≪エミネ・ヘルミナ≫
テレポートの修行のために訪れた、エミネ・ヘルミナ。それは古代の魔法王国であり、その魔法軍事力を駆使して、当時の最強国家である帝国から支配されるのを防いでいました。また鎖国を守り通した結果、独自の文明や言語も守り続けることができたと言われています。もっともそれが原因でエミネ・ヘルミナ語の研究は進んでおらず、サリスの魔術師ギルドにも、解読不能な書物がいくつも存在しているのですが。ちなみにこの世界には浮遊大陸が1つあり、それはエミネ・ヘルミナ人によって造られたと言われています。
さて、そんな国の遺跡を探索したところ、テレポートの修行場を見つけることができました。クライスが修行している間、シリュンとファルナは別の場所を探索です。
テレポートの修行はミニゲームになっていました。真っ暗な部屋の中で、わずかな時間のみ灯される明かりを、記憶と感覚を頼りに追いかけていくという、空間把握能力を鍛える修行です。もちろん要領が分かっている私ですから一発で成功! クライスはテレポートを習得することができました。
そしてクライスは、シリュンたちと合流します。2人は不思議な部屋を見つけていました。転送の魔法陣の先にあったその建物は、なんと砂漠の中にあったのです。これは大陸の西の端から、中央部まで移動してきたことを意味します。
クライス「砂漠・・・するとここは帝国跡? なぜエミネ・ヘルミナから、敵国であった帝国へ?」
シリュン「さあな。ここからはお前の仕事だよ。」
クライスはその部屋から、言語に関する研究書や日記を見つけました。どうやらこの部屋のかつての主は、エミネ・ヘルミナ人の捕虜を妻とし、彼女から言語や文化を学んだ後にエミネ・ヘルミナに投降。その後は両国の和平実現のために働いていたことが分かります。もっともその日記は、古代王国滅亡の日と思われる日付で終わっていたのですが・・・。
しかしこの研究資料があれば、サリスの魔術師ギルドにあった未解読の本を読むことができそうです。読書家のクライスにとっては宝物を見つけた気分だったでしょうが、実はそれ以上に大きな意味を持つことになろうとは、今の彼には想像もできませんでした。
≪帰還≫
一行はサリスまで戻ります。サリスの広場に入った時、見覚えのある女性がうろうろしていました。彼女はクライスたちに気付くと駆け寄ってきました。
エディシア「クライス、ごめんなさい! アタシ・・・アタシ・・・。」
シリュン「話は聞いたよ。何も言わなくていい。戻ってきてくれれば、それで十分だ。」
エディ「でもアタシ、戦えないし、魔法だってクライスにはかなわない。おまけに弱虫で・・・。こんな役立たず、いらないよね・・・。」
シリュン「・・・・・・・・・答えろ! お前は冒険者として生きたいのか! それとも嫌なのか!」
エディ「アタシ・・・みんなと一緒に、冒険したいよぅ・・・。」
シリュン「だったら悩むことはないだろ? かなわないからと言って、何もできないわけじゃない。一番だからと言って、何でもできるわけじゃない。自分にできることをして、できないことは助けてもらえばいいんだ。オレたち、ずっとそうやってきただろ? そうやってこれたから、今でも冒険者をやっていられるんだろ? お前は、役立たずなんかじゃないよ。」
エディ「シリュン・・・ありがと・・・。」
ファルナ「ねえ、エディシアって・・・。」
クライス「彼女が、あなたのお姉さんですよ。」
ファルナ「やっと会えたのね・・・。姉さん!」
人目も気にせず抱き合って喜ぶ2人。それを見てシリュンがポツリともらします。
シリュン「あの2人、姉妹なんだって?」
クライス「そうらしいですね。」
シリュン「言われてみれば、顔立ちとか似ている気はするけどよ・・・。どう考えたって、ファルナのほうが年上だよなー。」
≪手がかり≫
時間を巻き戻しますが、リュードと別れて間もない時の話です。
シリュン「リュードの話、覚えているか?」
クライス「ええ・・・今から4年ほど前にサリスを襲った、常識外れの力を持つ黒竜・・・。わたしたちの故郷を滅ぼした黒竜とおそらく同じドラゴンでしょう。」
シリュン「手がかり・・・やっと見つけたな・・・。」
夢が現実に近づき、士気が上がる2人。そして(半年以上もかけて)サリスの冒険者ギルドに戻ってきたとき、待っていたのはドラゴン退治の依頼でした。例の黒竜であるかどうかは分かりませんが、エディシアを加えて4人になった一行はその依頼を引き受けて、南方の島国へと旅立ちます。
またその前に、魔術師ギルドにエミネ・ヘルミナ語の研究書を渡し、未解読の書物の解読を依頼しておきました。いったいどんなことが書かれているのでしょうか?
