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≪再び死霊の町へ≫

 死霊の町での戦闘が再び始まったという話を聞き、クライスたちも向かいます。なんでも有名な聖戦士が死霊の町を訪れたためらしいです。町の住人は元来リュードが来てくれることを期待していたようですが、不死者退治の専門家である聖戦士ということで、地下墳墓の入口にしていた封印を解き、攻勢に出たのだそうです。

 町に着いたところ、以前の重苦しい雰囲気がなくなっていることに驚かされます。なんでもリモンドと名乗る聖戦士は、若くて美しい女性らしく、兵士たちの士気が高まっているのです。

 エディ「・・・男って。」

 レイバート「魔法戦士クライスと聖戦士リモンド、2人の勇者夢の共演! うむ、素晴らしい詩が作れそうですぞ。」

 セザール「そんなこと言っていると、どっちかが死にそうだな。」

 レイバート「勇者とは散りゆくさまも美しいもの。題材として悪くありませんぞ。」

 クライス「・・・勘弁してください。」

 以前は門前払いをされたクライスたちでしたが、今回は攻勢に出ているということ、そしてクライスのうわさを聞いて憧れていた人が門番をしていたということで、地下墳墓に入ることを許されました。

 門番「クライスさん、頑張ってください!(セザールの手をがっちり握る)」

 クライス「・・・。」

 レイバート「気にしていはいけませんぞ。クライス殿の名前のおかげで、仕事にありつくことができたのですからな。」


≪回復役、離脱!≫

 ゾンビやグールといった不死者たちを倒しながら、巨大な地下墳墓を進みます。

 エディ「ぐ、ぐろい・・・。こんなのばっかし・・・。アタシ帰るー。」

 セザール「こらこら。」

 その時、突然地面が揺れました。最後尾を歩いていたエディシアのすぐ後ろの地面が口を開け、そこから巨大なミミズが現れました。エディシアが大嫌いな足のない生き物です。しかも超巨大。

 エディ「きゃー!!!」

 エディシアは、隠し持っていたテレポートオーブを使って逃げ出しました。
 西の端の死霊の町から、東の端のサリスまで。本当に帰ってしまいました。

 アースワーム(大ミミズ)を倒した一行ですが、大ピンチです。何せエディシアはこのパーティで唯一の、白魔法の使い手なのですから。

 セザール「どうすんだよ。この先、嬢ちゃん抜きで・・・。」

 クライス「・・・進むしかないでしょう。先行しているという、聖戦士たちと合流するしか道はありません。」

 そして間もなく、聖戦士と護衛の兵士たちのパーティに合流することができました。聖戦士は、鎧の上に白い服を着て白魔術を操る銀髪の女性で、黒ずくめのクライスとは対照的です。

 聖戦士「初めまして、ファルナ・リモンドと申します。あなたがクライス様ですね? お目にかかれて光栄ですわ。」

 彼女はクライスを間違えませんでした。なぜかクライスのことを知っているようです。

 セザール「(ひそひそ)堅苦しい奴だな。これだけの器量なら町が活気づくのも分からなくはないが・・・俺は好きになれんな。」

 レイバート「そういう問題ではないでしょうに・・・。」

 なお、お供の兵士たちがボロボロなのに対し、ファルナだけがほとんど無傷です。彼女によれば「彼らが守ってくださったから」ということですが、彼女自身、相当な力量の持ち主であることがうかがえました。しかし疲労が蓄積してこれ以上の進軍は困難ということで、この日は不死者を防ぐ結界(聖域)を張ってキャンプをすることにしました。


≪夜会話、その2≫

 夜中、クライスはふと目を覚ましました。

 ファルナ「・・・眠れない。眠れるわけないよ、こんなところで・・・。お母さん・・・。私、お母さんみたいに強くはなれないよ・・・。」

 唯一の女性ということで少し離れたところで休んでいた、ファルナの様子がおかしいのです。そこで他の人を起こさないように、そっとファルナの側へ行きます。

 ファルナ「・・・! だれっ!」

 クライス「クライスです。眠れないのですか?」

 ファルナ「ええ、ちょっと・・・。」

 ファルナは涙をこらえていたようです。

 ファルナ「・・・ははっ、見られちゃったね。ばれちゃったね。これが本当の私・・・。昼間の、聖戦士としてのわたしは偽者なのよ・・・。私はクライスさんと肩を並べて歩けるような人間じゃない・・・。あなたのような本物の勇者と・・・。」

 クライス「私も勇者などではありませんよ。噂はすべてレイバートさんが、尾ひれをつけて流したものです。冒険者の知名度は、収入に響きますからね。本当の私は復讐者・・・。いえ、それにすらなれない、弱い人間です。」

 ファルナ「謙遜ね・・・。わたしクライスさんのこと、少しは知っているのよ。だってわたしは、エディシアの妹なんだから。姉さんから、何度も手紙をもらったから・・・。わたし、あなたたちについて行くわ。そうすれば、今度こそ姉さんに出会えそうだから。・・・それにクライスさんの強い心、私にも分けてほしいから・・・。」

 2人は色々と話をし、やがて夜が明けます。といっても地下墳墓の中なので、夜明けなんて関係ないんですけれど。
 そして進軍を再開します。総勢7名となった突撃隊ですが、兵士たち3人はここに残ることになりました。足手まといになるからです。クライスとファルナは支度を終えましたが、セザールとレイバートがぐずぐずしています。

 ファルナ「2人とも、まだなの?」

 セザール「ちょっと待ってくれよ、リモンドさんよ。俺は重装備なんだぜ。」

 ファルナ「ファルナでいいわよ。それと、鎧を着ているのは私も同じよ。最後まで寝ていたからでしょう?」

 そしてファルナは、クライスの側に戻ります。

 レイバート「聖戦士殿、何やら雰囲気が変わりましたな。」

 セザール「ああ、変わったな、クライスも。昨日は2人とも、クマなんてなかったはずだ。」

 レイバート「あんなになるまで夜更かしして、一体何をしていたのやら。」

 セザール「まったく、最近の若い奴らは・・・」

 ファルナ「おそーい!」

 セザール「へい、へい。今行くよ。」

 そしてレイバートは、並んで立つクライスとファルナを見てポツリともらします。

 レイバート「春ですなぁ〜。」


≪罪なき人は善人か≫

 4人は地下墳墓の奥にいたネクロマンサー(死霊術師)と、彼が最高の作品だと自慢していたドラゴンゾンビを倒します。

 クライス「優れたゾンビを作る・・・そんなことのために、こんな事件を・・・。」

 レイバート「彼にとって、ゾンビを作ることは生きがいだったのでしょうな。つまりは望んだことをしていただけ。他人と異なっていたのは価値観なのか、それともこんな力を得ることのできた環境や才能なのか・・・。事件を起こした者とそうでない者、両者にどれほどの違いがあるものか。あるとすれば、それは・・・。」

 セザール「やめてくれ、頭が痛くなる。それにこんな臭い所にいつまでもいたら、鼻までおかしくなっちまう。サッサと戻ろうぜ。」

 そして町に戻ったクライスには、とあるお客が待っていました。それは・・・


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