≪2年目 冬の月 7日 (土) 雪≫
今日は雪。明日も雪。雨と雪の日には、温泉近くの泉にポプリとランはやってこない。これは私に、温泉で釣りをしろと言っているようなものだ。さすがにそんなところを、人に見られたくはないからね。私がこんな趣味を持っているのは、夫婦だけの秘密だ。
しかし、やっぱり釣れない。朝から夕方まで釣り続けたのだが、アタリさえほとんどなく、私は一日を無駄にした。おまけに料理教室へ行くのを、また忘れてしまった。
≪2年目 冬の月 9日 (月) 雪≫
3日連続の雪。今日は昼までしか釣らなかったが、やっぱり何も釣れなかった。
昼に教会へ行く。カーターさんに呪いを解いてもらおうと思ったからだ。懺悔室での選択肢に「呪われた道具をはずす」というのがあり、以前はカーターさんの冗談だろうと思っていたのだが、呪われた道具が実在することは日記に書いたとおりだ。
カーターさんは呪われた道具の対処法を知っているらしく、装備したまま外せなくなっていた釣り竿を外してくれた。おまけにじょうろとクワの呪いを、完全に解いてくれた。呪いが解けたこの2つは、祝福の道具にランクアップだ!
カーター「またいつでも来て下さいね。」
そりゃそうだろう。今日だけで、21000Gも収入があったんだからね。
呪い解き代、高すぎ・・・。
≪2年目 冬の月 10日 (火) 晴れ≫
今日は晴れているので、海へぬし釣りに行く。しかしやっぱり、ゴミしか釣れない。おまけに釣り竿は呪われている(カーターさんは一旦装備を外してくれただけ)せいで、畑仕事なみに疲れがたまる。これは、釣り竿の呪いを解くことが先かもしれない。
そう思った私は、釣り竿を使い込んで呪いを浄化することにした。
夜の酒場。酒を愛する者たちが、一日の疲れを癒すために集まる憩いの場。
その片隅に、人目も気にせず釣り竿を振り回している青年がいる。かと思うと、極度の疲労で顔を真っ青にし、力尽きて倒れる青年がいる。そしてパインジュースを何十回もお代わりして、がぶ飲みする青年もいた。
世の中には変わった人がいる。しかしこの全てが同一人物だということは、誰も想像できないだろう。しかし日記にこんなことを書けば、その危ない奴が私だということは誰もが予想できるだろう。
何はともあれ、突然釣り竿が輝きだして、呪いが解けたことを教えてくれた。ぬし釣りにかける私の情熱が、太古の呪いを打ち砕いたのだ。よし、これでぬし釣りに専念できる。そしてさっさとぬしを釣り上げて、カレンとのラブラブ生活に戻るのだ!
≪2年目 冬の月 11日 (水) 雪≫
明日は大雪。・・・ぬし釣りへの障害は多い。
≪2年目 冬の月 12日 (木) 大雪≫
ぬしは一匹も釣れていないのだが、強制的にカレンと過ごすことになった。
そういえば最近、朝しか顔を合わせていない。本当は毎日ずっと一緒にいたいのだが、夜中にしか釣れないぬしがいるのだから仕方がない。全世界の日本語読解者を対象にした日記を書いている以上、自分の幸せを犠牲にしなければならないこともあるのだ。
カレンには、本当に申し訳ないと思っている。朝食に野菜ジュース(だけ)やいちごジャム(だけ)を出されても文句を言わないのは、その気持ちの表れだ。
しかしこのところ、本当にロクな朝食がない。雑貨屋で売っているおにぎりやパンを出された方が、うれしいような気がする。
≪2年目 冬の月 13日 (金) 晴れ≫
カレンも私の日記を読んでいるのだろうか。そして昨日の最後の文章が、彼女の逆鱗に触れたのだろうか。
ついに真打の登場だ。今日の朝食はマヨネーズPサイズ(だけ)。
・・・カレン、毎日手料理をありがとう。この銀色に輝くおいしそうなマヨネーズ、ありがたく飲ませていただきます。
昨日の大雪のせいで、動物たちが大変なことになっている。「14/21」。この数字は、「不機嫌な家畜の数/家畜の数」だ。しかも鶏に限れば「8/8」のパーフェクト。羊だって「4/6」の高確率。牛だけが「2/7」と健闘している。もちろん、動物たちを責めるつもりはない。人間だって1日食事を抜かれると不機嫌になるだろうし、彼らにとって食事は用意されて当然のものだから。
私が責めたいのは大雪だ。なんだよ、この積雪量は! なんでまた、大きな石や岩を降らせるんだよ! そのせいで私もコロボックルも家から出られず、被害を受けるのは動物たちだ。まったく、大雪かトーマス氏か知らないが、ほどほどにしてもらいたいものだ。
そういえば、トーマス氏の牧場破壊疑惑だが、真相はどうなのだろう。先日いいものを貰ったからというわけではないのだが、何となく私の思い違いのような気がしている。ちょっと整理してみよう。
台風と大雪の日に何かが起こる。これは間違いない。異常な降雪量。これは仕方がない。そしてはっきりしないのが2点。
1.巨石はどこから湧いてくるのか。
2.トーマス氏は関係しているのか。
まず1番だが、巨石が外部からやってくるのは間違いない。しかし風の力とは考えられない。すると・・・隕石?
