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≪反乱軍加入≫

 アルテアの町に帰還した私たち。持ち帰ったリングがもたらした影響は、想像以上のものだった。
 スコット王子からプロポーズされていたというヒルダ王女は、初めて取り乱した姿を見せた。きっと彼女も、王子に好意を持っていたのだろう。しかしすぐにいつもの冷静さを取り戻すと、リングを受け取ることを断わった。

 ヒルダ「それは、あなたが持っていてください。勇気ある者に相応しいリングです。」

 勇気ある者・・・か。私には本当に勇気があるのだろうか。
 私は死を恐れない。どんなに危険な冒険も、私にとっては楽しい旅でしかない。しかしそれは、この世界が夢であることを知っているからだ。危険性を理解できないからこそ、そして恐怖を感じないからこそ、勇気を出すことなくどんな困難にも立ち向かうことができるのだ。
 本当の勇気。私にはそれがあるのだろうか。このリングを持つ資格が、私にはあるのだろうか。

 それでもこれは、受け取らなければならない。今の反乱軍には勇気ある者、勇気を与える者、つまり勇者が必要だ。私の勇気が蛮勇であったとしても、反乱軍にとって違いはないのだから。
 だから私はリングを受け取った。このリングが、私に本当の勇気を与えてくれると信じて。

 その後、私たちは反乱軍の一員として認められ、初めの任務を与えられた。それは魔法金属ミスリルを探し出すことだ。

 ヒルダ「フィンの戦いは、装備の違いで敗れたのです。帝国兵は、ミスリル製の武器や鎧を使っていたのです。」

 ・・・ん? フィンが敗れた原因は、スコット王子はボーゲン伯爵の裏切りだと言っていたぞ。王女は私の報告を聞いていなかったのだろうか。
 どうやらヒルダ様、冷静な見た目とは裏腹に、中身はパニック状態のままらしい。そうでなければ、こんなことは言い出さないはずだ。

 ヒルダ「サラマンドに住むヨーゼフという者に調査を命じたのですが、まだ連絡がありません。ミンウと共に、サラマンドへ行ってくれませんか?」

 ミンウと共に! 私と(赤い糸の)運命でつながっているなどと恐ろしいことを言っていた、あのミンウと! あの会話は王女も聞いていたはずなのに!
 私は夢の世界を甘く見ていた。死ぬことを恐れないエセ勇者にも、恐怖を感じることはあったのだ。
 そ、そうか。きっとこれは試練なのだ。私が真にリングを持つに相応しい者かを試そうとしているのだ。
 ヒルダ王女は策士だ。パニック状態のフリをしてアメとムチを使い分け、こんな試練を与えるとは。

 ・・・まあいい。少なくとも王女が指揮官として優れていることは確かだし、私も自分の勇気を試したい。それにミンウは、極めて優秀な白魔道師だ。仲間としてはとても心強い。私とミンウの間には常にマリアとガイがいるから(注)、あまり気にする必要もないだろう。
 そしてミンウをパーティに加えた私たちは、ミスリル調査隊として再びアルテアを離れる。サラマンドという町へ向かって。

 そうそう、ゴードン王子のことを書いておかなければならない。本来このリングは、彼が継承すべき物だろうから。しかし彼は受け取らなかった。
 彼はただ、兄からの言葉を聞いてショックを受けただけ。無理もない。
 兄を見捨て、戦うことから逃げ続けてきた己の弱さ。思考を停止させ、これから何をすべきなのかを考えることからも逃げてきた己の未熟さ。
 それを遺言で指摘されたのだから。

 それでもスコット王子の遺言は、彼にとって何かのきっかけになることだろう。止まっていた思考が動き出したとき、人は人としての活動を再開できるのだから。
 彼には素晴らしい能力があるという。もしかすると、それが未来を切り開く助けになってくれるかもしれない。私にできることは、ただ2人の王子を信じることだけだ。

注:ゲーム中は、常にそんな隊列になる。


≪サラマンドへの旅、前編≫

 サラマンドは遠い。そのためいくつかの町を通りながら行くことになる。
 まずは港町パルム。

 女性「パルムは自由な町よ。」

 ふーん、自由な町ね。そういえば、さっき海賊と出会ったな。真っ昼間から酒を飲んで、マリアをナンパしていたが・・・。

 女性「あたいと一緒に、ここで暮らさない?」

 どーゆー自由やねん!

 えーっと、無秩序でナンパ自由な町パルムの続き。次の町ポフトとは海路でもつながっている。船に乗れば時間を短縮でき、しかも安全が保障されている。船賃も安い。しかし私たちは歩いて行った。なぜなら反乱軍のアジトで、おじいさんからこんなことを言われたからだ。

 老人「おぬしらのようなひよっこでは、とても歩いて行ける場所ではないわ!

 どうだ、おじいさん。私たちは歩いてポフトに辿り着いたぞ! このタイムロスで世界が滅びたら、あんたの挑発のせいだからな!

 そしてそのポフト。やはり港町だが、ここには面白い物がある。それが飛空船。剣と魔法の世界には似合わない物だが、それゆえに珍しく、世界に1つしかないらしい。
 製造者にして持ち主のシドは、元はフィンの白騎士団のリーダーだったが、飛空船に「身も心も奪われフィンから去って行ってしまった」(ヒルダ王女談)そうで、一部からはあまりよく思われていないようだ。
 そんな好き放題やっているシドだが、彼にも悩みの種がある。それは帝国が建造中の大戦艦は飛空船を応用したものであるため、完成すると自慢の飛空船が世界に1つではなくなってしまうことだ。

  ヒルダ シド ・・・ 悩みの種
  シド 帝国 ・・・ 悩みの種
  帝国 ヒルダ ・・・ 悩みの種

 もしかして、これは三角関係という奴だろうか?


≪サラマンドへの旅、後編≫

 ポフトから北へ行けばサラマンドに着くのだが、私たちは東にあるバフスクへ寄り道することにした。
 バフスクは現在、帝国の支配下にあるのだが、そこで大戦艦が建造されているらしいからだ。

 バフスクへの潜入は簡単だった。というのも、誰もが何かに操られているように働き続けていたからだ。奴隷として働かされている町の人だけでなく、帝国の兵士に話しかけても何の反応もない。まるで人形のようだ。話が通じたのは、町のすみっこにいた帝国兵、ただ1人。

 帝国兵「ばか! 話しかけるな! ダークナイト様がいらっしゃるのだ。さぼっていると殺されるぞ!」

 ・・・この兵士、どう見てもサボっているようにしか思えないのだが。

 しかしこれは大変だ。ダークナイトと呼ばれている奴はかなりの切れ者らしい。この調子で建造が進めば、そう遠くない時期に大戦艦が完成してしまう。私たちは急いでサラマンドへ向かうことにした。

 サラマンド。この名前を聞いて、何かを想像しないだろうか。私はサラマンダー、つまり炎の精霊である火トカゲを想像した。だからサラマンドは暖かい町なのだろうと思っていた。なのに、なんで雪景色が見えてくるんだ!? 今の私たちは、服だけとか、皮の鎧だけとか、銅の胸当てだけという、とっても寒そうな格好をしているんだけど!

【ヒルダ王女へ】
 もししばらく連絡がなかったら、救助隊を組織して捜しに来てください。
 サラマンド付近で遭難していると思われますので。


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