≪2年目 夏の月 12日 (日) 晴れ≫
時刻は午後7時50分。私は牧場にかかる橋の中央に立ち、握り締めていた巨大なウォーハンマーをゆっくりと振りかぶる。そして大上段に構えたまま、奴がやってくるのを静かに待つ。
8時の鐘の音とともに聞こえてくる奴の吠え声。まっすぐに向かってくる茶色い影。
今だっ!!!
ミスリルのハンマーによる最大ため攻撃が野犬に直撃した。
ふはははは、思い知ったか! 今月の2日にモーモーを不機嫌にされて以来、私は毎日この時間にこの場所でハンマーを振りかぶり、貴様がやってくるのを待っていたのだ! 貴様がこなかった9日間、振り上げたハンマーを無意味に振り下ろす時がどんなにむなしかったか分かるまい!
しかし野犬は、私の理不尽な怒りが込められた攻撃を受けてなお立ち上がる。
な、なにぃ!? 通常の10倍以上の威力(推定)を持つ、ミスリル最大ため攻撃に耐えたのか!? えーい、こうなったら手数で勝負だ。ポチ、行くぞ!
私とポチの攻撃を3回ずつ受けて野犬は退散した。動物たちに被害はなかったが、私はショックを受けていた。
そんな・・・。ため攻撃が通常攻撃と同じ扱いだなんて・・・。
開発者のバカー! 私の青春を返せー!
≪2年目 夏の月 14日 (火) 晴れ≫
ちょっと用事があって、真っ昼間から温泉の近くにいた。しかし “真っ昼間”、“温泉”、“火曜日”
といえば、そう、カレンの登場だ。
・・・気まずい。まさか、こんなところを人に見られてしまうとは。
念のために書いておくが、私は温泉に入っていたわけではないし、入っている人を覗いていたわけでもない。しかし、しかし! 温泉で釣りをしているところを見られたら、一体どんな反応をすればいいんだ!?
カレンは私に気付かぬふりをして通り過ぎ、私の背中側にある泉のほとりにたたずむ。一方私は、凡人には理解できない深い考えがあるふりをして、そのまま釣りを続ける。
私とカレンの距離は、およそ10m。微動だにしない私とカレン。2人が一言もしゃべらないまま、ただ時間だけが過ぎてゆく。
およそ2時間後、緊張に耐え切れなくなったカレンは、私に気付かぬふりをしたまま帰っていった。
お気付きかもしれないが、私が例の女の子だと考えているのはカレンである。そしていつか、青い羽根を渡そうと思っているのも・・・。
しかし真っ昼間から温泉に出没する怪しい男から、青い羽根を受け取る女性がいるとは思えない。いくらカレンが情けない男を放っておけない性格でも、限度はあるだろう。
私がすでに限度を越えていると思っている人、手を上げて。はーい。
≪2年目 夏の月 18日 (土) 台風≫
家の外では、風がうなりをあげている。台風のせいで家から出られないので、動物たちにエサをやることもできない。この家と家畜小屋をつなぐ地下通路を、誰か作ってくれないだろうか。できれば鉱石場にもつないでほしいのだが。
・・・いや、こういうことは自分でやるべきだ。ミスリルのクワとハンマーを使えば・・・無理だった。
今日の朝食は月見だんご。しかしこれでは物足りない。今日はヒマなので、自分で作ることにした。
朝食その2はバターロール。どうせヒマなんだから、昼食以降もちゃんと作って食べよう。
昼食はぶどうパン。おやつに焼きとうもろこしを食べ、夕食はおにぎり(既製品)とかぼちゃの煮つけ。そして夜食にホットミルク。なんと3食おやつ2回付きの、夢にまでみた贅沢生活だ。どうだクリフ、私はついにキミを超えたぞ!
なお、食事が全部安っぽいという突っ込みは受け付けておりません。
今日は料理だけでなく、入浴も楽しんだ。全部で6回ほど。しかしそれでも時間を持て余したので、ポチも風呂に入れてあげた。
夜食のホットミルクを飲んだのが午前の9時30分。これのどこが夜食だと思われるだろうが、屋内では時間がたたないのだから仕方がない。まとめ食いした後は寝るのみだ。
≪2年目 夏の月 19日 (日) 晴れ≫
ムギさんが訪ねてきた。明日の牛祭りの出場登録をするためだ。
よし、モーモー、頑張ってこいよ!
