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≪カデスの牢獄≫

 空から落とされた私だが、どうやら一命は取り留めたらしい。というか、気がついたときには元気いっぱいになっていた。ただ問題は、どこかの牢獄にとらわれていたことだ。
 囚人たちのまとめ役であるアギロというおじさんに連れられ、ここカデスの牢獄を案内してもらったのだが、この牢獄は特別な場所らしく、将軍の一人が直々に取り仕切っていたり、脱走防止に結界が張られたりしていた。その自信ゆえだろうか。持ち物は特にとられておらず、身体検査すらされていないようだ。
 ちなみにその結界、触るとビリッときて跳ね返されるらしい。ものは試しだ。一度やってみよう。

 するっ。

 ・・・って、あれ? すり抜けたぞ?
 どうやら私がグレイナルから貰っていた、帝国の紋章のおかげらしい。これはチャンスだ。この紋章があれば、結界の発生装置にたどり着ける。それを停止させれば、全員で脱走できるかもしれない。どうせこんな場所だ。本当の罪人などいやしないだろうから。

 作戦決行の日は、思ったよりも早かった。仕事をさぼっていた囚人の一人が処罰されることになったのだが、アギロがそれに我慢できなくなり、看守を殴りつけたからだ。

 人数的には囚人の方がはるかに多い。結界さえなんとかできれば、脱走は不可能ではない。

 アギロの話ではそういうことらしく、私は結界の発生装置を停止するために突撃した。護衛はいたが、なんなく撃破。ついでに将軍の1人もなんとか撃破。私たちは脱走に成功したのだ。

 ・・・と思ったのは少し早かったようだ。というのも闇竜バルボロスが飛んできたからだ。
 敵は上空。このまま戦っても勝ち目はない。脱走計画は失敗か・・・
 誰もがそう思った時、アギロが将軍から取り戻したホイッスルを吹きならした。そしてやってきたのは・・・って、天の箱舟じゃないか!
 天の箱舟はまっすぐにこちらに飛んできて、あっ、途中にいたバルボロスがはねられた。びっくりして逃げていくバルボロス。どうやら脱走は成功したようだ。

 しかし驚いた。囚人の一人だったアギロが、まさか箱舟の運転士だったとは。
 私たちは地下に捕われていた天使たちを救い出すと、箱舟に乗って天使界に戻ることにした。
 ガナン帝国の秘密。それは地上に降りた天使たちを捕え、その力を吸いだして利用することだった。このことは忘れずに報告しなければならないだろう。


≪神の国へ≫

 オムイ長老にこれまでの出来事を報告しに行った私だが、そこで見たものは意外なものだった。
 奪われたはずの天使の果実。7つすべて。
 イザヤール師匠が届けに来たらしい。
 ・・・訳が分からない。私から奪ったものを、自分で届けに来るなんて。
 しかし、これで天使の果実がそろったのだ。

 世界樹に女神の果実が実るとき、
 天の箱舟が降り立ち、
 神の国への道が開かれるーーー


 私はオムイ長老とアギロと共に、神の国へと旅立った。


≪神の国≫

 神の国じゃなくて、髪の国だったらいいのにな。
 髪の毛ピンチなプレイヤーの願望はさておき、たどり着いたのは美しい世界だった。澄み切った空に浮かぶ宮殿。浮島をつなぐのは虹の架け橋。

 そんな神の国には、不審者を入れないための門が作られていた。

 「けがれ無き心もつ者にのみ、扉は開かれる。」

 ・・・今、「あ、天使ヨシヒトには開かれないな」と思った人は、正直に手を挙げるように。

 はーい。

 いや、自分で自分を否定してどうするんだ。これまで他人の家から物を盗ったりしていたが、それはけがれ無き純粋な物欲によって行ったことなのだ。きっと扉は開いてくれるに違いない。そう扉に言い聞かせながら、私は取っ手に手をかける。
 はたして、扉は開いた。どうやらこの扉、おつむはあまり良くないらしい。

 そんな扉の奥で、宝箱から聖騎士の盾を拝借した私は、やがて最上階にたどり着く。そこには神がいるはずだ。

 ・・・そう思っていたのだが、しかしそこで見たものは、倒れた玉座と、その下に空いた巨大な穴。女神の果実が実った日に天使の国を襲った謎の光は、神の国をも貫いていたらしい。神の姿はどこにもない。
 私たちは、とりあえず宮殿の最上階に、女神の果実を捧げることにした。


≪天使の秘密≫

 果実をささげた私たちのもとに、不思議な声が聞こえてきた。

 「・・・・・・天使たちよ・・・・・・私の元へとお帰りなさい・・・・・・」

 私たちは、天使界の世界樹のもとへ転送された。そして世界樹から現れたのは、光輝く女神セレシア。
 彼女は、女神の果実と天使に関する驚くべき真相を語り始めた。

 かつて神によって作られながら、失敗作として神自身によって滅ぼされようとしていた人間。それを救ったのが、創造主グランゼニスの娘、セレシアだった。彼女は人間は信じるに値する存在だとして、自らを世界樹へと姿を変えた。その姿を戻せるのは、人間たちが生み出す感謝の気持ち、すなわち、星のオーラのみ。神は星のオーラを集めて世界樹に捧げるための存在として、天使を生み出した。いつか星のオーラが十分にたまったとき、世界樹は女神の果実を実らせ、それを神に捧げることでセレシアが復活する・・・・・・。
 私たち天使は、そんな役割を持って生み出されたものらしい。

 ・・・っていう話でよかったのかな? 話をちゃんと覚えていなかったから、今思い出してみると設定に無理があるように思えてならない。ま、この世界の設定に無理があるのは今に始まったことじゃないから、気にするだけ無駄というものだろう。何せ私の冒険仲間には、ネコ耳バンドを装備した僧侶がいるんだからな。
 おかしいな、性能を重視した装備のはずなんだが、なぜこれが一番なんだろう?


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