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≪冒険者ギルドにて≫

 シリュン「軍人500人以上、一般市民100人以上・・・。惨劇の夜に、フェイデルの犠牲になった人の数だそうだ。・・・エレナ、見ていてくれ。ヤツはオレが倒す。もう誰にも、悲しみの涙を流させはしない・・・。」

 ファルナ「ねえ、フェイデルを助けられないの? また、奇跡を起こしてよ・・・。」

 リュード「大陸北西部に住んでいたグレートドラゴンが、近頃姿を見せないらしい。寿命で死んだのだとすれば、ドラゴンオーブが残されている可能性がある。行ってみないか?」

 シリュン「ドラゴンオーブってなんだ?」

 クライス「寿命をまっとうしたドラゴンが遺す、魔力の結晶のことです。魔力を大幅に増幅させる力があるため、魔法使いにとってはあこがれの品なんですよ。」

 リュード「ドラゴンオーブの力を借りれば、フェイデルと戦えるかもしれん。探してみる価値はあると思うがな。」

 クライス「ただ、もう一つの可能性も忘れないでください。そのグレートドラゴンが、何者かに倒されたという可能性を・・・。」

 リュード「グレートドラゴンを倒せる者などいるはずが・・・フェイデルか!」


≪ドラゴンオーブを求めて≫

 竜の巣とよばれる山にやってきました。そしてグレート級のドラゴンが住んでいたといわれる洞窟の入口まで来てみたのですが・・・。

 シリュン「ドラゴンはいないようだな。でもドラゴンオーブらしきものだってないぜ。」

 リュード「何者かが持ち去ったのかもしれん。この洞窟の奥に入ってみるか。」

 クライス「ドラゴンオーブは輝いているのですから、鳥が持っていったのかもしれません。そうであれば、もう・・・。」

 ファルナ「・・・クライスって、どうしてこう悲観的なんだろう・・・。」

 クライス「私はただ、可能性を・・・。」

 シリュン「おっ、夫婦喧嘩とは珍しいな。」

 ファルナ「だ、誰が夫婦なのよ・・・。」

 そして洞窟を探索していたのですが、現れる敵は強力な人造生物ばかり。どうやら魔法使いがドラゴンオーブの力を借りて作り出しているようです。
 そんな洞窟の奥で、奇妙な部屋に閉じ込められてしまいました。部屋の奥にあるスイッチに人が乗れば扉が開くのですが、別の物を乗せたのでは扉は開かないのです。どうやら仕掛けは機械的なものではなく、魔法的なもののようです。つまりこの部屋の仕掛けを破るまで、誰かがこの部屋に残らなくてはなりません。しかし仕掛けを作った魔法使いは、ドラゴンオーブを所有する強敵です。そのため戦力的に最も低いシリュンが立候補して、ここに残ることになりました。

 しかし予想された通り、これはパーティを分断するための罠でした。3人がドラゴンオーブを持った魔法使いを捜し出し、締め上げ、罠を解除させた時にはすでに、用意されていたモンスターにシリュンが襲われ・・・合流したときにはその命が尽きようとしていたのです。


≪命の値段≫

 シリュン「はは・・・偉そうなこと言って、このざまだ・・・。」

 クライス「ファルナ、リュード、回復魔法を!」

 ファルナ「かけてるわ! でも、この出血量じゃあ・・・。」

 シリュン「オレは、ここまでみたいだな・・・。お前らに囲まれて死ねるなら・・・。」

 クライス「約束を破る気ですか! 一緒にフェイデルを倒そうって・・・。故郷に帰ろうって・・・。」

 シリュン「すまないな・・・。お前らと出会えて幸せだったよ・・・。お前たちともっと冒険したかったな・・・。エレナ・・・ごめん・・・。    いま・・・行く・・・よ・・・・・・」

 クライス「シリュン? ・・・シリューーーーーン!」

 リュード「・・・クライス、弔ってやろう。」

 クライス「シリュン・・・。・・・・・・・・・このまま逝かせはしない。テレポート!」

 リュード「馬鹿、やめろ!」

 テレポートはスターダスト・レインに次ぐ、黒魔術の奥義です。それゆえ確実に成功させるためには様々な条件を整えておく必要があるのですが(たとえば地下では使わない、など)、クライスはそんなことをお構いなしに、入手していたドラゴンオーブの魔力と自身の集中力にものを言わせ、有名な白魔術師を訪ねて世界各地を飛び回りました。でも、蘇生の術を知る者はいませんでした。

 クライス「・・・そうですか、無理ですか・・・。」

 リュード「クライス、気持ちは分かるが・・・もう、認めろ・・・。」

 クライス「・・・・・・もう1人いた! テレポ・・・」

 リュード「止めろ! これ以上使うとお前が死ぬぞ! ・・・テレポートなら、俺も使える。どこへ行けばいい?」

 クライス「お願いします・・・願いの泉へ・・・。」

 そして願いの泉の女神、メライザを呼び出します。

 メライザ「結論から言うと、蘇生は可能よ。あなたたちの行動が早かったおかげでね。でも、諦めたほうがいい・・・。」

 クライス「大量の金があれば、シリュンは生き返るんですね!? いくら必要なんですか?」

 メライザ「厳密なことは分からないわ。ただ前例をあげるならば、ワインの瓶1本分では全く駄目だった。全財産を処分して金に代えた貴族も、奥さんと話せたのは一晩だけだった。でも今のシリュンならば・・・そうね、この袋に3つ分もあれば・・・。」

