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≪途中の村で≫

 反乱軍のあるアルテアは、辺境の町だ。フィンの城下町まではかなり歩かなければならない。しかし途中にはガテアという村がある。私たちは情報収集を兼ねて、そこで一泊することにした。

 ガテアは一見のどかな村だが、やはり人々の表情は浮かない。帝国が開発中の秘密兵器、大戦艦とかいう奴の噂がここまで届いているようだ。それが完成したときが反乱軍敗北の時。誰もがそう思っているのだろう。

 大戦艦の完成は、なんとしても阻止せねばならない。しかし私たちは、そのための戦いに参加することすら許されていない。だが今はそれでも構わない。私たちには自由があるのだから。そしてそのことを知っているのだから。
 失って初めて気付くことが多い、自由であることの素晴らしさ。しかし失う前に気付けば、人生は素晴らしいものになる。例えば今の私たち。自由であることを生かせれば、大戦艦完成前に戦士として認められる可能性も出てくるだろう。

 町人「フィンの町外れに酒場がある。そこのマスターは、帝国に占領されたとき1人逃げ遅れて、今でも帝国の兵士相手に商売を続けているようだ。」

 こうなってからではもう遅い。ああ、自由って素晴らしい。


≪フィンに潜入≫

 フィンの城下町に辿り着いた私たちは、ガテアの村で得た情報を元にして酒場を探す。しかしこの町にはモンスターが徘徊し、いたるところに屈強そうな兵士が立っている。
 モンスターは弱い奴ばかりだ。しかし問題が兵士。私たちが反乱軍側の人間であることがばれたら、あっという間に処刑されてしまうだろう。
 私たちは兵士に怪しまれないように、時には隠れながら、そして時には堂々とした態度ですれ違いながら、町の探索を続ける。

 やがて酒場を発見した。幸い入り口付近に兵士はいない。・・・店の中にはうじゃうじゃいたが。
 しかし彼らは酒と話に夢中で、私たちは眼中にないようだ。これ幸いと、マスターに話しかける。“のばら” の合言葉で、彼と私たちとの間にあった溝は、一瞬にして埋まった。そして彼は、隠し扉の奥に傷ついた兵士がいることを明かしてからこう言った。

 マスター「おれはもう、こんな所はこりごりだ! 後はお前らに任せるよ。それじゃあな!」

 そしてマスターは、酒場からいとも簡単に逃げ出した。
 ・・・こらまて。あんた逃げ遅れてここにいたんじゃないのか? そのフットワークなら、黒騎士に挟み撃ちされても逃げ切れそうだぞ! あんた、自分の才能に気付いてないだろう!

 しかし後を任せるったって、一体どうすればいいんだろう。まさか私たちに、この店を経営しろというのだろうか。
 ムリ、ムリ。ちょっと想像してみれば、そんなことはすぐに分かる。

 私 : バーテン
 マリア : ウェイトレス
 ガイ : 用心棒

 あわわ、似合いすぎ!


≪敗残兵≫
 
 隠し扉の奥には、人が暮らしている空間があった。しかしそこは、なんとも奇妙な部屋だった。
 隠し部屋というイメージからは程遠い、よく手入れされた清潔な部屋。壁には、一般の兵士には手が届かないような立派な武具が飾られている。

 部屋に入ったときに感じた疑問は、ベッドの上で横になっていた男性を見て解消した。
 “のばら” の合言葉を出すと、彼は自分がカシュオーンの王子、スコットであることを明かした。カシュオーンの王子。つまり戦死したと思われていた、ゴードン王子の兄だ。
 だが・・・もう長くはなさそうだ。

 スコット「君たちに頼みがある。私の弟のゴードンに伝えてほしい。お前には素晴らしい能力がある。もっと自信を持てと。」

 さすがは兄。弟のことをよく分かっている。
 ゴードン王子に欠けているもの。それは自信。過信は禁物だが、自分の能力を過小評価していては、せっかくの才能が無駄になる。そして人生すら無駄にしかねない。その良い例が、あの酒場のマスターだ
 そ、そうか。彼の存在は、それを教えてくれるためのものだったのか! な、なんて奥が深い物語なんだ。このFF2って奴は!

 スコット「フィン王に伝えてくれ。フィンが敗れた原因は、ボーゲン伯爵が裏切ったためだ。奴は今、帝国の将軍になっている。」

 裏切り!
 そして敵国での出世!
 人の醜さ。社会の不条理。それらは一部の人に大きな利益をもたらす。しかし大多数の人を苦しめ、最後には全ての人を不幸にする。だからこそ、それらは否定しなければならない。

 私は確信した。この世界は夢かもしれないが、限りなく現実的な夢なのだと。そしてこの世界で起こっている出来事は、全て現実世界にもあてはまることなのだと。
 な、なんて奥が深い物語なんだ。このFF2って奴は!

 スコット「それから・・・・ヒルダ。愛していると・・・・。いや、これはヒルダには伝えないでくれ。私はもう死ぬ。ヒルダは別の人を愛すべきだ。」

 それならご心配いりません。ゴードン王子はあなたの想いを察し、ヒルダ王女に愛される男になろうと頑張っています。自信さえ持てば何とかなると思います。
 ・・・な、なるほど! さっきの弟への伝言「自信を持て」は、そういう意味だったのか!
 な、なんて奥が深い物語なんだ。このFF2って奴は!


≪託されたもの≫

 スコット王子は息を引き取った。きっとあの言葉を伝えるために、これまで生き長らえていたのだろう。
 彼の想いは、残された者が継がなければならない。そして今それができるのは私たちだけだ。私たちはアルテアへと帰還する。あの言葉を伝えるために。そして彼と出会った証拠であるリング(指輪)を届けるために。

 このリングを王女に届けることで、反乱軍に変化がおきるはずだ。いくつかの真実が伝えられ、フィンの民とカシュオーンの民に真の絆が生まれるだろう。そして難民の集まりだったアルテアが、反乱軍として本格的に動き始めることだろう。きっと私たちが必要とされることもあるはずだ。例え頭数要員であったとしても。

 アルテアに帰る途中の戦闘で、ガイの力が上昇した。その反動で知性が下がった。
 おお、これがホントの馬鹿力!

 ・・・こんなこと言って笑っている私に、このリングが託されたんだよな。
 合掌。


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