≪2年目 冬の月 14日 (土) 晴れ≫
テレビが直っていた。一体、何だったんだろう。
今日は義理チョコ祭りこと、冬の感謝祭。
しかし誰もこない。10時すぎまで牧場で待っていたのだが、やっぱり誰もこない。既婚男性は対象外なのだろうか。ま、いいけどね。私の目には、カレンしか映っていないのさ!
・・・なのにカレンは何もくれなかった。がーん。
久しぶりにアンナさん主催の料理教室へ行った。なんと次回が最後らしい。夫(バジルさん)の仕事の関係らしいが、楽しみにしていただけに残念だ。まあ、春になれば私も忙しくなる・・・かもしれないので、ちょうどいい頃合かもしれないが。
夜中に異変があった。・・・なぜそんなことを今日の日記に書けるのかは置いとくとして、私は妙な物音で目を覚ました。
「・・・・・・・・・・・・・・・ゴソゴソ・・・」
なんだ? 外部からの侵入者じゃないぞ。音はすぐ隣から・・・
・・・カレン、何をやっているんだ?
カレン「ああ、もう。なんで寝ているときまで リュックをせおってんだろ。」
実は万歩計だって付けているのさ!
などと主張したくなる気持ちを抑え、私は寝たふりを続ける。
カレン「・・・よし、入った入った。」
なんだ、リュックに用があったのか。しかし何を入れたんだろう。なんとなく、甘い香りがしたのだが・・・。
≪2年目 冬の月 15日 (日) 雪≫
目を覚ますと、真っ先にリュックの中身を確かめる。・・・チョコレートケーキが入っていた。どうやら冬の感謝祭のプレゼントらしい。私を脅かすためだろうけど、なにもこんな面倒なことをしなくてもねえ。それにこれが4次元リュックじゃなかったら、ペチャンコになっているぞ。
などと思いながらも、ありがたくケーキを食べることにする。相変わらずカレンにしか出せない味だが、幸せな気分になれるのだから不思議だ。今なら朝食にポップコーンを出されても、喜んで食べることができるだろう。
・・・実際に食べたんだが。
≪2年目 冬の月 16日 (月) 雪≫
海でイカを釣った。魚とゴミ以外のものを釣るのは初めてだ。・・・いや、木の実も1度釣っていたか。ともかくミネラルタウンでは珍しい食材だから、きっとカレンは喜んでくれるだろう。今夜は刺身で乾杯だ。
などと1人で盛り上がっていた時に、以前に見た釣り番組を思い出した。・・・確か、イカってぬしじゃなかったか?
釣り上げたイカをよく見てみる。サイズは50cm。トンガリ頭(本当は胴)の先端に三角のヒレがある、イカらしいイカだ。このタイプは歯ごたえがあり、刺身で食べるのに向いているらしい。今夜は刺身で乾杯だ。
・・・じゃなくて、どう見てもぬしには見えない。
・・・もしかして、ダイオウイカの子供? 将来のぬし?
