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   自分でするよりもずっと気持ちが良い。

   麗二の大きな手の平で敏感な場所を強く擦られている。

   彼が指に嵌めている金属の指輪の感触まで、はっきりと未来流にはわかった。

   それが、ペニスの裏筋を掠めると、未来流の背筋に電気のようなしびれが走ってしまう。


   さらに、身体を預けている麗二の肩や胸から、とても良い香がするのだ。

   先ほどの、麗二の女がつけていたらしい香水の残り香とは違う。あれはとても嫌な匂いだった。

   麗二はコロンなどは使っていないし、汗の匂いでもない。

   これは麗二の体臭だった。

   未来流は、人狼の本能で《 発情期のオスの匂い 》だと感じ取った。

   それを嗅いでいると、脳の中までドロドロに溶け、眩暈がして倒れそうになる。


   それはダイレクトに下半身にも伝わり、ほんの少し強く刺激されたら、すぐに

   射精してしまいそうだった。


   麗二は竿をさすっていた右手の指で、未来流のペニス先端の包皮を捲くりあげた。

   赤くなっている尿道が小さく口を開いて露出した。そこから、とろりとした半透明な粘液が

   溢れてくる。
 その蜜はペニスの根元まで滴り、陰毛をしっとりと濡らし、さらに

   麗二のジーンズまで湿らせていた。


   麗二は、尻穴を揉んでいた左手の人差し指と中指を、尿道に押し当てネチョネチョとした

   液体を絡め取った。 それを潤滑油代わりにし、十分に濡らした指先を窄まった狭い尻穴
へと

   慎重に差し入れていく。


   初めてで二本指の挿入では、かなりの抵抗があったが、麗二は未来流の呼吸に合わせて、

   傷をつけないように注意深く指を差し込んでゆく。


   一度、奥まで深く押し込み、ゆっくりと馴染ませるように指を動かした。

   柔らかい直腸の粘膜を傷つけないように、抜き差しはせず、小刻みに揺するようにする。

   そうして、目当ての場所をさぐりあてた。

   そのザラザラした硬い筋のような感触のする襞を、押すようにして指先で擦り上げた。

   「ひあっ!」

   未来流は、笛のような細い声を上げると身体を反らせた。

   「な? ココが良いだろ? 」

   「うわっ!うわっ!やめ……!」

   麗二が、後穴のその場所を繰り返し強く押すたびに、未来流の頭の中は閃光が走った。

  無意識に未来流は、腰を前後にくねらせて、さらに麗二の指に敏感な粘膜を

   擦りつけるような動作をしていた。


   その腰の動きはだんだんと激しくなり、尻穴からはグチグチといやらしい音がする。

   麗二も未来流の動きに合わせて、中の柔らかい粘膜を激しくかき回した。


   (あ〜、気持ち良いよぉ。何なの? コレは何なの? )

   麗二が尻穴の中で大きく二本の指を開き、猛禽類の鉤爪のようにし、先ほどの敏感な襞を

   引っかくようにする。未来流はとうとう声を押さえる事ができなくなり、大きな泣き声を上げていた。


  「あ、あ! あうっ! もう、もう〜止めっ! お尻が変になる〜変になるよぉ! あ、あ、あはぁ! 」

   未来流の頭の中は、ドロドロした濃厚なミルクのように真っ白になり、何もかも

   わからなくなってしまった。


   そして、腰をプルっと震わせ痙攣すると、麗二の右手の中にピュルっと射精してしまった。

   それは、四回目の放出なので水っぽくサラサラしたモノで量も少なかった。

   しかし、未来流は全てを放出した後も、陸に上げられた魚のように苦しげにひくひくと痙攣し、

   麗二の筋肉質な硬い胸に頭を沈めたまま動かなかった。


  「お、おい? 未来流? どうした? 」

   麗二がゆすっても未来流は目を閉じたままだった。そのうちにぐったりとして、麗二の

   腕の中で四肢を弛緩させていた。
どうやら、快感のあまり失神してしまったらしい。

   事件の張本人とは言え、さすがに麗二も慌ててしまった。

   「うわっ! ほ、本当かよ? 」

   後穴で気をやる男はいるだろう。性感帯の前立腺があるからだ。

   しかし、初めての体験で失神する者は、麗二の知る限りではいなかった。

   発情期とは言え、弟のあまりの敏感さに、麗二は舌を巻いてしまった。

   麗二は別にふざけたわけでは無い。

   若い未成熟な人狼が味わう、満月期の苦しみは良くわかっていた。

   成人してしまうと落ち着くのだが、成長途中では肉体のバランスが著しく崩れてしまう。


   そのため、性的な苦痛を伴ってしまう。

   トイレで辛そうな様子だったので、早急に抜ける方法を教えるつもりだったのだ。

   多少、やり方が乱暴だが、未来流が自分の話を素直に聞くとは思えなかったからだ。


   どうも初対面から、未来流には嫌われているらしい。




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