1:道具・準備こちらをクリックしてください。この写真は、私の<仕事机>です。
1.机
折り畳めるタイプのスチール机です。
元はブルーグレー(奥に見える横パイプが元の色)だったのを、汚れたのと気が滅入る色なのとでご覧のグリーンのシートを買って来て貼りました。
また汚れて来たら、もう少し明るいエメラルドグリーンに貼り替えよう。
2.画板
厚紙に金具が付いただけの、普通の文具店にある画板、原稿用紙(B4)より大きめのA3版です。同じサイズくらいの画用紙を数枚敷いて、クッション件メモ用紙件試し描き用紙にしてます。
平らな机で描くより、少し斜に角度を付けた方が疲れにくいので、画板の下に雑誌を置いてます。描く体制で、肘より手首が高い方が楽なので、画板全体を机面より高くして、さらに手前より向こう側を高く斜めにするため、 手前に一冊、向こう側に二冊重ねてます。
普通、商業誌の原稿用紙はB4サイズ。
紙はHow to本等にはケント紙が薦められているのを良く見かけますが、私は上質紙(110〜130kg)を使ってます。
ケント紙は物理的に重い(40ページともなるとかなり差が出ます)し、表面がツルツル過ぎて、インクが染み込まない感じがイヤ。紙の色も白過ぎ、と言うより青っぽくて反射も多く、目に優しくないし。ベタ(黒く塗る部分ですね)もテラテラして、そんなのは印刷になれば関係ないんだけど、製作中の気分も大切なので。
今は「マンガ用」と称して、白い上質紙に青で基本線と目盛りが印刷してあるのを売ってるんだけど、私はあまり好きになれない。いつも締切りギリギリの仕事なので、やっぱり少しでも時間を短縮したくて使う事も多いけど、本当は自分で外ワクから書いた方が気分がよろしい。
自分で外ワク線を書く時は、昔、デビュー前に某誌に投稿した時に参加賞でもらった「まんがスケール」ってのを、未だに使ってます。
透明プラスチックの板にワク線と目盛りが印刷されてるだけの物だけど、けっこう重宝してます。
場合によるんだけど、だいたいネーム(絵コンテ)は第一稿、第二稿を作ります。
絵コンテの前に、文字だけのプロットを5のB5サイズのレポート用紙(または落書き帳)に書いて、それを見ながら4のメモ帳に第一稿を描き、5を横長にして真ん中に縦線を入れ、ミヒラキ2ページのネームを描く(第二稿は省略する事も)。
7が35cm定規、ワク線をペンで引く時に使います。
6 は20cm。背景を描いたり効果線を入れる時は、短い方が小回りがきくのでこちらを主に使います。
透明プラスチック製で、全体に0.5mm四方の方眼線が入ってるのが使い易い。
片側が斜めになってないとインクがボテるからペケ。厚さが薄過ぎるとやっぱりインクがボテやすく、厚過ぎるとペンが不安定になるので、厚さ2mmが私好み(今初めて測った)。
あとは透明のままキレイな色が付いてるといいんだけどな。疲れて来ると、透明だと見失う事があって、ちょっと探す間も惜しくなるからな…。
8.三角定規
下描きでワク線を引く時、使います。
三角定規が二枚あると、いちいち目盛りで測らなくても直角が作れて便利。
9.テンプレート
10.雲型定規
曲線を引くための雲型定規と、円や楕円等を描くテンプレート。
やはり片面にミゾが付いてる物がインクボテしなくていいんだけど、ミリペンを使う事も多いので、ミゾ無しのも持ってます。
でも正直、あまり使わないかな、私。
編集さんに苦情を言われる事もあるけど(笑)、曲線、特に背景や小物の曲線は手描きの方が出来上がりが好きなので、多少形が歪んでも定規無しでクリクリッと描く事が多い。
効果線とか、記号的な物、矢印とか、特殊なフキダシとか、そういう時に主に使います。
11.ベタ皿
12.墨汁
ベタは筆と墨汁で塗るのが好き。
ボトルに筆を突っ込むのは使いにくいし、市販の墨汁では濃いので、皿(コーヒーのフタですが…)に出して薄めて使ってます。
13.時計
締切り前は、文字通り時間との戦い。
窓を前にして描くのが好きなんだけど、いちいち振り返って壁の時計を見るのはよろしくない、という事で、いつも視野に入る所に置いてます。
