≪2つ目の仕事≫
使われていない灯台に明かりがつき、村人が不安になっています。調査をお願いします。
冒険者ギルドに残されていた仕事を引き受け、クライスたちは村3へ向かいます。そしてそこから小舟に乗って、小島にある灯台に向かいます。
灯台には特に魔物が住んでいるわけでもなく、どんどん上の階に向かいます。ところがもうすぐ最上階というところで、シリュンが何かに気付きます。
シリュン「気をつけろ! 上に何かいる!」
そして慎重に登ってみると・・・そこは妖精の楽園でした。羽根の生えた小妖精が輪になって、陽気に踊っていたのです。
エディ「かわいいー!」
シリュン「こいつらが明かりの原因ってことか?」
クライス「そのようですね。」
その時、人間に気付いた妖精たちは、一斉に姿をくらましました。妖精は透明になることができるのです。
クライス「・・・どうします?」
シリュン「どうするったって・・・。」
エディ「仕事が終わったんだから、帰ろうよ。」
そして3人は、引き返しながら相談をします。
クライス「問題は、どう報告するかですね。」
エディ「妖精が踊ってました。じゃ、ダメなの?」
シリュン「ダメなんだよ。妖精がいるなんていったら、捕まえて売り飛ばそうとか思うやつが必ず出てくるんだから。」
エディ「へー、色々考えてるんだね。」
シリュン「お前も、このくらい考えろよ。・・・いてっ!」
クライス「どうしました?」
シリュン「なんでもない。エディシアに蹴られただけだ。」
エディ「アタシ、そんなことしてないよ!? あいたっ! シリュン、今あたしの頭叩いたでしょ!」
シリュン「どうやったら後ろにいるお前の頭を叩けるんだよ・・・! いるんだろ? 捕まえたりしないから、姿を見せてみな?」
そう言うと、少ししてから妖精が1人、姿を現します。
妖精「あの・・・お願いがあるんだけど。明かりの素があんまり残ってないの。取りに行ってくれない?」
エディ「どうするの?」
シリュン「・・・いいんじゃないか? どうせこのままじゃ帰れないんだ。新たな展開に期待しようじゃないか。」
エディ「シリュンの頭じゃ、考えたって何も出てこないもんね。というわけで、OKだよ!」
妖精「ありがとう! 明かりの素はリルドっていう羽根なし妖精が持ってるんだけど、クイズを解かないと分けてくれないの。家までは案内できるけど、そのあとはお願いね!」
≪リルドの迷宮≫
リルドという妖精の家は、洞窟になっていました。
妖精「あれ〜? リルドいないの〜?」
その時、奥から武装した人間の男が現れます。奇妙な形をしたペンダントをしているのが特徴的です。
シリュン「あんた何者だ? ・・・まさか、ルヴィア教徒か!」
ルヴィア教徒「そうだ。貴様らが異教徒ならば生かしてはおけん!」
訳も分からず戦闘に! しかし3対1では勝負になりません。
エディ「ねーねー。ルヴィア教徒ってなに?」
シリュン「大昔の聖女ルヴィアの教えを守れば幸せになれると説く新興宗教があるんだよ。ところがその教徒ときたら、目的のためには手段を選ばない狂信者ばかりってことで、サリスでも問題になっているんだよ。こいつもその一人みたいだな。」
妖精「じゃあ、リルドは・・・」
シリュン「心配すんな。オレたちが助けてやるさ!」
そしてリルドが仕掛けておいたクイズを解きながら、迷宮の奥を目指します。
クイズをいくつか紹介して、読者の皆様にも考えてもらおうと思ったんですが・・・このページは文章が多いので、泣く泣くカットです。
そして最深部であるリルドの部屋にたどり着きます。そこには3人のルヴィア教徒がいて、隠れているリルドを捜しているところでした。
ルヴィア教徒「貴様ら、何者だ! サリス兵か!? リュードの手下か!?」
エディ「通りすがりの冒険者よ!」
そして戦闘の結果は、通りすがりの冒険者、強し、です。ま、負けたらゲームオーバーですしね。