≪人の器と竜の器≫
ドラゴン退治の依頼は、島国ダーリアの王様直々です。そのため必要になる船や船員まで貸してもらえます。そしてドラゴンに襲われたという家を調べ、ドラゴンの強さやタイプを予測し・・・例の黒竜ではなさそうだということが分かって半ばがっかり、半ばホッとしながらも、ドラゴンの巣がある洞窟へ向かいます。
そしてドラゴン戦。ドラゴンは海の近くで眠っていました。強化魔法を徹底的に掛けてから戦いを始められるという大チャンスです。そして戦闘! 何度もピンチになりながらも、なんとか勝利を収めました。
シリュン「はははっ・・・、オレたちだけでも勝てたじゃないか・・・。これなら、いつかはあいつにだって・・・。」
クライス「シリュン、このドラゴンは・・・。」
シリュン「ああ、分かってるよ。あいつはこんなもんじゃない。でも、自信にはなったぜ。」
クライス「・・・このドラゴンは子供です。人間でいえば15才にも満たない・・・。サリスの王城をも破壊したあいつとは、比較になりません。」
シリュン「こいつが子供だって!? ・・・オレだって竜退治の伝説を、そのまま信じたりはしていなかったよ。簡単に倒せるとは思っていなかったよ・・・。でも・・・ウソだろ・・・。ヤツは倒せないのかよ・・・。オレたちは、たった一つの願いさえもかなえることができないのかよ・・・。」
ここで選択肢が現れます。
A「わたしは諦めていません。」
B「これが現実です・・・。」
基本的に一本道のストーリーなので、どちらを選んでも大差はないのですが、やはり主人公は強くなくては! ということでAを選択します。
クライス「リュードを思い出してください。人は、あそこまで強くなれる・・・。それに武具や魔法だって、今以上のものが確実に存在するんです。可能性がある限り、私は諦めませんよ。」
シリュン「・・・そうだな。エレナのためにも、諦めるわけには・・・ん?」
その時、海賊船が現れました。そして物体を吸い込む魔法のつぼを使って、ドラゴンが守っていたお宝を回収して逃げ出します。
海賊「ドラゴン倒してくれて、ありがとよ!」
エディ「ファイヤーボール!」
エディシアが放った火球の魔法は、海賊船に直撃! しかし・・・
シリュン「効いてねえぞ!」
エディ「うそっ!?」
どうやら魔法の船らしく、財宝は持っていかれてしまったのでした。
≪夜会話、その3≫
その夜のキャンプで、見張りがファルナからクライスに代わろうとしていた時のことです。
ファルナ「ねえ・・・エレナって誰なの?」
クライス「・・・シリュンの婚約者です。5年前に、黒竜に殺された・・・。」
ファルナ「あっ・・・ごめんなさい。」
クライス「いえ、私のほうから話しておくべきでした。私とシリュンの、復讐のことを・・・。」
そしてクライスは語り始めます。
クライス「私たちが生まれ育った村には、月見祭という祭りがありました。満月の夜に行われるその祭りで、その月に結婚する2人が月の女神に踊りをささげ、祝福を受けることで、はじめて夫婦と認められたんです。シリュンとエレナが結婚するはずだった日、ゴブリンの襲撃によって祭りは中止になりました。そして私とシリュンがゴブリンを退治して帰る途中で見たものは、黒竜によって焼きつくされた村だったんです。・・・島中の若者が、エレナに憧れていたんです。エレナの笑顔はみんなを明るくした。言葉を交わすだけで、誰もが幸せになれた・・・。でもエレナは、自分の幸せをつかむ前に・・・。」
ファルナ「そうだったの・・・。それでクライスは2人のために・・・。それとも・・・クライスも恋人を・・・。」
クライス「エレナはね・・・私の、自慢の妹だったんですよ・・・。」
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