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   「お前……。そんなに調子が悪いのか? どこか痛い所でもあるのか?

   日吉が、お前の家に連絡しているらしいから、迎えが来るまで、

    もう少し我慢しろよッ! 」


    そう励ましながら、宍戸亮は、俺の額に当てられた濡れタオルを交換しようとして、

    手を伸ばしてきた。


   彼の柔らかな白い指が、俺の顔にそっと触れた。

    そのとたん、接触した指先から、俺の顔にめがけて、ビリビリとした熱い電流の

    ような物が走っていった。

    それは、凄い速さで背骨を抜け、俺の下肢までいっきに痺れさせる。


    俺は、汗を噴き出しながら、海老のようにのけぞると、全身を激しく震わせた。

    えもいわれぬ昂揚感と開放感を感じ、俺の下肢は、失禁したように熱く

    濡れそぼった。


    性に関しては、知識はひと通り持っている。


    しかし、このように、何の前触れも無く、突然、射精するなんて事があるのだろうか?


   俺は、たった今、発生した事実に脅えながら、毛布の中で隠しつつ、右手を下着の

    中へ差し込んでみる。


   陰茎が激しくひくつきながら。濃い液体を吐き出し続けているのがわかる。

    すぐに、俺の右手は、糊のようにヌルヌルとした液体で汚れてしまった。


   射精は、まだ、止まらない。

   右手で根元を握って押さえても、止めどもなく溢れ、流れた液体が

    シーツまで濡らしていた。


   「宍戸さん。宍戸さん……。」

   俺は、どうして良いのか、わからずに、嗚咽を上げながら、彼の名前を呼んでいた。

    そうしながら、身体は痙攣したように跳ね上がり、尿道に残った全ての精を放出した。


   宍戸亮は、苦しんでいる後輩を労わるように、俺の汗ばんだ額を撫でていた。

    彼から見たら、高熱でうなされているように見えるのかもしれない。


   彼の手のぬくもりを感じながら、俺の体温は、さらに上昇を続けた。喉も渇ききり、

    激しい飢餓感を感じている。


   そして、身体中で何かを欲しがっていた。

   激しく強い衝動が湧き上がる。

   たまらず、俺は、精液で汚れている右手で、陰茎をゆっくりと擦り始めた。

   先ほど精を放出したばかりだと言うのに、俺のモノは、すぐに膨らみ、

    ガチガチの石のように硬くなってしまった。それを必死に擦りあげる。


    また、すぐに射精しそうだ。


    俺は、目を大きく開け、すぐ頭の上にある宍戸亮の心配そうな表情を見た。

    彼にこうやって見つめられていると、興奮のあまり何度でも射精できそうな気がした。


   もし、擦っているのが、自分の手では無くて。彼の柔らかい白い指ならば、

    どんな感じなのだろうか? 


   彼も、きっと自慰くらいするだろう。

   どのように、快楽を貪るのだろうか? 

   こんな美しい人でも、浅ましく、喘ぎ声を出してイクのだろうか? 

   幼少期に見た、あの細い腰を降りながら、射精するのだろうか?

   俺は、そんな事を想像しているうちに、また、頂点を迎えた。 腰を激しく振り上げる

    ようにして、精液を撒き散らす。それも、目の前にいる宍戸亮に向けて放っていた。


    彼の整った顔や、長い黒髪に、俺の精液がかかるのを想像して、

    とてつもなく興奮した。


   綺麗に筋肉のしまっている白い体が、精液にまみれて汚されてゆく。 

    胸元の桜色をした乳首にも、細い腰にも、艶のある太股にも、疎らに生えている

    若草のような陰毛にも。 俺は、白く濁った欲望の証をかけ続けた。


   宍戸亮は、嫌がる様子もなく、暖かな笑顔を浮かべたまま、自分の手と口でも、

    それを受け入れた。

    飲みきれなかった精液が、彼の口唇からトロトロと零れ落ちていた。


   けれど、それは、想像の産物であり、実際に汚れたのは、俺の制服と毛布と

    ベッドカバーだけだった。




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