と思ったが、モーモーの様子がおかしい。うげげ、昨日エサをやれなかったせいで、不機嫌になっている! ならば次に有望な牛をと思ったが、こちらも不機嫌になっている。そのうえ名前がウッシッシでは、この場で失格にされかねない。
しかたがない、本番までに機嫌をなおしてくれることを期待して、モーモーを出場させよう。
≪2年目 夏の月 20日 (月) 晴れ≫
明日は雨。・・・まったく、昨日動物たちを放牧したばかりだってのに、こんなときに夏の月初めての雨が降らなくてもねぇ。
牛祭りに出場するため広場へ行く。そして昨日からムギさんに預けていたモーモーの様子を見に行ったのだが・・・まだ不機嫌でやんの。
ああ、終わった・・・。牛祭りは闘牛ではなく品評会。こんなふてくされた牛が、優勝なんてできるわけがない。今のうちに知り合いに言い訳しておこう。悪いのは台風なんだー!
マリー「応援してるから がんばって。」
メイ「メイ、応援してるからね。」
う、言い訳する前に激励されてしまった。そんなこと言われたら、言い訳できないじゃないか。しかもモーモーは、ヨーデル牧場で購入した牛なんだ。私が育てた結果がこれでは、子牛だった頃のモーモーを知っているメイちゃんを悲しませてしまう。
バジル「ヨシヒトくんとこの牛は いい顔つきしてるなぁ。」
・・・植物学者は、動物を見る目はないらしい。審査員の目も節穴だといいのだが。
そして結果発表。優勝は・・・は!? モーモーだって!?
ムギ「とても愛そうのいい牛じゃったよ。」
審査員の目も節穴だったようだ。どうやら牧場主も、年を取ると動物を見る目がなくなるらしい。
リック「キミの牛は目の色がちがったからね。優勝するとおもったよ。」
そりゃあ、目の色は違っただろうけどね。でも違えばいいってものじゃないでしょうが。リックは絶対、個性の意味を勘違いしているな。
まあ過程や理由はともかく、優勝したのはモーモーだ。不機嫌でも優勝できる牛に育てたんだと、今は素直によろこぼう。モーモー、優勝おめでとう。これからもよろしくな。
モーモー「モ〜〜〜」
・・・まだ不機嫌でやんの。
注:台風はミネラルタウン周辺共通の災害のため、出場した牛すべてが不機嫌だったのかもしれない。想像すると非常に怖い。いや、審査員が台風のことまで考慮したのかもしれない。・・・などと、どうでもいい事をあれこれ考えるのはプレイ日記を書く醍醐味の1つなのだが、実際にはプログラム上、不機嫌かどうかを考慮していない(あるいは影響はわずか)だけなのだろう。さっき想像したことまで考慮しての仕様かどうかは分からないが。
≪2年目 夏の月 21日 (火) 雨≫
コケッコは鶏祭りで優勝して、Pの卵を生むようになった。モーモーはどうだろう。放牧して育てていたから、やっぱりPの牛乳を出してくれるんだろうか。でも金の牛乳が入手できないのは、なんだか嫌だなぁ。
などと思っていたのだが、モーモーはいまだに不機嫌で、牛乳を搾らせてくれなかった。
≪2年目 夏の月 22日 (水) 晴れ≫
モーモーからとれたのは牛乳Pサイズ。チーズメーカーという機械に入れると、チーズPサイズという、銀色の巨大なチーズができた。
・・・モーモーには悪いが、私は食べる気になれない。でも料理の材料としてなら問題ないだろうから、冷蔵庫に入れておこうか。
そういえば、冷蔵庫が一杯で入らないんだよな。ちょっと整理してみよう。
マヨネーズは料理で作れるから保存しておく必要はないし、ケチャップやバターも、必要なときに作ればいい。ちからでーるやつかれとーるなんて普通の料理には使わないし、疲労回復薬なんて必要なさそうだから、高品質の体力回復薬であるかなりちからでーる以外はいらないだろう。
こうしてみると、私が変なものまで冷蔵庫の中に入れていたことがよく分かる。あれま、毒キノコや赤い草(毒草)まであるじゃないか。しかしこれらも出荷できるのだから、何かの役には立つはずだ。ドクターにあげると喜ぶのだから、薬の原料になるのかもしれない。うーん、やっぱり全部保管したいなぁ。バターやケチャップだって、作りだめしていた方が便利なんだし。
テレビショッピングで、2つ目の冷蔵庫を売り出してくれないだろうか。冷蔵庫Pサイズとかでもいいんだが。
注:この時には気付かなかったのだが、実際には体力回復薬よりも疲労回復薬の方が役に立つ。・・・のだが、野菜ジュースの方がさらに実用的だったりする。
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