2ページ目/全4ページ 満月期が終わり、日常生活が戻った今でも、未来流は落ち着かないでいた。中学校で勉強を していても、自宅の部屋で休んでいる時も、何だかいたたまれないのだ。 優しい兄とあんな事をしてしまったのだと思うと、麗二の顔なんて、とても見る事ができない。 未来流は、以前にもまして、麗二を避けるようになってしまった。 未来流は、初めて麗二に出会った時、頭をその温かい手で撫でられて、心臓が止まりそうな 衝撃を感じてしまった。 自分に生まれて初めて優しくしてくれた父・東吾に良く似ている。しかし、その父親よりも、 さらに若くて魅力的な麗二に、未来流は《 恋 》をしてしまった。 今まで、他人を愛した事が無かった未来流は、その相手にどうやって接して良いのかサッパリ わからないのだ。 兄と抱き合った今でも、それは同じだった。 逆に、狂おしいほど強くなった思いのせいで、ずっと未来流を苦しんでいた。 今晩、また月が昇ったら、未来流の経験する二度目の満月期になる。今回は、兄達の 言いつけを守り、未来流は学校を欠席していた。同じような失敗は繰り返したく無かった。 まだ満月期の前日。それも昼間だと言うのに、未来流の身体はすでに熱く火照っていた。 その心に浮かぶのは、ずっと兄の事ばかりだった。 未来流は、我慢出来なくなり、ズボンと下着を手早く脱ぐと、自室のベッドに横になった。 仰向けに寝転がると、右手でペニスを摩った。すでに慣れた手つきになっていた。 あれから、もう何度もこうして熱い熱を散らしてきたのだ。 麗二に触られた感触を思い出しながら、そっと右手を動かしてみる。 それから、残った左手を尻へと持っていった。 震える指先で、尻穴を探る。 この場所で、麗二の太くて硬い砲身を何度も受け入れたのだ。 粘膜を押し開くように 麗二のモノは奥まで入ってきた。 そして、激しく擦りたてながら、身体の奥まで熱い迸りを注いでくれた。 未来流は、人指し指と中指を二本、尻の奥まで差し込むと、兄の砲身と同じように力強く抜き刺しした。 「あん、良いよぉ。麗二! 麗二! 」 嫌らしい声を上げながら、未来流は何度も腰を振っていた。 右手ではちきれそうに膨らんだペニスを擦り、左手の指で尻穴をかき回しながら、未来流は 切なげに喘いだ。 しばらくして、自分の腸壁に吹きかかる兄の熱い精液の感触を 思い出しながら、未来流も一緒に射精した。 未来流の股間から吹き上がった精液は、自分の腹部へ散って流れた。 欲望を開放して、身体は少しだけスッキリとしたけれど、心は変わらず寂しいままだった。 それどころか、逆に切なさは募る一方だった。 何度、自分で慰めても、結局は同じなのだと未来流は思っていた。 自分は、本物の麗二に抱かれたいのだ。 愛する人で無いと、意味が無い。 愛する麗二に抱いて欲しい。 それ以外では、身体も心も満たされる事は無いだろう。 けれど、未来流がそれを決して口にしないのは、優しい兄を失いたくないからだった。 自分から麗二に対して「抱いて欲しい」なんて、死んでも言えなかった。 未来流は、麗二を一人の男として愛していた。 けれど、兄として、家族としても、とても愛していたからだった。 ![]() ![]() 1ページ目へ戻る 3ページ目へ進む 小説マップへ戻る |