しかし残された破片だけで軽く5トンを超えるのだから、そんな物の直撃を何度も受ければ、キャンディ牧場はミネラルタウンもろとも壊滅しているはずだ。しかも常に台風や大雪と重なるというのも不自然だ。第一、これだけの大きさの隕石など、そうそうあるものではない。すると・・・ま、まさか、これは地球外知的生命体の陰謀なのか!?
天災を利用して姿を隠し、ミネラルタウンへの攻撃を繰り返す謎の生命体。彼らは自分達の存在が知られることを極度に恐れており、それゆえ攻撃手段は証拠が残らない巨石の投下。しかし私たちの常識から外れた痕跡を元に真相を突き止め、奥義・最大ため攻撃を武器に彼らと戦い続ける正義の味方がいた。その名はトーマス!
おおお!? 疑問点1と2が、なんの無理もなく完璧に結びついたぞ!
これだ、これに違いない! ついでにゴミの不法投棄も、奴らの仕業に違いない!
毎回、岩1つ、大きな石1つ、石4つという構成を奇妙に思っていたが、奴らが常に同じ形で同じ大きさの岩を落とし、それをトーマス氏が同じタイミングで同じ技を使って迎え撃てば、結果が同じになってもなんの不思議もない。巨石が散乱していながら、家や家畜小屋には被害がないのも、トーマス氏がそれらを優先的に守ってくれていたからなのだろう。
そうか、トーマス氏は私たちの恩人だったんだ。今まで疑って申し訳ない。これからはトーマス町長と呼ばせていただきます!
でもなんで、トーマス町長はポチを怖がるんだろう。
・・・そうか、ポチは奴らの一味だったんだ。私の行動がなぜか外部に漏れていたが、それはポチの仕業だったんだ! 見るからに怪しいホアンさんも、悪徳商法の疑いがあるテレビショッピングの関係者も、みんな奴らの一味だったんだ!
幸い今では、ポチもホアンさんもミネラルタウンののどかさに染まってしまったが、町民の命を預かっている以上、トーマス町長が警戒を解くわけにはいかない。息子のハリスさんに警官をさせているのも、きっと1人では手が足りないからなんだ。せめてポチとカレンだけでも、私が責任を持って監視しよう。
そう、このミネラルタウンの将来は、私たちにかかっているのだ!(注)
話は変わるが、テレビの調子がおかしい。ローカルニュースのチャンネルだけ、なぜか画面が映らないのだ。音声は聞こえるので内容は把握できるのだが、画面は昨日の大雪の時と同じ
“ザーザー” だ。これは一体、どういうことだろう。大雪でどこかが傷んだのだろうか。それとも今日が13日の金曜日だから、怪しい雰囲気で視聴者を楽しませようという試みなのだろうか。
仕事もせずにくだらないことばかり考えているわけにはいかないので、湖の鉱石場へ宝石を掘りに行った。地下30階や50階などでは超高額宝石がたまに見つかるのだが、毎日そんなところまで潜る気にはなれないので、地下3階の広い空間が目的地だ。大量に入手できる安い宝石でも、かご一杯で2000Gほどになるので、1日分の副収入としては悪くない。
しかし今日は絶不調。地下1階へ行くための階段すら存在しないという運の悪さ。再挑戦したが、これまた地下2階で下り階段が見つからない。結局、かごに半分も入れられないまま、体力が尽きてしまった。
このところロクな事がないのは、私の怠惰のせいだろうか。結婚式の日の日記を読み直して、気持ちを入れ替えることにしよう。
注:信じないでね。・・・これで3度目の妄想大爆発日記だけど、今回は無理があるなぁ(苦笑)。
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