らしく、私たちを降ろすと飛び去っていく。
 さあ、新たな冒険の舞台、呪われしカシュオーン城の探索を始めよう!

 ・・・。
 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・。
 何かを忘れているような気がする。そこで私は、これまでに書いてきた日記を読み直すことにした。

*太陽の炎はカシュオーンの城にある。
*カシュオーン城の扉は封印されている。
*扉を開けられるのは、カシュオーンの王族と女神のベルを持つ者のみ。
*女神のベルは、サラマンドにある雪原の洞窟にある。
太陽の炎は、エギルの松明(たいまつ)にしか灯すことができない。

 しまった、エギルの松明を持ってない!
 わ、わ、私のせいじゃないぞ。ヒルダ王女が「あなた達はそのベルを持って、カシュオーン城へ向かってください。」と言ったから、部下である私たちはその指示に従っただけだ。悪いのは、「ベルとエギルの松明を持ってカシュオーン城へ向かってください」と言わなかったヒルダ王女だ!

 私たちは責任を上司に押し付け、言い訳を考えながら、すでに小さくなっている飛空船を呆然と見つめるのだった。


≪真実を語る者≫

 スタートから見事につまづいた私たちだが、このまま手ぶらで帰るわけにはいかない。それに聡明なヒルダ王女のことだ。エギルの松明のことを言わなかったのは、きっと考えがあってのことに違いない。
 そこで私たちは、城の探索だけでも行うことにした。

 城の敷地内に入ってすぐに目に付いたのが、聖火台に灯された太陽の炎。エギルの松明さえあれば、これで今回の使命を達成できたのに・・・。
 そしてその奥にあるのが、城そのもの。頑丈そうな扉がついている。これが封印の扉らしく、どうやっても開かない。そこで女神のベルの出番だ。

 チリーン

 ベルの澄んだ音色が響き渡ると、扉はあっけなく開いた。
 これだけのために、私たちは雪原の洞窟へ行かなければならなかったのだ。
 これだけのために、ヨーゼフの尊い命が失われたのだ。

 本来、女神のベルは必要ではなかった。反乱軍には、カシュオーンの王族であるゴードン王子がいたのだから。彼が行方をくらまさなければ、時間と命という、貴重なものを失わずにすんだはずなのだ。それなのに失踪の原因として最有力なのが、ストーカー疑惑による投獄なのだから、笑い話にもならない。
 まあ彼も、いまではどこかの牢獄で罪を償っているところだろうから、この話はここで終わりだ。「罪を償う」とは、その言葉どおりの意味なのだから。

 そして城内に侵入。扉が封印されていたとはいえ、城に入る手段が他にないとは限らない。私たちはモンスターの襲撃を警戒しながら先へ進んでいく。
 ・・・が、初めに出会ったのは、意外な人物だった。ご、ゴードン王子!?

 ゴードン「太陽の炎を取ってこれるのは私だけだと思い、ここへ帰ってきたんだ。エギルの松明を探しに行こうとしたんだが、なぜか中にはモンスターが住み着いていて、1人では進めず、かといって手ぶらでも戻れず、ここで途方にくれていたんだ。」

 うがー! どうしてこの王子は、こうも要領が悪いんだ! 勝手に行方をくらましただけでも大迷惑だってのに、わざわざ扉の向こう側で途方にくれるなんて! せめて扉よりも手前で待っていてくれたら、反乱軍の誰かが発見していたかもしれないというのに!

 まあ、彼も彼なりに考えて勇気を出した結果だろうから、あまり責めるのも可哀相だけど。ともかく彼の失踪の原因が、ストーカー疑惑による投獄でなかったということは、彼の名誉のためにも日記にきちんと書いておこう。

 ・・・いや、まて。このカシュオーンが呪われた城であることはすでに判明している。そしてこの王子が軟弱者で、かつ怪しい行動をとっていたこともはっきりしている。すると彼の証言を信用していいのだろうか。いや、否だ。私の抜群の推理力は、真実が異なることを告げている。すなわち!

 ゴードン王子はストーカー疑惑で捕まり、カシュオーン牢獄に閉じ込められた。

 うん、これに違いない。だからヒルダ王女は、エギルの松明のことを何も言わなかったのだ。私たちに与えられた真の任務とは、何らかの恩赦で釈放されることになったゴードン王子を、無事に連れ帰ることなのだから。

 でも私は、恩赦という制度が大嫌いだ。お偉方の気まぐれで、そして運の良し悪しで人生が変わるなんて納得できない。だから勝手ながら、彼にはもう少し罪を償ってもらうことにした。

 「さあ、ゴードン王子、あなたのおっしゃる通り、手ぶらで戻るわけにはいきませんよ。これからあなたの経験を生かして、この城を探索しましょう。もちろん、戦闘には参加していただきますよ。でもご心配なく。力尽きて倒れても、ちゃんと生き返らせてあげますからね!」


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