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≪再会と別れ≫

 宿で待っていたのは・・・

 クライス「シリュン!? なぜ、こんなところに・・・。」

 シリュン「なぜって、サリスの件が片付いたからに決まってるじゃないか。花は咲いたよ。小さいけど、立派な花が・・・。オレがするのはそこまでさ。やっぱりオレは冒険者の方が性にあっているみたいだから・・・また、よろしくな!」

 そして2人は、これまでのことを語り合います。

 シリュン「ふーん、噂は聞いていたけど、お前のほうも色々とあったんだな・・・。そうだ、レイバートさん。あんたに伝言があったんだ。奥さんからだけどな、たまには帰って来いってさ。」

 レイバート「そういえば、もう何年も顔を見せておりませんでしたな。残念ですが、ここでお別れですな。・・・クライス殿。あなたが本当の勇者となるときには、必ずやおそばに居させてもらいますぞ。・・・しかし困りましたな。無事に家までたどり着けるかどうか・・・。まあ、傭兵でも雇うとしますかな。」

 そして彼は宿を後にします。

 セザール「あー! そういえば、傭兵の仕事が入っていたんだった。悪いがオレもここまでだな。クライス、楽しかったよ。もう守ってはやれないが・・・お前たちならやっていけるさ!」

 そしてレイバートを追いかけるようにして宿を出ていきます。
 あの2人、仲が良いのか悪いのか・・・。

 そして3人は、これからのことを話しあいます。

 シリュン「もうサリスにだって帰れるんだが・・・。」

 クライス「そのことなんですが、テレポートの魔法の修得に挑戦してみようと思っているんです。テレポートは最上級魔法の1つ。でも儀式を施した場所にならば、一瞬で行くことができるようになりますので、今後の旅が格段に楽になるはずです。問題はこの魔法、修行に特別な手順があるらしく、古代王国の遺跡で修行場を探さなければならないということなんですが。」

 シリュン「テレポート? ああ、あの時(第2話の回想)クライスが使って失敗した奴だよな。そんなにすごい魔法だったのか。・・・いや、2人とも見知らぬ土地にまで飛ばされたんだから、確かにすごいとは思うんだが。なるほど、そういう事情があったんだな。よし、まずはその遺跡を捜そうじゃないか。」

 近くにいた旅人「北の街道を2週間ほど歩いたところに、エミネ・ヘルミナという、古代の魔法王国跡がありますよ。」

 シリュン「・・・手がかりって、意外と簡単に見つかるものなんだな。」

 これは幸運であって、手抜きではありません。いやほんと。


≪勇者リュード≫

 エミネ・ヘルミナに最も近い、村12で一休み。その時、気になる話を耳にしました。

 村人「遺跡の一部がルヴィア教団の教会になっていたことが分かって大騒ぎしてたんだけどな、ちょうど良いときにあのリュードさんが来てくれたんだ。これで安心して眠れるってもんだよ。・・・でもそういえば、リュードさんが旅立ってからもう5日。帰ってこないのはなんでだろう? ・・・まさか、返り討ちなんてことには・・・。」

 クライスたちは、念のため急いで遺跡に向かいます。そして教会を発見して踏み込んだのですが・・・信者たちはなぜか全員、心ここにあらず、といった様子です。その時、地下室に続く階段から、立派な武具に身を包んだ凛々しい男が現れました。

 シリュン「あんたがリュードさんかい?」

 リュード「そうだが、君たちは?」

 そして簡単に自己紹介をしあいます。

 リュード「そうか、君たちが・・・。すまないが、手を貸してもらえないだろうか。この先に司教が隠れているはずなんだが、見つからないのだ。」

 クライス「・・・その前に聞かせてください。あなたがルヴィア教団と戦う理由を。」

 リュード「そうだな・・・口で説明するよりもあれを見てもらったほうが早いだろう。ちょっとこっちへ来てくれ。」

 そういうと、地下室へ案内します。そこには上級悪魔の死骸がありました。

 リュード「これが、ここにいた司祭の正体だ。いや、こいつだけではない。ルヴィア教団の幹部は、そのほとんどが悪魔だ。なにせルヴィア教団は、悪魔によって作られたものだからな。」

 クライス「それが、あなたの戦う理由・・・。」

 リュード「ああ・・・。といっても、それだけではないんだがな。・・・君たちには教えておこう。ルヴィア教徒、いや悪魔たちの本当の目的と、その発端となった4年前の事件を。」


≪惨劇の夜の話≫

 リュード「4年前、スメリア国の王都サリスが1頭の黒竜に襲われた。サリスはグレートドラゴン(最高位の竜)の襲撃にも耐えられるはずだったが、その黒竜には通用しなかった。そこで最後の手段として、トゥレイド殿下が魔王とその配下を召還して戦わせたのだ。」

 シリュン「トゥレイド殿下って、失踪したというサリスの王子か?」

 リュード「そうだ。結局魔王軍は敗れたが、黒竜も深手を負って逃げていった。しかしその魔王、ローディエルとともに召喚された、配下の悪魔は一部生き延びた。その悪魔たちの狙い、それはローディエルが召喚に応じた真の目的を実現させるため、人間たちを支配することなのだ。しかしそれは、奴らにとっても容易なことではないのだろう。数が少ないことと、太陽の光に弱いという致命的な弱点を持っているからな。そのため奴らは、その弱点を補うものを作り出した。それがルヴィア教団だ。」

 クライス「あなたはなぜ、そんなことを・・・。」

 リュード「オレはサリスの特務部隊所属にして、トゥレイド殿下の影だからな。大抵のことは知っているさ。このこと、他の人には言わないでくれよ。」

 ファルナ「王子がいないときに、影であるあなたが国を離れてよかったの?」

 リュード「これが殿下の望みだからな・・・。殿下は禁呪である魔王の召還を行った代償に、呪いを受けて闇にとらわれた。俺がルヴィア教団と戦うのは、その呪いを解くための手段なんだ。」


≪リュードの秘密≫

 その後4人は、隠れていた司教を捜しだして倒します。・・・いや正確には、捜しだしたのはシリュンで、倒したのはほとんどリュード一人でした。今のクライスたちは、一流〜超一流といってもいいレベルであるはずですが、リュードの強さは段違い。さすがは世界最強と言われる勇者です。おまけに修得している魔法は、どれもクライスが知らないものばかり。これがサリスにのみ伝わるという、古代王国時代の知識のようです。
 その後リュードはお礼を渡すと、どこかへ去って行きました。

 シリュン「あの人、噂になるはずだよな・・・。」

 クライス「ええ・・・。」

 しかしクライスは気づいていました。リュードが別の意味で普通ではないということに。

 そもそも、クラス名が「ダークナイト」ってなにさ!
 装備している物の名前が、剣「ハイプライス(高い代償)」、盾「ライフルーズ(生命喪失)」、兜「マインドブラスト(精神破壊)」、鎧「ソウルブレイク(魂砕き)」、アクセサリー1「フェイト(悪い運命)」、アクセサリー2「ディスペア(絶望)」ってなにさ! 全部呪われているってなにさ!
 この人、本当に勇者なのか?

 リュードは何かを隠している。それも肝心なことを。クライスはそう思わずにはいられませんでしたが、それでも彼を勇者として認めないわけにはいかず、目標になりうる存在として、彼らの心に強い印象を残したのでした。


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