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≪消えた村≫

 村が消える前に、その村に向かったという老魔術師がいるという話を耳にします。すると村が消えたのは、幻術によるものかもしれません。そこで、村はこの辺りのはず、というところでトゥルーサイト(真実の目)の魔法を使い、周囲を確認してみます。すると幻の森で村全体を隠していたことが分かりました。
 クライスたちは、人が集まっているらしい教会へと向かいます。

 教会の入口近くで、女の子が猫と遊んでいました。クライスがよく知っている猫とそっくりです。

 クライス「ミシェル!? なぜ、こんなところに・・・。もしかして、師匠も一緒なのですか?」

 ミシェルは案内するように、教会の中へ入って行きました。追いかけていった先の部屋には、師匠ディルマーが待っていました。

 ディルマー「遅いぞ、クライス。たくましくはなったようだが、ここの異変に気づかぬようではまだ未熟じゃな。」

 クライス「申し訳ありません。ここでいったい何が・・・。」

 ディルマー「南に遺跡があるのを知っているか? そこで魔界に通じる門が開きつつある。」

 リュード「ローディエルの仕業だな?」

 ディルマー「おそらくな。遺跡の周辺には、すでにかなりの数の悪魔が集まっておる。魔界へ帰ってくれるのであればよいのだが、逆に数を増やされると手に負えんなる。いや、今のままでも・・・。」

 リュード「その心配は無用だ。ローディエルは俺たちが倒してみせる。」

 シリュン「俺たちってことは、オレも入っているんだよな? ・・・まあいいけど、相手は魔王だぜ!?」

 そして作戦を練ります。と言っても、ファルナとシリュンはミシェルが気になるようで・・・。

 ミシェル「ご主人様、偉そうなことを言ってたけどね、本当は1人暮らしでヒマだから、魔法の水晶球ばかり見てたんだ。一日中見ていたら、なんだって見つけられるよね。」

 シリュン&ファルナ「猫がしゃべった!?」

 クライス「ミシェルは使い魔なんです。猫の姿をしていますが、精神的には人間と変わらないんですよ。」

 シリュン「ファルナには甘えるのに、俺にはかみつくのはそういうことか。・・・てめえ、許さん!」

 ミシェル「にゃ、にゃーお・・・。」

 またリュードは、魔王という存在について教えてくれました。

 リュード「魔界にも国はいくつもあり、その数だけ魔王がいる。奴もその中の1人にすぎん。俺たちだけでも倒すのは可能だろう。問題は奴よりも、むしろ無数のザコのほうだな。」


≪スターダスト・レイン≫

 問題の遺跡が見える丘にやってきました。話に聞いたとおり、かなりの悪魔が集まっているようです。」

 シリュン「あの悪魔をすべて倒そうってのか!? 見えてるのだけでも100や200じゃないぜ!」

 リュード「ディルマー殿・・・。あなたはかつて、サリスの宮廷魔術師にして魔術師ギルドの最高導師だったとか。ならば、あの魔法をご存じのはず。」

 ディルマー「・・・確かにあの魔法を儀式で増幅すれば、ここからでも奴らを一掃できる。じゃが、老いたこの体では使うことはできん。もし今の世に、あの魔法を使える者がいるとすれば・・・。」

 リュード「クライス、やってくれるな?」

 クライス「・・・・・・。」

 リュード「・・・そうか、お前でも無理か・・・。」

 クライス「・・・使ったことはありません。ですが、おそらくは使えるでしょう。・・・危険ですから、みんな下がっていてください。」

 シリュン「おいおい、あの遺跡を狙うんだろ? なんでここが危険なんだよ。いったい、何をしようとしているんだよ!?」

 クライス「スターダスト・レイン(星屑の雨)。使いこなせた者は歴史上でも10人に満たないといわれる、黒魔術の奥義です。それを初めて使う私が増幅までさせるんです。何が起こるか分かりませんよ。」

