≪1年目 秋の月 8日 (木) 晴れ≫
今日はからっとしたいい天気だ。ポチを外に出してやろう。
そう思って抱きかかえて外に出ると、トーマス町長が待っていた。明日の収穫祭ではみんなで材料を持ちよって鍋料理を作るため、その材料を持ってくるようにという話だった。
しかし「キミも何かおいしいものを持ってきてね。」と言うときに、なぜポチを見ていたのだろう。あれは怖がっていただけなのか? まさかとは思うが、苦手なポチを、この機会にナベにしてしまおうと考えていたのでは・・・ブルッ。こ、怖すぎる!
しかしトーマス町長は、なぜポチを怖がるのだろう。彼は以前、この牧場を整理していたそうだから、ポチとは顔なじみのはずなのだが・・・そうか!
彼が牧場を崩壊させた瞬間を、ポチは見ていたんだ。そしてトーマス町長は、ポチが何らかの手段で破壊活動の証拠を公にすることを恐れているのだ。事が公になれば、彼は町長でいられなくなるどころか、息子のハリスさん(警官)のお世話になる可能性さえあるのだから。
・・・そういえば以前、ハリスさんはこの町が平和すぎることを嘆いていた。だがもう嘆く必要はない。ミネラルタウン最大の危険人物はトーマス町長なのだ! 彼を捕まえれば危険はなくなり、しかもハリスさんは英雄になれる。そして取調べによりトーマス町長の悪事が次々に暴かれ、すべての問題が解決する。
そう、これこそが、“牧場物語 ミネラルタウンのなかまたち” のベストエンディングなのだ!
注:信じないでね。
≪1年目 秋の月 9日 (金) 晴れ≫
どうでもいいことなのだが、毎週金曜日に放送されているテレビ番組(特撮もの?)が面白い。緊迫感のあるタイトルと、ほのぼのとした内容とのギャップが最高だ。来週のタイトルは「覚醒」。
おそらくは、登校時間になってもまだ寝ていた主人公が目を覚ますという内容だろう。
収穫祭が行なわれる広場へ行くと、思ったとおりに大勢の人が集まっていた。なんたって食べ放題だからな。普段ロクな物を食べていないというゴッツさんなど、今にも鍋に飛びつきそうだ。もちろん1日1食か2食で生活している私も、早く食べたくてウズウズしているのだが。
私の持参品は、山で見つけたきのこ。本当は牧場ならではの物にしたかったのだが、鍋の材料になって、しかも私が好きという物がなかったのだ。
・・・一応、あることはあるんだけどね。牛とか羊とか鶏とか。
リュックの中にはきのこと一緒に毒きのこも入れていたため、間違わないように目を皿にして確認する。そしてトーマス町長にきのこを渡し、材料が煮えると収穫祭の始まりだ。
それでは、いっただっきまーす!
満腹になって帰ってきた私を迎えてくれたのは、2匹の犬だった。おや、ヨーデル牧場のハナちゃんが遊びに来たのかな?
・・・って、1匹は野犬じゃないか! さっそく戦闘開始。バトルアックスを食らえ!
しかし暗いためにポチと野犬の見分けがつかず、なかなか手が出せない。その間に家畜たちを守ってくれたのは、なんとポチだった。野犬と鶏達との間に入り、吠えて野犬を追い払う。よし、あとは任せろ!
6度目の戦い(無効試合1を含む)も私の、いや私たちの圧勝で終わる。これまでの被害はゼロ。これでは緊張感に欠けるな。今度からはタッグマッチを楽しみたいものだ。
しかしポチは、いつの間に家畜を守ることを覚えたのだろう。子犬の頃はいつも鶏と一緒だったから、兄弟のように思っているのだろうか。そういえば犬になってからも、鶏達と一緒に寝ていることがあるような・・・。
心が温まるいい話だよな。多分、ほとんどが偶然なんだろうけど。
≪1年目 秋の月 10日 (土) 晴れ≫
アージュワイナリーでマナさんと世間話。仕事はコロボックル達がほとんどやってくれるため、マナさんに捕まっても安心だ。そしてしゃべって・・・じゃなくて、しゃべられていると、興味深い話が聞けた。なんと以前のミネラルタウンには、町からの船が月に1度しかこなかったらしいのだ。この話は、ミネラルタウンが村である可能性を示している。“ミネラルタウン・カントリー説” が復活だ!
