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≪1年目 秋の月 1日 (木) 晴れ≫

 キャンディ牧場には大きな木がある。その木陰はコロボックル達の遊び場となり、また木に勝手に巣を作っているハチからは、毎日はちみつをもらうことができる。そのためこの牧場にとって、なくてはならないものだ。そして今日もはちの巣に家賃の取り立てに行ったのだが、その時に大きなりんごが3つも実っているのに気付いた。どうやらリンゴの木だったらしい。実りの秋、いいねぇ〜。

 早朝からうれしい発見があったのだが、浮かれ気分でいられたのは教会までだった。
 以前にクリフという青年がいると書いたことを覚えているだろうか。彼はこの町の人間ではないらしく、宿屋で寝泊りしているのだが、朝から晩まで教会ですごしている。それも仕事のためではなく、懺悔をするためのようだ。しかしそのような生活を送っていたために生活費が乏しくなり、近いうちに町を出て行くかもしれないと言うのだ。
 彼とは特に親しかったわけではない。しかし彼よりも後からこの町に来た私にとって、彼はミネラルタウンの一部だった。そして彼と私の違いは、おじいさんの牧場をもらえたかどうかだけのように思えてならない。同じ移民として、何かできることはないだろうか。
 とりあえず、就職できれば何とかなるはずだ。しかし人手が足りないところといえば・・・キャンディ牧場があるじゃないか! コロボックル3人分くらい働いてくれれば、1日1000Gだしてもいいぞ。私1人分の仕事でも、1日500G出すんだが。
 ・・・え、ダメ?
 仕方がない。クリフのことは頭の片隅に置いておき、何かいい話があれば真っ先に知らせることにしよう。

 ホアンさんの店に行くと、ボールフリスビーが売られていた。どちらもと遊ぶためのおもちゃなのだが、子犬とは遊べない。昨日からになったポチ(日本語は正しく使いましょう)を狙ったようなタイミングだ。
 しかしこのおもちゃといい、テレビショッピングといい、絶妙なタイミングで物が売り出される。もしや私の牧場は、誰かに見張られているのではないだろうか。そしてクリフは、仕事をコロボックル達に任せて自分は遊びまわるという私の計画を知っており、それゆえアルバイトの話を断ったのではないだろうか。
 ・・・本当にそんな気がしてきたので、この話はここまでにしておく。

 まつたけ。秋を代表する食べ物の1つだ。そして図書館で読んだ本によると、ミネラルタウンの周辺でも見つかるらしい。そこで午後の仕事を終えた私は、夕方からマザーズヒルに登り、まつたけを探すことにした。
 しかし実りの秋というほどには出荷できる物が見つからない。まつたけもない。探しているうちに日が沈んでしまい、探索を打ち切ることにした。
 朝一番にうれしい発見があったが、その後はロクでもない一日だった。


≪1年目 秋の月 2日 (金) 晴れ≫

 今日から3日間の水やりは、コロボックル7人体制だ。もっとも30面もの畑全部を任せられるとは思えないので、半分ほどは私がまくのだが。しかしそれでも仕事は非常に楽になる。余った時間は海岸へ行き、ポチと一緒にフリスビーの練習だ。

 飼い主がフリスビーを投げ、それをが追いかけていってキャッチする。これが夏に行なわれるフリスビー大会のルールだ。練習も、これと同じルールで行なうことになる。
 そして1回目。
 ・・・しまった、遠くへ投げすぎたか!?
 しかしポチは、奇跡のダッシュを見せた。記録はなんと14m30cm。以前の優勝記録が15mくらいだったはずだから、初めてとは思えない大記録だ。もしかして、ポチにはとんでもない才能があるのか? そう思った私だったが、2回目の9mに手も足も出ず、3回目には走るそぶりさえ見せなかったポチを見て、「ま、こんなもんだろ」と思い直すのだった。


