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≪1年目 春の月 3日 (火) 晴れ≫

 目を覚ますと、真っ先に時計を見る。ふう、寝坊せずに起きられたか。しかし私も結構丈夫だな。久しぶりの肉体労働を長時間やったというのに、わずか5時間半の睡眠で体力を回復させられたとは。もしかすると、仕事の途中で入った温泉の効果が絶大だったのかもしれない。

 さて今日の予定は、牧場全体の把握と、昨日回れなかった家への挨拶だ。海岸で引き抜いてきた薬草が予想外の金額で出荷できたため、種をいくつか買うだけのお金はあるのだが、今日が雑貨屋の定休日だということは調査済み。まく種がないのだから、農作業はほどほどでいいだろう。
 そして「よし、やるぞ!」と勢いよく家を飛び出した途端に、「おはようある」と挨拶されて腰を抜かしたりしたのだが、そのホアンと名乗る怪しげな商人に挨拶を返すと、牧場を一周して現状を正確に把握し、現実から逃げ出すように街へ行く。

 まずはにわとりりあという、“管&エディのミックスキャンディ” の次くらいに奇妙な名前をもつ養鶏場へ行く。店主はリリアさんといって・・・そうか、リリアを合わせてにわとりりあね。なっとく。
 このリリアさんだが、私と同年代の子供がいるとは思えないほど若々しい。というよりも子供っぽい。ついでに娘はポプリといって、私と同年代とは思えないほど幼く見える。これは遺伝なのか? 
 ともかくポプリが例の女の子だと考えるのはエリィ以上に無理があるので、ポプリの兄のリックを含めた3人に挨拶を済ませると、次の通りにある宿屋へ向かう。

 ふーん、この宿屋は食堂と酒場も兼ねているのか。生活にゆとりができたら、ちょくちょく通いたいものだ。一生ムリのような気はするけれど。
 ともかく、店内にいたのはランという、ここの店主の娘だけ。いかにも活発そうな彼女は、私と同年代で、なんと金髪! ・・・なんだけれど、例の女の子とは雰囲気が違う。でも可能性はあるな。生活にゆとりはないけれど、ちょくちょく通ってみることにするか。しかし店主もお客さんもいないのか。長居してもつまらないから、次へ行こう。

 図書館へ行く途中で病院に入る。別にエリィが目当てというわけではなく、単に通り道にあるからだ。おや、なにか様子が変だぞ?
 病院にいるのが場違いなくらい元気な男の子が、なにやらエリィと話しているのだが・・・あ、エリィが怒った。そうか、このユウという男の子はエリィの歳の離れた弟で、エリィに虫を見せてイタズラしていたんだな。そういえば、同じようなことが私にもあったっけ。カマキリやらトカゲやらを捕まえてきて、家族に見せていたんだよな。自分が好きだから、みんなも喜んでくれると思って・・・。
 しかしあのエリィの嫌がり方は普通じゃないぞ。ユウくんは一体、何を見せたんだ? 虫といってもピンキリだぞ。蝶やテントウムシならともかく、ゴキブリやゲジゲジだとしたらさすがに・・・。

 さて図書館。ここは昨日、私が初めに挨拶しにいったら留守だったという、お約束をやってくれた家の一部でもある。そこを管理しているのはマリーという、その家の娘にして私と同年代の女性だ。
 せっかく来たんだから、本でも読ませてもらおうかな。ふむふむ、役に立ちそうなことが書いてあるじゃないか。メモしとこっと。
 ちなみにマリーは、メガネをかけたちょっと内気そうな人で、黒髪。つまりは外れ。って、くじ引きじゃないんだけれど。

 日記では省略したことが多いものの、とりあえず、これで街はすべて回ったことになるはずだ。まだ出会っていない人は大勢いるし、山へもまだ行っていないけれど、これからしばらくは、農作業中心の生活を送ろうと思う。

 ところでミネラルタウンっていうことは、タウンだから町なんだよな。なのになんでこんなに田舎なんだろう。もしかして “ミネラル町” という意味ではなく、“ミネラルタウン” という固有名詞なんだろうか。
 正式名称は、ミネラルタウン・カントリー
 ・・・シャレになってないような気がする。


≪1年目 春の月 4日 (水) 晴れ≫

 ムギさんが尋ねてきた。
 このおじいさんは近くにあるヨーデル牧場の主なのだが、体の弱い子馬を1頭、うちの牧場で育ててもらいたいらしい。世話は簡単らしいので、喜んで引き受けることにする。牧場にいる動物が犬一匹では、さすがに悲しいからね。
 さて、このの名前だが・・・馬といえばにんじんだよな。あとは走るのが速くて、馬肉のことをサクラ肉ともいう。この3つのキーワードから連想できる名前は・・・。
 そういえば知り合いに、にんじんジュースが好きで、逃げ足だけは速くて、しょっちゅうハナ歌を歌っている奴がいたな。

 命名:エディシア

 ・・・まてよ。もしこれがばれたりしたら、どう言い訳すればいいんだ?

