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≪設定紹介≫

 このページはサンプルとして用意したもので、実際には第6話と第7話の間に入るイベントです。このページを楽しく読むことができた方は、このプレイ日記を楽しく読むことができると思われますが、このページを楽しめなかった方は、それより先を読み続けても時間の無駄だと思われます。

 このコンテンツは、王道的なヒロイックファンタジー世界を舞台にした冒険者の物語であり、主要な登場人物は以下の3人です。

 クライス:20才、男、軽装戦士でもあるが本業は黒魔術師、主人公
 シリュン:21才、男、盗賊戦士、クライスの幼馴染で兄貴分、パーティリーダー
 エディシア(エディ):21才、女、万能型魔法使い、借金を抱えたトラブルメーカー

 なおシルバというのは、この世界の通貨単位です。(1シルバ=300円程度)


≪3つの依頼≫

 クライスが行きつけの冒険者ギルドで仕事を探していると、とてつもなく報酬のよい仕事が見つかりました。

 依頼主:オレイアス宝飾店
 仕事内容:盗まれた宝飾品を取り戻すこと
 報酬:金の髪飾りは10000シルバ、その他は1つにつき10〜100シルバ

 普通の仕事が1つで1000〜3000シルバ程度ですから、これは破格です。クライスがその依頼票を見ていると、シリュンがやってきました。

 シリュン「ん? その依頼、受けるのはやめたほうがいいぜ。依頼主のオレイアスって人だけどな、あこぎな商売をするんで有名な人だからさ。なんだかんだとイチャモンをつけられて、報酬を値切られるのが落ちだぜ。盗品売買をしている店だから、依頼の宝飾品がまともな物とは限らないしな。それよりオレが見つけてきた仕事をやらないか?」

 依頼主:金細工師ロベルト
 仕事内容:盗まれた金の羽根の形をした髪飾りを取り戻すこと
 報酬:3000シルバ

 シリュン「依頼主のロベルトさんは若いのに腕がよくて人望もあって、信用の面では文句無しなんだ。オレはいい仕事だと思うぜ。」

 2人が話していると、エディシアがやってきました。

 エディ「仕事を見つけてきたよー。」

 依頼主:イシュア
 仕事内容:オレイアス氏の手に、金の羽根の髪飾りが渡らないようにしてほしい
 報酬:3000シルバ

 クライス「・・・なんですか、この仕事内容は?」

 エディシア「イシュアさんっていう貴族の娘さんがね、オレイアスっていうおじさんにしつこく結婚を迫られているらしいのよ。で、あんまりしつこいから、うっかり『黄金の鳥の羽根をくれたら結婚してもいい』って言っちゃったんだって。そしたらね、噂で鳥の羽根の形をした金の髪飾りを作っている人がいるって聞いて、心配になっているんだって。」

 シリュン「・・・この3つの依頼、もしかしてつながってるのか?」

 クライス「そのようですね。問題は、誰の依頼を受けても誰かが困るということですね。」

 エディ「どういうこと?」

 クライス「オレイアスさんの依頼を受ければ、イシュアさんが不幸になる。ロベルトさんの依頼を受ければ、結果としてオレイアスさんが髪飾りを手にすることになりそうだから同じこと。でもイシュアさんの依頼を受ければ、髪飾りの処分に困ることになります。」

 エディ「その髪飾り、アタシにプレゼントするってのはどう?」

 シリュン「却下。っていうかお前、まだ借金を返してないだろうが。」

 エディ「髪飾りを売れば借金返せそうじゃない?」

 シリュン「クライスの話を聞けよ! 髪飾りは売ったらダメなんだって! オレイアスって人が目を付けているんだからよ!」

 3人はしばらく相談しますが、良い案は浮かびません。とりあえず髪飾りを取り戻してから誰の依頼を受けるのか考えることにしました。
 この街には盗賊ギルドがあり、シリュンが所属していますが、髪飾りの盗難にギルドは無関係のよう。つまり外部の人間によってギルドの縄張りを荒されたわけであり、シリュンはギルドに盗賊討伐費用を出させることに成功しました。ちなみにオレイアス商店に入った泥棒は、近くの山をねぐらとする山賊の一味であることが分かりました。
 一行は、さっそく山賊のアジトに向かいます。


≪山賊を追って≫

 エディ「つかれたよー! おなかすいたよー! 帰ろうよー!」

 とダダをこねている人もいましたが、とりあえずアジトになっている古い屋敷にたどり着きました。ところが様子が変です。屋敷はボロボロになり、何者かに襲われた山賊の死体が散乱しています。屋敷を捜索した結果、山賊の生き残りを発見しました。彼の話によると、グリフォン(獅子の体をもつ大鷲)に襲われて山賊団は壊滅、盗んだばかりの金の髪飾りを奪われてしまったというのです。

 エディ「グリフォンのおかげで、山賊退治しなくてよくなったね。」

 クライス「その代わり、グリフォンと戦わなければならなくなりましたけどね。・・・山賊団を壊滅させるような魔獣と。」

 シリュン「オレ達だけで勝てると思うか?」

 クライス「グリフォンのことは文献でしか知りませんが、このアジトの様子をみると厳しそうですね。」

 というわけで、一行はいったん街に戻り、傭兵セザール(32才、重装戦士)を雇うことにしました。ちなみに彼は現時点では仲間ではなく、雇用費と引き換えに雇うこともできるという傭兵なので、セリフはほとんどありません。
 4人パーティになった彼らは、山賊から聞き出したグリフォンの巣に向かって、再び山登りをすることになります。