 ディルマー「・・・そうじゃな。わしらは避難させてもらうとするかの。」

 そして1人ずつ、クライスに言葉をかけてから避難を始めます。

 ディルマー「クライス、自分に負けるでないぞ。そのために冒険者となったのじゃろう? お前の修行の成果、見せてもらうぞ。」

 ミシェル「よく分かんないけど・・・。クライスなら大丈夫だよ!」

 シリュン「もう、あの時とは違う。俺たちは強くなった。そう思わないか?」

 リュード「スターダスト・レインを使いこなせたものが少ないのは、誰もが己のためという軽い気持ちで使っていたからだ。以前の、復讐を望んでいた時のお前ならば、同じ過ちを犯したことだろう。だが今のお前は気づいているはずだ。お前を支えている多くの者たちに。お前が決して、孤独な復讐者ではないということに。・・・どう応えるかは、お前次第だな。」

 ファルナ「クライスなら、きっとできるよ。だから、わたしはここに残るわ。儀式の間は無防備になるから、誰かがそばにいたほうがいいでしょう?」

 クライス「そうですね・・・。お願いします。失敗するわけにはいきませんから・・・。」

 ファルナ「そんなに思いつめなくても・・・。」

 クライス「・・・子供のころ、初めて使った魔法を失敗して、妹のエレナを巻き込んだことがあるんです。それからずっと、魔法が怖くて使えなかった・・・。今の私が魔法を使えるのは、エレナの命を奪ったフェイデルへの憎しみのため。恐怖を克服したわけではないんです。師匠も、シリュンも、リュードも、そんな私の弱さを見抜いていた。そして私に、克服する機会を与えてくれた・・・。みんなの期待に応えなければ・・・。復讐することの愚かさを分かっていながら捨てきれない、弱い自分に打ち勝たなければ・・・。」

 ファルナ「・・・考えすぎよ。わたしにはクライスが、弱い人だなんて思えないもの。最愛の人を殺されたら、復讐したいと思うのは自然なことよ。それを簡単に捨てられる人は、本当の悲しみも憎しみも感じていないだけ。だから弱い心でも耐えることができるの。でもクライスは違うわ。あなたは自分に嘘をつけない厳しい人。そして全てを愛する誰よりも優しい人。誰よりも強い心を持っているからこそ、そんな生き方ができるの。わたしはそう思っているよ。でもすべてを一人で背負う必要はないわ。クライスには仲間がいるんだから。役に立てないかもしれないけど、私もそばにいる。いつだってそばに・・・。」

 クライス「そうですね・・・。わたしは一人じゃない。みんなを守るための力を、みんなが分けてくれる。もう、迷いはしない・・・。」

 夜空をかける星々の子よ、奇跡をもたらす光の使者よ。我が願いは汝の祝福・・・。
 この地に集いて全てを壊せ、光の舞を彼らに見せよ。スターダスト・レイン!


 天空から舞い降りた無数の光の帯が、遺跡の周辺に降り注ぎました。そしてそれが収まった時、遺跡の周辺から悪魔はいなくなっていました。

 シリュン「すげえ・・・。お前を怒らせたら国だって滅ぶな・・・。」

 リュード「・・・これならフェイデルにも通用する。地面に叩き落とすことができれば、奴を倒すことも不可能ではなくなる・・・。」

 シリュン「よし、行くぜ! ミシェル、帰ってきたときには、もう馬鹿にはさせないからな!」

 ミシェル「がぷっ。」

 シリュン「うぎゃっ!」

 飛び跳ねるシリュンを見て、一同大笑い。こんな時なのに、あの1人と1匹は何をやっているんだか。でもおかげで、余計な緊張感をほぐすことができたのかもしれません。もっとも1人、逆に気合が入っている人もいましたが。

 クライス「(そう、私は一人じゃない。辛いはずの旅を、こんなにも楽しくしてくれる仲間がいるのだから。誰もが支え合って生きているのだから・・・。みんなの明日の笑顔のために、この世界、私が必ず守って見せる・・・。)」

 そして魔界へ通じる門があるという、その遺跡へと向かうのでした。


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