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   満月期が終わり、日常生活が戻った今でも、未来流は落ち着かないでいた。中学校で勉強を

    していても、自宅の部屋で休んでいる時も、何だかいたたまれないのだ。


   優しい兄とあんな事をしてしまったのだと思うと、麗二の顔なんて、とても見る事ができない。

    未来流は、以前にもまして、麗二を避けるようになってしまった。


   未来流は、初めて麗二に出会った時、頭をその温かい手で撫でられて、心臓が止まりそうな

    衝撃を感じてしまった。


   自分に生まれて初めて優しくしてくれた父・東吾に良く似ている。しかし、その父親よりも、

    さらに若くて魅力的な麗二に、未来流は《 恋 》をしてしまった。


   今まで、他人を愛した事が無かった未来流は、その相手にどうやって接して良いのかサッパリ

    わからないのだ。


   兄と抱き合った今でも、それは同じだった。

   逆に、狂おしいほど強くなった思いのせいで、ずっと未来流を苦しんでいた。

   今晩、また月が昇ったら、未来流の経験する二度目の満月期になる。今回は、兄達の

    言いつけを守り、未来流は学校を欠席していた。同じような失敗は繰り返したく無かった。


   まだ満月期の前日。それも昼間だと言うのに、未来流の身体はすでに熱く火照っていた。

   その心に浮かぶのは、ずっと兄の事ばかりだった。

   未来流は、我慢出来なくなり、ズボンと下着を手早く脱ぐと、自室のベッドに横になった。

   仰向けに寝転がると、右手でペニスを摩った。すでに慣れた手つきになっていた。

    あれから、もう何度もこうして熱い
熱を散らしてきたのだ。

   麗二に触られた感触を思い出しながら、そっと右手を動かしてみる。

   それから、残った左手を尻へと持っていった。 震える指先で、尻穴を探る。

   この場所で、麗二の太くて硬い砲身を何度も受け入れたのだ。 粘膜を押し開くように

    麗二のモノは奥まで入ってきた。


   そして、激しく擦りたてながら、身体の奥まで熱い迸りを注いでくれた。

   未来流は、人指し指と中指を二本、尻の奥まで差し込むと、兄の砲身と同じように力強く抜き刺しした。

   「あん、良いよぉ。麗二! 麗二! 」

   嫌らしい声を上げながら、未来流は何度も腰を振っていた。

   右手ではちきれそうに膨らんだペニスを擦り、左手の指で尻穴をかき回しながら、未来流は

    切なげに喘いだ。
 しばらくして、自分の腸壁に吹きかかる兄の熱い精液の感触を

    思い出しながら、未来流も一緒に射精した。


   未来流の股間から吹き上がった精液は、自分の腹部へ散って流れた。

   欲望を開放して、身体は少しだけスッキリとしたけれど、心は変わらず寂しいままだった。

   それどころか、逆に切なさは募る一方だった。

   何度、自分で慰めても、結局は同じなのだと未来流は思っていた。

   自分は、本物の麗二に抱かれたいのだ。

   愛する人で無いと、意味が無い。 愛する麗二に抱いて欲しい。

   それ以外では、身体も心も満たされる事は無いだろう。

   けれど、未来流がそれを決して口にしないのは、優しい兄を失いたくないからだった。

   自分から麗二に対して「抱いて欲しい」なんて、死んでも言えなかった。

   未来流は、麗二を一人の男として愛していた。

   けれど、兄として、家族としても、とても愛していたからだった。



                              
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