すると隠れていたリルドが現れます。どうやら彼は羽根のない妖精らしく、それが原因でいじめられ、でも一緒に遊びたくて、クイズを用意して明かりの素を取りにやってくる妖精と勝負をしていたようです。でも今回の事件で羽根つき妖精もリルドを心配していたことに気付き、仲直りすることができました。
エディ「・・・で、結局どうするの?」
リルド「なんの話?」
クライス「実は・・・。」
リルド「うーん、じゃあこうしようよ。みんなが灯台に住むのをやめて、ここに引っ越してきなよ。ここなら明かりをつけても外からは見えないしさ。」
シリュン「そうすると、灯台の明かりはルヴィア教徒のせいにしてしまえばいいわけだ。」
エディ「シリュン、悪知恵だけは働くね。」
≪妖精の恩返し≫
帰る途中で、シリュンが突然叫びます。
シリュン「あー! あいつらから報酬もらってねぇ!」
それを聞いたクライスとエディシアは大笑い。
エディ「やっぱり気付いてなかったんだー! シリュン、背中、背中〜。」
シリュン「へ? ・・・なんだ、この紙きれは?」
シリュンの背中には、妖精からのメッセージが貼り付けられていました。そのメッセージとは、
♪ ♪ ♪ ♪
また来てね♪
♪ ♪ ♪ ♪
注:文字化けしていたらごめんなさい。化けているマークは音符です。
人見知りが激しい妖精たちとの絆、それはお金には代えられない報酬なのかもしれません。
そうして3人は村に戻り、村長に事の顛末を報告するのでした。
シリュン「例の明かりはルヴィア教団のせいだったんだ。奴らは捕まえてきたよ。」
エディ「クスクス・・・」
村長「ありがとうございました。これはお礼です。」
エディ「クス・・・クス・・・うふっ、うふふっ・・・」
村長「あの・・・何か隠していませんか?」
エディ「ノーコメントよ!」
≪ちょっと寄り道≫
村3で一休みしていると、ちょっとした噂話を耳にします。何でも近くの山にある洞窟には、願いの泉というものがあり、かつては金貨を投げ入れると願いがかなったらしいのです。しかしこのところは何も起こらず、その存在は忘れられていき、訪れるものはなくなってしまったとか。
そこで3人は、願いの泉へ行ってみることにしました。そこは洞窟の中にある、神秘的な泉でした。
さっそくエディシアが金貨を1枚投げ入れて、お願いをしてみます。
エディ「金貨を100枚くださいな。」
クライス&シリュン「・・・・・・・・・。」
しかし何も起りません。
シリュン「願い事に無理があるんじゃないのか?」
エディ「じゃあ、もう一度やってみるね。えいっ! えっと、今投げた金貨を返してくださいな。」
クライス&シリュン「・・・・・・・・・。」
すると泉から、虹をまとった神秘的な女性が現れました。
泉の女神「わが名はメライザ。汝の願いをかなえましょう。金貨2枚、お受け取りください。」
そして帰って行こうとします。
シリュン「ちょっと待てい! いくらなんでも、これだけってことはないんじゃないか?」
泉の女神「それではもし、私があなたに同じ願い事をすれば、あなたはかなえてくださいますか?」
シリュン「うぐっ。し、しかしだな・・・。」
泉の女神「あなたのおっしゃろうとしていること、分からないわけではありません。しかし私が奇跡を起こすためには、相応の金が必要なのです。かつてこの辺りには大量の金が眠っていましたから、大抵の願いをかなえることができました。しかし今ではほとんど残っていません。貴重なこれらを、私欲のための願いに使うわけにはいかないのです。」
シリュン「ふーん・・・。本当は奇跡なんて起こせないんだろ。」
泉の女神「キッ! 嘘だと思うなら、金を大量に持ってきてみなさいよ! あんたの目の前で奇跡を起こして見せるから!」
シリュン「あんた、口調が変わってるぞ?」
泉の女神「うるさいわね、これが地よ!」
そして泉の女神メライザは、泉の底へ帰って行こうとします。
エディ「またね〜泉ちゃん!」
ドボン! ブクブクブク・・・。
クライス&シリュン「・・・・・・・・・。」
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