 クライス「・・・・・・金額にして、700万シルバくらいですね。」

 リュード「・・・500万くらいならば、俺が何とかできる。金を大量に所有している組織にもいくつか心当たりがある。後の200万は、お前たちで何とかしろ。」

 そしてリュードはサリス王城の自室に忍び込み、国宝である聖竜の武具を売って金に変えます。またクライスはフェイデル戦に必要なドラゴンオーブを魔術師ギルドに売ることで、莫大な金を手にすることができました。

 メライザ「・・・あなたたち、どうやってこれだけの金を・・・。・・・いいわ。この人には恩もあるし。」

 そしてメライザはかつてと同じように、いえ、それ以上の奇跡を起こします。

 クライス「シリュン? ・・・呼吸が!」

 シリュン「Zzz・・・。」

 メライザ「ふぅ、どうやらうまくいったみたいね。しばらくは起こさないほうがいいけど、心配はいらないから。」

 クライス「良かった・・・本当に・・・・・・。」

 ファルナ「クライス? ・・・眠っちゃった。」

 リュード「しばらく寝かせてやれ。最悪の条件でテレポートを使い続けたんだからな。普通の人間ならば1回と持たない魔法だ。どれだけ消耗しているのか想像もできんよ。」

 ファルナ「クライス・・・あなたって人は・・・。」

 リュード「2人を頼む、俺はサリスに戻る。」

 ファルナ「こんな時に出かけるの?」

 リュード「こんな時だからだ。トゥレイドは死んでも、その影は生きている。騎士団を放っておくわけにはいかん。それに手がかりをつかんだらしいからな・・・。お前も覚悟を決めておけ。次は、フェイデルだ。」


≪フェイデル対策会議≫

 クライスは何日も眠り続けた後で、ようやく目を覚ましました。しかしシリュンはまだ眠ったままです。そこでシリュンのことはメライザに任せ、一行はサリスに戻ります。なんでも騎士団と魔術師ギルドの代表が集まって、フェイデル対策会議が行われるのだとか。クライスとファルナは最強の黒魔術師と最強の白魔術師であるため、参加することを許されました。

 そして会議場。そこには2人の他に、騎士団代表としてリュードが、そしてフェイデルの調査をした冒険者としてセザールとレイバートが来ていました。魔術師ギルドの代表はまだ来ていませんでしたが・・・。

 エディ「お待たせー。魔術師ギルド代表、高導師のエディシアでーす。って、知ってる顔ばかりじゃないの。だいたいリュードが代表だなんて、騎士団の人事はどーなってるのよ!? ともかく始めるよ。まずはおっちゃんから、調査の報告をお願いね。」

 セザール「えー、コホン。フェイデルが見つかった。ヤツはサリスの西に浮かぶ島の洞窟にいる。ヤツはこの6年、何もしていなかったと思われる。島の住人さえ気づかなかったくらいだからな。ところが先日、島の守護者であるコアトルの死骸が見つかり、調べてみると・・・というわけだ。ヤツは傷がいえ、活動を再開したのは間違いない。次はこの町だろうな。」

 エディ「終わり? じゃあ次は、髭のおっちゃんだね。」

 レイバート「ワタクシはフェイデルに関する意識調査をしてみたのですが、今でも多くの者が不安を抱えて暮らしておりますな。その一方で惨劇の夜を経験していない者、特に雇っている傭兵などは油断しきっております。これでは奴が現れると同時に、秩序が崩壊するのは目に見えておりますな。」

 エディ「えーと、次は騎士団代表のリュードだね。」

 リュード「騎士団の戦力だが、はっきり言ってあてにならない。フェイデルに通用する武器は惨劇の夜にほぼ使い切り、今はバリスタ(超大型のボウガン)しかないという状況だ。騎士を主力とするならば、惨劇の夜の時の悪魔の群れのような、壁になる何かが必要だろう。」

 エディ「次は魔術師ギルド代表の・・・うっ! ・・・クライス、お願い。」

 クライス「空を飛べるフェイデルと、屋外で戦うのは避けるべきでしょう。魔法で撃ち落とすというのも、ドラゴンの飛行速度などを考えると困難であると思われます。最も勝算が高いのは、こちらから出向き、洞窟内で戦うことではないでしょうか。」

 リュード「それだと少人数で戦うことになるな。それこそ無謀ではないのか?」

 セザール「あの洞窟で一度に戦えるのは・・・5、6人くらいまでだな。」

 リュード「無理だな・・・。奴の前ではローディエルでさえ、壁の1つでしかなかったというのに・・・。」

 クライス「・・・6人なら、私たちで丁度ですね。」

 リュード「お前、正気か!?」

 クライス「他に手はないんですよ。それにローディエルなら、私たちも4人で倒しています。・・・勝算は極めて低いでしょう。ですが、まったく無いとは思いません。可能性がある限りあきらめてはいけない。そして今は、全てを賭けるとき。そうは思いませんか?」

 レイバート「よ、よくぞ決心なさいましたな! それでこそ真の勇者というもの! このレイバート、最後までお供いたしますぞ!」

 セザール「するとこいつが足を引っ張らないように、俺が見張っておかないといけないな。」

 エディ「ファルナはクライスに賛成だよね? じゃあ、アタシも行こうかな。」

 リュード「まったく、お前らは・・・。騎士には国民を守る義務があることを知らんのか?」

 ファルナ「結局こうなるのね・・・。行きましょう、クライス。未来のために・・・。この手で奇跡を!」


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