≪2年目 冬の月 1日 (日) 雪≫
昨日は動物たちを小屋に入れている途中でおやつにし、そのまま眠ってしまったため、鶏を外に出しっぱなしだ。そのため朝食を味わう時間も惜しんで丸呑みし、家を飛び出す。今日は朝から雪が降っているため、見渡す限り真っ白になっていた。
・・・こう書くと筋が通った行動と現象に思えるが、実際には原因がなかったとしても結果は変わらない。風が吹こうと吹くまいと、桶屋の収入が変わらないのと同じ理屈だ。
・・・やっぱり違うかもしれない。
≪2年目 冬の月 2日 (月) 晴れ≫
家を出ると、トーマス氏が待っていた。
・・・なぜみんな、私が出てくるまで外で待っているのだろう。私が早起きなのは、みんな知っていると思うのだが。ドアをノックすれば家の中に入れてあげるし、そうすれば暖かい部屋でイスに座って話ができるのに。
もっとも今日に限れば、家の中にはポチがいるので、外での立ち話を選んだトーマス氏は間違っていないのだが。
トーマス氏の話というのは、私に白い草を手に入れてほしいということだった。先日隣町の町長と言い合いになり、それが必要になったらしい。トーマス氏のメンツがかかっているそうだし、白い草を手に入れるのは難しいことではないため、私は引き受けることにした。実を言うと冷蔵庫の中には10束ほど入っているのだが、新しい物の方がいいだろう。
夜の7時に、トーマス氏が白い草を受け取りにやってきた。もちろん私は、新鮮な白い草を用意して待っていた。
トーマス氏は感激して、お礼に黄金の資材をくれた。これは朽ちない杭として使える一見実用的な物だが、1つが10万Gもし、しかも外に刺しておくとみんなから嫌われるという、とんでもない成金アイテムだ。
トーマス「家において見ているぐらいにしておくといいよ。外においておくとイヤミに見えるからね。」
ほほう。そんな役に立たない物をくれるということは、「こんな物、わたしはいくつも持っているからね。ビンボウなキミに1つあげるよ。」とでも言いたいのだろうか。なんてイヤミな人なんだ。
・・・と思っていたことが顔に出ていたらしい。
トーマス「じゃ、わたしはこれで・・・。」
と、トーマス氏は逃げるように帰っていった。
しかしいいものをもらったな。役立たずアイテムコレクターの私は、いずれ購入したいと思っていたんだ。今の私にとって、消えるはずだった10万Gが手元に残るというのは、10万Gをもらうことよりもうれしい。もし10万Gも払ってこんな物を買ったりしたら、カレンは荷物をまとめて実家に帰っていたかもしれない。トーマス氏は私たち夫婦の恩人だ。そういえば、仲人はトーマス氏だったんだよな。もしかして、とってもいい人なのかも・・・。
我が家では、黄金の資材を整理棚に入れて大切に保管している。しかしこれをカレンが見たら、一体どう思うだろう。整理棚には、同種の物を同じ段に置くようにしているのだが、黄金の資材と同じ段には、釣ってきた長靴や空き缶が並んでいるのだから。
≪2年目 冬の月 3日 (火) 晴れ≫
昨日から徹夜で釣りをしていた。呪いの道具を入手するためには、鉱石場のかなり深いところまで潜る必要があり、まだそのための準備ができていないからだ。それにミスリルの釣り竿ではぬしは釣れないという証拠はないため、やれることはやっておこうと思ったこともある。そして朝の6時に帰ってきた私にカレンが用意してくれていたのは、かなりちからでーる。病院で買えば1000Gもする高級栄養ドリンクだ。
ああ、カレンはなんて心が広いんだろう。仕事にも関係があるとはいえ、結婚して1月もしないうちに趣味で外泊した夫に、こんな物を用意して待っていたなんて。
・・・ところで朝食は? もしかして、今の栄養ドリンクがそうだったの?
・・・やっぱり、怒っているのかなぁ。
エレンさんに靴下を編んでもらった。メーメーの毛から作った毛糸を使ったもので、これぞ牧場主ならではの幸せというものだ。もっともこれは履くためではなく、サンタクロース(?)からのプレゼント受けに使うための物なので、特大サイズの上に片方しかないのだが。
靴下をエレンさんに頼んだこと、カレンは怒ってないよね? 相手はおばあさんだし、それにカレンに編めるとは思えないし・・・。
≪2年目 冬の月 4日 (水) 雪≫
朝食はマヨネーズSサイズ。
・・・カレン、絶対に怒ってるな。
≪2年目 冬の月 5日 (木) 雪≫
カレン「あ〜きもちわるぅ〜 昨日、飲みすぎたのかなぁ・・・」
ああ、亭主が情けないばかりに、ヤケ酒で2日酔いか。面目ない。せめて病院まで連れて行かせてよ。
カレン「うん。ありがと。」
ところが、ドクターの診断は2日酔いではなかった。
ドクター「おめでとう。おめでただよ。」
はぁ、おめでたいから “おめでた” というんだろうけど・・・は!? 今、なんと!?
エリィ「カレン、おめでとう。赤ちゃん。」
えーっと、つまり、そうなの?
カレン「ビックリしたね。赤ちゃんだって。てっきり、飲みすぎたから気分が悪いって思ってたわ。・・・お酒も飲んじゃダメね。」
子はかすがいというが、まあ、丁度のときに・・・。
よし、カレンがお酒を飲まないようにするのなら、私も徹夜はやめよう。でも夜にしか釣れないぬしを釣るまでは、夜更かしは許してね。
しかし夫婦そろってつわりを2日酔いだと思ったのは、私たちが初めてじゃないのかなぁ。
≪2年目 冬の月 6日 (金) 晴れ≫
力の木の実、みーつけた!
というのは地下19階でのこと。そう、私は呪いの道具を求めて、湖の鉱石場に潜っているのだ。しかし力の木の実って、妙なところで見つかるよな。先日は海で釣れたし・・・。
呪いの道具を全て入手するためには、地下79階まで潜らなければならないらしい。ミネラルタウンガイドブック最新版(攻略本)がなければ一生見つけられないだろうし、日記を書いていなければ、入手場所が分かっても取りに行こうとは思わなかっただろう。
まったく、セーブとロードがいつでも一瞬でできるからいいようなものの、何だって鉱石場はこんなに大変なんだ?
自分の趣味に合わないのでぶつぶつ文句を言いながらも、2つずつ持ってきたかなりちからでーるとかなりつかれとーる、そして時々見つかる怪しい薬草で体力を回復させながら、情報を元に探索を続ける。地下49階で見つかるはずの呪われたオノが、ロードを10回以上繰り返しても見つからなかった時には、「呪いの道具は1度の挑戦で2つまでしか入手できないのか?」などと思ったが、不運を根性で克服し、ついに地下79階で最後の道具を見つけることができた。
道具入手後に宝石探しをしたこともあり、地上に戻ってきたとき、私の体力は限界に近づいていた。ああ、疲れた・・・。でも、大収穫だ。6つの道具に加えて、力の木の実と5つの超高額宝石を入手したのだから。
呪いの釣り竿を入手した私は、さっそく海でぬしを狙う。しかし釣れない。枝しか釣れない。それでも呪いだけは本領を発揮し、竿を振るたびに私の体に異様な疲れがたまっていく。
だ、ダメだ・・・。続きは明日にしよう・・・。
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