 「瞳がきれいで、足が細くて、みんなから愛されている、きみのイメージとピッタリだったのさ!」

 などと言ったところで、だませるとは思えんな。しかたがない。好きな競走馬の名前を取って、ルドルフ(注)にしよう。

 今日からは農作業中心の生活を送るつもりだったのだが、資金に乏しいこともあって、昼過ぎにはすることがなくなってしまった。
 結局、今日も街へ繰り出すことになったのだが、雑貨屋で出会ったのは、私と同年代の金髪の女性。どうやらこの店の娘らしい。そうか、彼女がカレンか。「もしかして彼女が」などと思いながら話しかけてみたのだが・・・愛想悪すぎ。

 実を言うと、彼女のことはその母親であるサーシャさんから聞いていたので、かなり期待していたのだ。母親が金髪だから娘も金髪という可能性は十分にあるし、おせっかいな性格だと言っていたので、例の女の子との共通点が多いように思えたから。でも、なんだかなー。
 まあ第一印象なんてのは、その人の一面でしかない・・・どころか、一面とさえ言えないこともあるわけだから、あまり気にしてもいけないけどね。ともかく、これから頻繁に訪れるはずの雑貨屋の娘ならちょうどいい。これから何度も出会えるだろうし、いずれは彼女の本当の姿も見えてくるだろう。

 教会では、ちょっとした異変があった。2日連続でヒマそうにしていた、神父のカーターさんがいないのだ。おやっと思って捜してみると・・・なんだ、懺悔室にいたのか。
 しかしこの選択肢は何なんだ? 「ざんげしたい」というのは分かるが、あとの2つは「呪われた道具をはずす」「あいさつだけ」。“呪い” って、RPGじゃないんだから・・・。それに懺悔室に挨拶しに行く人なんて、普通いないと思うんだけど。「しょっちゅう懺悔しにきますんで、今後ともよろしく!」なんて、そんなの懺悔とは言わないよ。

 こうして予定外の散歩を終えて牧場に戻ってきたのだが、時間と体力にはまだゆとりがある。寝るまえに少しでも畑を耕そう。
 そんな私の勤勉な精神が天に届いたのか、地面から出てきた物は、なんと体力増強効果をもつ力の木の実だった。
 「こんな希少な木の実は、しっかり味わって食べないとバチが当たる。」そう思った私は、木の実を慎重にかじろうとした・・・が、うっかり丸呑みしてしまった。・・・味、わかんなかった。ぐすん。

 貴重な体験を無駄にしてしまった私は、嫌な思いを忘れるために、さっさと寝てしまおうとベッドへ直行した。しかし木の実の味がどんなものだったのか、気になって眠れない。
 しかし木の実がなんで、土の中から出てきたんだろう。去年の秋に、ネズミか何かが冬に備えて埋めていたんだろうか。しかしうちの牧場に埋めたということは、この近くに “力の木” があったんだよな。するとその木は、今は切り株になっている木ということだよな。
 でもこの切り株トーマス氏が(奥義で)切り倒した跡には見えないし、以前の牧場主だったおじいさんの年齢で切り倒せるとも思えない。するとおじいさんがまだ若かった数十年前から埋まっていたことになり、いまだに芽を出していないということは、木の実はすでに腐敗していた可能性が・・・。
 味以前の問題であることに気付いた私は、やっぱり気になって眠れないのだった。

注:ルドルフは、シンボリルドルフという馬から名前をもらった。シンボリルドルフは1984年ごろに活躍した競走馬で、大レースを中心に16戦13勝(2着1回、3着1回:無理な日程のため、6着1回:怪我のため)の成績をあげており、現在でも日本競馬史上最強という人が少なくない。もっとも私のシンボリルドルフ好きは、単に初めて名前を覚えた馬だからという理由なのだが(競馬の存在さえ知らなかったころの私が名前を覚えたのだから、それだけ話題になったということかもしれない)。


≪1年目 春の月 5日 (木) 晴れ≫

 病院で、ちょっとした出来事があった。この村の医者であるドクター(人名? 通称?)とエリィがなにやら話しているのだが・・・そうか、エリィドクターが好きなのか。しかしドクターは医者としての使命に燃えており、エリィの気持ちには気付いていないみたいだ。よし、ここは2人のために、私が一肌脱ごうじゃないか。

 ドクター「10G必要だけど診察する?」

 服を脱いだんじゃなーい!
 ともかく、今の私にとっては10Gでさえ大金のため、きっぱり診察を断ると、2人の将来は2人にまかせて次へ行くことにした。

 宿屋へ行くと店主のダッドさんがいたので食事を注文。しかし所持金が15Gしかない私には、一番安いクッキー(200G)でさえ高嶺の花だ。しかたがないので(0G)をもらって飲むと、ランに挨拶だけして店を出る。しかしこれって、嫌な客だな。


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