≪1年目 秋の月 3日 (土) 晴れ≫

 ポチの調教に燃える私は、仕事を途中で放り出して海岸へ行くと、フリスビーの練習を始める。
 結論。昨日の大記録は、ポチがフライングしたのだろう。

 牧場に戻ってポチを放すと、今度はマザーズヒルへ行く。今日こそはまつたけを見つけてやるぞ!
 しかし今日は明るいのに、やっぱり見つけられない。もっと奥のほうだろうか・・・。
 そして私の秘密の釣り場(雰囲気が最高)にまで行ったとき、ついにまつたけらしき姿を発見した。
 「まつたけを発見」ではなく、「まつたけらしき姿を発見」と書いたのには訳がある。結局、採取できなかったのだ。目標まであと5m。しかし障害物が邪魔で、どうしても辿り着けない。釣り竿で引っ掛けようとしたが悪あがきに終わる。あぁ、悔しい!

 夕方から行なわれる音楽祭に出席する。これは町の若者が演奏を行なうという、ほのぼのとしたイベントだ。聴衆にはユウくんメイちゃんなど、ほのぼのとした顔ぶれが目立つ。ちなみに私の担当はオカリナ。やっぱりほのぼのだ。もっとも歌うのは、この町では数少ない “非ほのぼの人” であるカレンなのだが。
 私はオカリナなど吹いたことがない。まともに演奏できるのだろうか。しかし私の不安をよそに、演奏が始まってしまう。えーい、こうなったら腹をくくるぞ!

 この日の演奏でオカリナの音色が聞こえなかったという人は、私を疑う前に耳鼻科へ行くことをお薦めする。


≪1年目 秋の月 4日 (日) 晴れ≫

 ホアンさんがまた押し売りにきた。どうやら毎月4日が押し売りの日になっているようだ。
 売り物は前回と同じで、名前がやたらと長いリンゴ3種類。前に買ったリンゴはイタズラに使ってしまったのだが、どうやらあのリンゴは、普通のりんごとは別の作物として出荷されるらしい。
 ということで、今回は出荷するためにSUGDWりんご(正式名称:スーパー・ウルトラ・グレート・デリシャス・ワンダフルりんご)を購入し、ホアンさんが帰った直後に出荷箱に放り込む。

 しかしこんな怪しいリンゴを、一体どんな人が買うんだろう。そして買った人は満足するのだろうか。
 はたしてこれは、売るほうが悪いのか、買うほうがバカなのか。どちらにせよ、買ったうえに出荷までした私よりはマシなのだが。


≪1年目 秋の月 5日 (月) 晴れ≫

 今月初の収穫日を前にして、コロボックル達に仕事を頼みに行く。そのついでに一緒に遊んでいたのだが、そのとき収穫のミニゲームで15コを記録した。限界がどのくらいかは分からないが、なんとなくうれしいので日記に書いておく。
 ちなみに他の自己ベストはエサやりが63コで、水まきが18コ。水まきは簡単に最高点が取れるのだが、そのうち問題数が増えるのだろうか。記憶力の悪さには自信があるのだが。


≪1年目 秋の月 6日 (火) 晴れ≫

 コロボックル達に頼んだ仕事は3人が水やりで、4人が収穫。彼らの仕事は始めに思っていたよりずっと早いのだが、さすがに畑全部は無理なので、水やりの半分くらいは私が手伝う。いや、手伝いは彼らの方なのだが、実際には私が手伝っているようなものだ。そして昼前には(私だけ)切り上げて、ポチをつれて食堂へ昼食を食べに行く。午後からは海岸で、愛犬とフリスビーをして遊び、ポチが飽きた後は海釣りを楽しむ。
 ああ、今日は最高の一日だ。本当にコロボックルはありがたい。

 そして明日の雨に備えて夕方には動物たちを小屋に入れ、夜には温泉に入り、ゆとりを持ってベッドに入る。
 ああ、今日は本当にいい一日だった。
 ・・・えっ、この日記らしくないって?