一般に “街” ではなく “町” という言葉で特定の場所を表現するのは、その
“町” の近くにある村の人だけだ。つまりここは村である可能性が高い。トーマス氏が町長を名乗っているのは、きっと以前の村長が冗談で、固有名詞の一部であるタウンを町と訳して町長と名乗っていたところ、その呼び方が定着してしまったのだろう。
今日はもう1つ大事件が起こった。温泉で釣りをしていると、なんとアタリ(ウキの変化)があったのだ。結局、釣り上げることはできなかったのだが、3時間ほどの間に2度もアタリがあったことを考えると、見間違いとは思えない。
常識で考えると根がかり(岩などに引っかかること)なのだろうが、コロボックルやかっぱや女神さまが住んでいるミネラルタウンのこと、まだ見ぬ妖怪や怪魚の存在を否定することはできない。本当にこの村には謎が多い。
注:温泉に住む魚は実在する(ただし外国)。もちろんその温泉は、温泉卵ができるほどの高温(約65度以上)ではないのだが。・・・いま気付いたのだが、温泉卵が作れる温泉に入っていた主人公は大丈夫なのだろうか。
≪1年目 秋の月 11日 (日) 晴れ≫
メーメーが病気になった!
実は8日にエサをやり忘れたのだ。前日が雨だったため小屋に入れていたのだが、8日の朝に小屋から出そうとしても、すみっこにうずくまったまま出てきてくれない。羊を呼ぶベルを家に置いていたためどうすることもできず、後回しにしようと思っていたらきれいに忘れてしまい、気が付いたのは9日の朝。もちろん不機嫌になっていた。その後は放牧していたのだが機嫌を直してくれず、今日見ると、ああ・・・。
結局ヨーデル牧場まで薬を買いに行くはめになったのだが、動物の薬は1つ1000Gと非常に高い。放牧し忘れることを考慮して、保険代わりにエサ箱にエサを入れておけば、出費はほとんど0だったのに・・・。
みなさん、生き物を大切にしましょう(泣)。
≪1年目 秋の月 12日 (月) 晴れ≫
ムギさんがトーマス氏のことを、町長と呼んでいるのを聞いた。
ムギさん、慣習を盲信してはいけませんよ。ここは村。トーマス氏の本当の肩書きは村長なんですよ。
≪1年目 秋の月 13日 (火) 晴れ≫
夕方からマザーズヒルの山頂で、お月見ができるらしい。そこで月見だんごを作って見に行こうと思ったのだが、作り方がよく分からない。だんご粉はあるのだが、調味料も調理器具もないので、試すことさえできない。結局手ぶらで行ってみたのだが、誰もいなかったので飛び入りでつまみ食いすることもできなかった。
今日はどこの家も鍵が閉まっていたのだが、みんな私を締め出して、家族だけで家からお月見を楽しんでいたのだろうか。私がこの村の一員となる日は、まだまだ先のようである。
≪1年目 秋の月 14日 (水) 晴れ≫
アージュワイナリーのデュークさんが、明日仕事を手伝ってくれないかと言ってきた。ブドウを収穫するので、人手が足りないのだそうだ。
この私が、そんなにヒマそうに見えたんだろうか。7人も従業員(コロボックル)を雇っている牧場主にアルバイトなんて・・・。
確かに今月になってからは、牧場にいる時間よりも海や山にいる時間のほうがずっと長いし、毎日のようにフリスビーとポチを抱えてアージュワイナリーの前を通っていたから、誤解されても仕方がないんだが・・・。
自身の名誉のために言わせてもらうと、私の平均就寝時刻はおよそ12時。これのどこがヒマなんだ! 温泉で釣りをしていたのは学術調査なんだ!
しかしバイトを断ったりしたら、奥さんのマナさんの口からあっという間に噂が広まるだろうな。しかたがない、引き受けるとするか。そういえば、仕事が必要な人が一人いたな。誘ってあげることにしよう。
しかし天気予報によると、明日は一日中雨なんだよな。ワイン用のブドウって、雨の日に収穫してはいけなかったような気がするのだが。
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