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   「俺様がフン詰まりで死んだらどうする! 」

   「そんな事で死ぬもんか! ふんだ、いっそ死んじゃえ! それが世界平和のためだ! 」

   「お兄様に死んでしまえだぁ? なんつー事を言うんだ、この大馬鹿者! 」

   「オレは、麗二が兄貴だなんて、思って無ぇ〜もん! 」

   アホだの、ボケだの、死ねだの、と扉越しに言い合っていると、突然、バリバリと

   木が裂けるような音がする。


   さらに、ズボッなんて音をたてて、トイレの扉が外へと開いてしまった。

   開いたというよりも、蝶番が完全にひしゃげ、木の扉も歪んでしまっている。


   麗二が扉の取っ手を掴んで、無理やりねじ切ったのだ。

   人狼の満月期のパワーなら、住宅にあるトイレの扉など片手でこじ開けられる。

   「うわ〜! トイレを壊してどうするんだよ! 」

   驚いて叫ぶ未来流に対して、麗二は咥え煙草のままでのんびりと言い返した。

   「早く出てこねーお前が悪いんだろうが! 」

   そのまま、ひょいっと壊れた扉を壁に立てかけると、トイレの中へズカズカと侵入する。

   その時になって、未来流は自分の間抜けな有様に気がついた。

   プルプルと揺れている勃起したままのペニスを、慌てて両手で隠す。


   しかし、そんなガードが役に立つはずも無く、頬を染めて必死に取り繕う未来流に、

   麗二はニヤリと笑いかけた。


   「仕方無ぇなーお前は。 エッチする相手もいないのか? 八十神の人間にしたら、

   そりゃ〜恥さらしって話だぞ!
 俺の中学時代なんて凄かったぜぇ。 何人もの女が

   俺の帰宅時間を狙って、校門前で待っていたもんだ……。」


   「ほっとけ! この色魔! 」

   麗二の馬鹿な言い草に、ぐったりと疲労する未来流だった。

   (それに……。 )

   (どうせ、オレは八十神の子じゃないもん。 )

   (もともと兄弟なんかじゃ無いやい! )

   未来流は、麗二が自分を《 弟 》と呼ぶだびに、居たたまれなくなってしまう。

   自分は、拾われてきた子供なのだ。

   八十神家の当主・東吾(とうご)を実父に持つ麗二とは、当然、似ているはずがない。

   逆に、それを思い知らされる気がしてしまう。
 麗二が苦手なのは、そのせいもあるのだ。

   他にも、様々な理由があるのだが……。

   とにかく、未来流は麗二に会うと緊張してしまう。

   動物が天敵に出会ったように、未来流は身体が硬直してしまうのだった。




   未来流は、不躾にトイレへ乱入してきた麗二を睨みつけた。


   目の前でニヤニヤと笑いながら、煙草をふかしているのは、
十歳年上の兄である。

   八十神家の次男坊にあたる。


   黒い光沢のある皮のジャンパーにジーンズ姿で、筋肉質の良く鍛えられた身体をしている。

   身長は未来流よりも三十セ
ンチ近く高い。

   短い髪は金褐色に染められツンツンと針ネズミのように立っている。

   一見すると、日本人にはとても見えない。


   ここに普段はサングラスをしているので、見た目はかなり柄の悪い感じがする。

   おまけに「ただ今、朝帰りです」と言わんばかりに、女の香水の匂いがプンプンした。


   麗二の女癖はかなり悪い。

   「臭い! 近寄るなよ! 」

   人狼の敏感な鼻には強烈な匂いだった。

   「そうか? 芳しいと思うがな? マリアと洋子とジェシカのミックスだぞ? 」

   クンクンと自分の上着の匂いをかぎながら、そう麗二は楽しげに答えた。

   (一体、誰と、どういう付き合い方してんだよ! )

   不機嫌になり、険しい顔をしている未来流に対して、さらにこんな追い討ちをかける。

   「う〜ん、やっぱり童貞君にはキツイ匂いなのかね? 」

   「知るか! アホ! 」

   未来流は、そんな色欲魔人を完全無視して、トイレを脱出し自室に向かおうと思った。

   (これじゃ、抜くモンも落ち着いて抜けないや! )

   そそり立ったままの、イチモツを強引に下着に押し込むと立ちあがる。

   しかし、麗二に肩を掴まれ、行く手を阻まれてしまった。

   「な、何すんだよ! どけよ! 」

   未来流が叫ぶと、麗二は便器に短くなった煙草をプッと投げ落とし、自由になった口を開いた。

   「まあまあ、待てよ。今は満月期だからな。それくらい気にするモンでもねぇだろ。

   俺たち人狼は、みんな同じなんだからな。マスをかくなんて、どこのガキでもするじゃねーか。」


   麗二がウンウンなんて、一人で勝手に納得しながらそんな事を言う。

   さらに、とんでもない事までつけ加えた。

   「よしよし、可哀相な弟のために、俺がすぐイケる良いツボを教えてやろう! 

   百選練磨の俺様が言うんだから、信じろ
よ。これなら、百万回でもヌケるからな! 」

   向き合ったままで、麗二は突然、未来流の下着をガバッと降ろし、プルンと外に飛び出してきた

   桃色の可愛いペニスを右手でムギュっと掴んだ。


  「うぎゃ!」

   大事な部分をいきなり掴まれ、全身が硬直してしまった未来流だった。

   麗二はもう一方の腕を、そんな未来流の尻の間へと大胆に差し込んでいく。


   「ココが良いんだぞ。イケ無い時はコレだ! 」

   そう言って、後ろの硬い蕾へ左手の人指し指を当てると、薄い皮膚と括約筋を

   マッサージするように揉み始めた。


   「な、な、な、何するんだ? 」

   「あ、こらこら。力を抜かないと痛いぞ! 力を抜け! 」

   「そんな事……できるワケ無いだろぉ〜このボケぇ。もう、離せよ〜この変態! 」

   ますます全身に力を入れ、身構えてしまう未来流に対して、「仕方ねぇ〜なぁ」と、

   麗二は溜め息をつくと、掴んでいるペニスも一緒にマッサージし始めた。


   麗二が右手で硬い砲身をゆったりとしたリズムで摩ると、すぐに先端からは

   トロトロと粘る液が洩れ始めた。


   先ほどまで、自慰で熱くなっていた体は、他人の手で触られる刺激に耐えられるはずが無い。

   「うあっ! う、う、うう〜! 」

   未来流は、麗二の胸に頭を当て体重をあずけると、尻を揺すりながらうめき声を上げ始めた。

   麗二の皮の上着を口に咥えて、必死に声を押さえようとするが、後から後から声がもれる。

   その姿は、まるで泣きじゃくる子供のようにも見える。


   麗二は、未来流の反応を見ながら、後穴とペニスを同時に強弱をつけて刺激した。

   自分で百選練磨と自慢するだけあって、指の動きだけで、あっという間に未来流の腰を

   くだけさせてしまった。

   麗二は座りこみそうになる未来流の股に、自分の右足の膝を差し込むと、それだけで

   身体を固定してしまった。

   未来流の足は完全に床を離れ、麗二の太腿に跨り、両足を大きく開いたまま

   尻とペニスを弄られていた。

   その姿は、まるで乗馬をしているように見える。未来流の身体はリズミカルに麗二の

   腿の上で跳ね上がっていた。





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