≪1年目 秋の月 7日 (水) 雨≫

 雨の日はポチを家の中に入れている。そして今日は、私の方が先に目を覚ました。よし、ボールでもぶつけて脅かしてやれ。
 しかし投げようとした瞬間に、ポチは目を覚ましてしまった。
 げっ、ポチってカンが鋭いのか? 眠っているときにも油断していないのか?
 フリスビー大会で優勝した後は、ポチにお使い犬としての修行をさせるつもりだったのだが、愛敬のある顔に似合わず番犬向きなのかもしれない。それにここは牧場なのだから、野犬から家畜を守るためにも、番犬か牧羊犬として育てたほうが良さそうな気もする。

 「ミネラルタウンのアイドルポチが番犬デビュー!」

 キャッチコピーはいまいちだな。

 牧場の入口でコロボックル達を出迎える。しかしどいつもこいつも「もう、今日の仕事は終わったの。」と言いやがる。終わったって、来たばかりじゃないか。
 ・・・と思って気がついた。今日は雨のため水やりの仕事はなく、今日実った作物がないため、収穫の仕事もないのだ。
 なんだ、今日は来てもらわなくて良かったんだ。などと思っていたら、コロボックル達は7人全員が重なるようにして、一斉に居眠りを始めた。
 こんな光景、滅多に見られるものじゃないぞ。来てもらってよかった・・・。

 家畜小屋へ行き、モーモーメーメーにエサをあげる。エサは私がエサ取り出し口から取り出してエサ箱に入れるのだが、メーメーはそれまで待てないのか、取り出し口に顔を突っ込んでいた。邪魔なので横へどかしてエサをとり、エサ箱にエサを入れる。振り返るとメーメーは、また取り出し口に顔を突っ込んでいた。
 ・・・あの格好が好きなのか?

 雨の日は動物を外に出さないのが基本だ。しかし雨を恐れていては、大会で優勝することなどできはしない。
 そう思って私は、今日もポチを連れて海岸へ行った。しかしなぜか練習ができない。看板をよく読むと、練習条件に「晴れの日」としっかり書いてありましたとさ。

 その帰りの宿屋で、ラン温泉卵の差し入れをする。まだやっていたのかと思われるかもしれないが、しょっちゅう忘れていたので、多分これが5回目だ。
 しかしランの様子がおかしい。心臓部分にあるハートマーク(注)が、昨日までよりも大きくなっているのだ。
 ・・・まさか特製パイと温泉卵が妙な相互作用を起こしてコレステロール値が跳ね上がり、心臓に負担をかけているのか?
 人体のコレステロールは、食べ物の影響をほとんど受けないと主張する専門家もいる。しかし私の知り合いには、わずか2週間のゆで卵ダイエットで、コレステロール値が平常値の2倍に達した経験がある人もいる。常識から外れた状況にある場合、常識は通用しないのだ。
 温泉卵の差し入れはもうやめよう。ランもこれに懲りたら、特製パイダイエットはやめるんだぞ。おっと、企んでいたのは父親のダッドさんだったか。

 雑貨屋に行くと、マナさんエリィがまたツケの話をしていた。ところがこの店のサーシャさんは、このところツケの取り立てが楽しみの1つになってきたらしい。私もかなり前向きな性格だとは思うが、この人には勝てそうにない。
 しかしこの店の家族構成はよくできている。ツケを断れない気弱なジェフさんと、おかげで趣味が増えた気が強いサーシャさん。そして彼女に輪をかけたような娘のカレンカレンは将来、両親に輪をかけたような家庭を築くのだろうか。夫になる人は大変である。

注:ハートマークは花嫁候補の5人にのみ存在し、主人公に対する好意の度合いを表している。小さな黒色から始まり、大きな赤色になるとプロポーズを受け入れてもらえる。・・・もちろん、健康状態を表すものではない。


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