小さな子供のようなので、釣りのマナーにしたがって逃がしてやることにした。記念に魚拓だけはとっておいたのだが、どう見ても普通のイカにしか見えない。困ったものだ。
注:実際には魚拓をとった魚は死んでしまう(というよりも、生かすことを考えていると奇麗にとれない)が、細かいことを気にしてはいけない。
≪2年目 冬の月 19日 (木) 雪≫
朝食はジュースだった。・・・3日連続のような気がする。
結婚してからの朝食は奇妙なものがほとんどで、全てメモしておけばネタになったと思うのだが、後悔しても後の祭りだ。
≪2年目 冬の月 20日 (金) 晴れ≫
おおゆき〜。あしたはおおゆき〜。
≪2年目 冬の月 21日 (土) 大雪≫
大雪の日は退屈だ。そこで有り余る時間を利用して、呪われたオノの呪いを解くことにした。
呪われたオノは呪われた釣り竿と同様に、使い込むことで呪いが解ける。もちろん疲労がたまるのだが、それは風呂に入れば吹き飛ぶはずだ。
・・・ところが、呪いの疲労はその上をいっていた。夜になるまでオノを振り続けたが、それでも呪いは解けない。・・・仕方がない、飲み物に頼るか。
私は抜群の疲労回復効果を持つ山ぶどう酒を作っては飲み、そしてオノを振るということを繰り返した。とことん繰り返した。いやになるほど繰り返した。本当にいやになったけど頑張って繰り返した。
呪いが解けたとき、冷蔵庫に大量に入っていた山ぶどうひゅの材料はほろんど尽きていた。計算してみるろ、山ぶろうひゅを20本ちかく飲んれいたようら。禁ひゅへん言をひている酒好きのふまが眠っれいるあいらに、酒嫌いのおっろがらいこをかりゃにひゅる。ふーひゅへいかひゅというのはおもひろ・・・ひ。・・・Zzz。
注(訳):呪いが解けたとき、冷蔵庫に大量に入っていた山ぶどう酒の材料はほとんど尽きていた。計算してみると、山ぶどう酒を20本近く飲んでいたようだ。禁酒宣言をしている酒好きの妻が眠っている間に、酒嫌いの夫が在庫を空にする。夫婦生活というのはおもしろい。ズズズ。・・・おっと、これは余計か。
≪2年目 冬の月 23日 (月) 雪≫
釣り番組を見ていると、ぬしの情報が流れていた。突然変異のナマズが、「あなたがよく利用する あの場所に住んでいる」らしい。
・・・これってもしかして、温泉のこと? しかし冬にしか釣れないってことは、私は膨大な時間を無駄にしていたって事なのか? この番組は再放送だと思うのだが、以前に見た覚えがない。大雪は関係ないと思うので、見忘れていたのだろうか。
温泉のぬしは冬にしか釣れないそうなので、朝から気合を入れて釣りをする。昼頃にコロボックル達に仕事を頼みに行くため中断し、夜には自宅にカレンの顔を見に行くために(笑)中断したが、夜中まで釣りを続ける。しかし今日も釣れなかった。
≪2年目 冬の月 24日 (火) 晴れ≫
今日は晴れているので、温泉の近くにポプリとランがやってくる。そのため私は、見つからないように隠れて釣りをしていた。
おや、8時をすぎてるのにこないぞ? っと思った瞬間、釣り竿が大きくしなった。
きたきたきたー! ついにヒーット!
名称:温泉ナマズ
サイズ:1m20cm
何度も入った温泉に、こんなものが潜んでいたとは驚きだ。こいつは一体、何を食べてここまで大きくなったのだろう。腹が減ったときだけ、すぐ近くの泉に行っていたのだろうか。それとも女神さまがエサをやっていたのだろうか。それとも誰かが温泉卵を作るときに、うっかり落としてしまった物を食べていたのだろうか。
しかしこの弾力と肌触り、どこかで覚えがあるぞ。・・・そ、そうか! 湯の中に調度いいイスがあると思っていたのは、こいつの頭だったのか!
いなくなると困るから、こいつは食べずに逃がしてやろう。おっと、魚拓を取るからおとなしくしていてくれよ。・・・さすがに人には慣れてるな。全然暴れないぞ。
・・・よし、じゃあまたな。
しかしランとポプリはなぜこなかったのだろう。せっかくいい所を見せられたのに。
・・・と、釣り始めた時とは逆の事を考えながらも宝石掘りに行く。そして家に帰ると、カレンがテーブルに料理を並べて待っていた。そういえば、今日は聖夜祭だったな。ホームパーティを楽しむ日だから、誰も外に出なかったんだ。でも聖夜祭って、夜にするんじゃないの? まだ昼の12時なんだけど。
まあ、いいや。昼間から一緒に過ごせる日なんて、滅多にないからね。カレンも同じ気持ちだったのかな?
カレン「今日は聖夜祭よ。がんばってゴチソウ作ったんだから・・・」
ん? いま、“ご馳走” という言葉に怪しい響きがあったような・・・。
カレン「全部食べてよね。」
・・・やっぱりね。
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