≪対決、グリフォン!≫

 エディ「つかれたよー! おなかすいたよー! 帰ろうよー!」

 ・・・なんかコピペみたいなイベントがありましたが、それはさておき。
 野生の魔物を蹴散らしながらグリフォンの巣を目指していた一行ですが、山頂に近付くにつれモンスターの襲撃が少なくなってくることに気付きます。どうやらグリフォンはこのあたりのボスであり、狩猟区域に入ったことを感じさせます。そんな時、遠目に洞窟が見えてきました。

 シリュン「あの洞窟がグリフォンの巣かな?」

 クライス「グリフォンの巣は鷲の巣に似ているそうですよ。」

 シリュン「すると、この崖の上にあるってことかな?」

 エディ「シリュン、ファイトー!」

 クライス「待ってください! 登攀の途中でグリフォンに襲われたら危険です。グリフォンは先におびき寄せてから倒しましょう。・・・でもその前に、あの洞窟で休憩しませんか?」

 しかしグリフォンは、休憩すらさせてくれませんでした。いきなりの襲撃です。パーティに突撃し、鋭い爪とくちばしで襲いかかってくるグリフォン。あっというまにパーティはボロボロです。

 エディ「強いよー! 怖いよー! 逃げようよー!」

 シリュン「このままじゃやられるぞ! クライス、何か策はないのか!」

 クライス「詠唱魔法を使います! 時間を稼いでください!」

 詠唱魔法、それは呪文が非常に長いため戦闘中には使えない特殊な魔法・・・ぶっちゃけていえばイベントでのみ使用可能な強力な魔法です。それを使うため、クライス抜きでさらに1ターンの戦闘を行います。エディシアの白魔法だけでは回復が追い付かないので、高品質の傷薬まで使っての総力防衛戦です。

 クライス「・・・我は望む希望の翼を、この身は風となりて大地を離れん・・・ウィンドワープ!」

 4人は洞窟の入口までワープしました。ウィンドワープ、それは最上級魔法の1つであるテレポートの簡易版です。さらにクライスは洞窟の入口にフォースフィールドという魔法で結界を張り、グリフォンが入ってこれないようにしました。
 とりあえず、一時休戦です。エディシアの白魔法で傷をいやし、翌日まで休憩です。

 そして翌日。作戦を練ってグリフォンと戦います。
 まずはクライスとエディシアが全員にありったけの強化魔法をかけ、その状態で入口の結界を解除してグリフォンを洞窟内におびき出し、飛行の能力を封じて戦うというものです。

 そして再戦!
 今回はいきなりボロボロになるということはありませんでした。相変わらず強敵ではあるものの、エディシアの魔法だけで回復がなんとか追い付く程度であり、やがてグリフォンを倒すことに成功しました。

 崖を登るシリュン。やがて戻ってきた彼の手には、人の手によるものとは思えぬ美しい金の髪飾りがありました。ケースのおかげで傷一つないその黄金の鳥の羽根は、今回の冒険の報酬にふさわしいものであると感じました。
 でも今回の仕事は、それを誰かに渡すこと。問題は未だに解決していません。


≪伝説に憧れて≫

 クライスとエディシアは、冒険者ギルドでシリュンを待っていました。彼は山賊討伐の報告をするために、盗賊ギルドに行っていたからです。
 しかし帰ってきたシリュンは、髪飾りを持っていませんでした。聞けばロベルトさんに渡してきたというではありませんか。

 エディ「それじゃあ、イシュアさんはどうなっちゃうのよ!」

 シリュン「それが問題なかったんだ。おっと、時間がなさそうなんだ。詳しいことは道々話そうか。」

 彼はそういうと、仲間を連れて公園に向かいます。

 シリュン「実は今回の依頼とよく似た話を思い出してね、知り合いの吟遊詩人の所に行ってみたんだ。その人の持ち歌に、こんな歌があるんだ。」

 小さな町の鍛冶屋の息子、領主の娘に恋をした。
 小さな町の領主の娘、鍛冶屋の息子に恋をした。
 されど領主は仲を認めず、無理難題を突き付けた。
 わが娘は金の鳥。
 わが娘は金の羽根。
 交換ならば認めよう。
 鍛冶屋の息子は二人のために、夢を求めて旅に出た。


 クライス「金の鳥の羽根?」

 シリュン「ああ。オレも気になって、その吟遊詩人に聞いてみたんだ。その人は10年ほど前に、とある村に立ち寄った時、とても親切にしてもらったんだそうだ。そこでお礼に、その村に伝わる伝説をもとにして、この歌を作って歌ったんだ。この歌を特に気に入ってくれたのは、兄妹のように仲のいい、男の子と女の子だったそうだ。」

 エディ「それが、どうかしたの?」

 シリュン「ロベルトさんとイシュアさん、二人の出身地を調べてみたよ。そしたら、案の定・・・」

 公園に着くと、池の前にイシュアさんがいました。隠れて見ていると、やがてロベルトさんが現れました。ロベルトさんは、イシュアさんに金の髪飾りをプレゼントします。イシュアさんははにかみながら、それを受け取ります。
 それを見届けると、シリュンは仲間を連れて公園を後にします。

 シリュン「そういえば、さっきの歌の続きを言ってなかったな。」

 クライス「あの二人を見れば、結末は想像がつきますけどね。」

 エディ「アタシ、わかんない。」

 シリュン「お前なぁ、少しは頭を使えよ。えっと、最後は確か・・・」

 月の女神の祝福受けた、その花嫁を飾るのは、黄金の鳥の金の羽根。
 愛する人から贈られた、まばゆい金の髪飾り。


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