以前はタイム計測のできる腕時計を使っていたんだけど、壊れちゃいました。
10分ごととかにアラームが鳴るようにできるヤツが欲しいな。
14.ライト
近頃電器屋さんであまり見なくなった、いわゆる「Zライト」。見えにくいけど白です。
机に固定して高い位置から照らせるのが好き。
蛍光灯が嫌いなので、100Wの白熱灯を使ってますが、真夏は部屋の気温が上がり過ぎるので蛍光ボールで妥協します。ただし電球色に限る。
15.鏡
お恥ずかしいんですが、何年やっても人の形が頭に入ってなくて(デッサン力が無いとも言う)、下描きの時は鏡が必需品。
全身図など、机の上に置ける大きさで足りない場合は、玄関の姿見まで画板ごと持って行ってポーズ取りながら描いてます。
異様な光景なので、どんなに仕事が遅れても、下描きが終わるまではアシスタントさんを部屋に入れられません。
最近は、デジカメも導入しました。
16.手首サポーター
今の所手首の腱鞘炎とかで苦しんだ事は無いんですが、気が付くと右手首が冷えてる。
描いてて邪魔なので、つい袖をまくってしまうんですわ。袖が擦れて汚れるのもイヤだし。
ピタッとしたサポーターだと、わりと邪魔にならないし、汚れても手洗いもカンタン。
17.道具トレイ
ペンや筆など、細々した物を入れておきます。
それぞれの行程ごとに、必要な道具を入れ替えます。
下描きの時はシャーペンと錬りゴム、ペン入れになったらペンと修正液、というように。
以下は、トレイに入れられる細かい<道具>の説明です。
1.2.シャープペン
3. シャ−ペン芯
0.5mmのシャーペン。
2Bのものを下描きと、原稿に入れるネーム(セリフの文字・印刷では活字になる部分)に使用。
明るいグリーンは印刷に出ないので、鉛筆で下描きする前の大雑把な位置指定や、スクリーントーンの番号指定等に使います。
4.ト−ンこすり
金属製、木製と、市販品は色々ありますが、私はプラスチックが使い易いみたい。
軽いし、適度にしなる所がいい。
片側が尖っていて細かい所用、反対側は平たくなっていて大きい面を擦るのに便利。
定規と同様、透明だと目に入りにくいので、ビニールテープを巻いて見つけ易くしてあります。
5.水性カラーボールペン
描き味がなめらかで指圧がいらないので、プロットやネ−ム描きに使います。
ネームに直しを入れる時は色を換えると分かり易いので、いつも3色くらいは使うかな。
原稿のペ−ジ数や、タイトルの指定等、実際印刷には出ない余白に気分で色を選んで使ってます。
乾くと耐水性なので、修正液も使えて便利。
6.油性マジック
主に書き文字(擬音とか)に使います。
線を早く引いたり、ゆっくり止めたりで表情が出易いのでお気に入り。
時々ギャグ絵も描くし、ベタの塗り忘れをチョチョッと塗ったりもします。
7.8.耐水性ミリペン
仕事中一目で見分けられるように、キャップにビニールテープを貼って太さを色分けしてます。
黄色は1.0mm、ワク線用。
ピンクは0.1mm、フキダシや、回想シーンなんかのワク線に使ったり、細かい書き文字や、背景にも使うお役立ち品。
9.刷毛
消しゴムのカスや、トーンを削ったカスなんかを払うのに使います。
以前は羽根ボーキに憧れて使ってたけど、わりとカスがからまってキレイに掃けない。
100円ショップで見つけた、小さなチリトリ付きの刷毛の方が、使い勝手がいいのでした。
10.錬りゴム
これは昔、美大を目指してデッサンの勉強に励んでいた頃出会ったスグレモノ。
美大は落ちましたが(泣)。
普通の消しゴムのように消しカスが出ないし、繰り返し使っても紙を傷めない。
仕上げで本格的に消す時は普通のプラスチック消しゴムを使いますが、下描きを描き直す時なんかは殆ど練りゴムで押さえて消してます。
ビニョ〜ンと伸びるので、指先でコネコネしてると気分が落ち着く(手がゴム臭くなるけど)し、新しくて白いうちに鉛筆描きの絵にギュッと押し付けるとキレイに反転した絵が写るので、それを伸ばすと面白い顔になります。って遊んでるだけか。
11.12.ペン先
15.16.ペン軸
11、15が丸ペン、12、16はGペン。
おおまかに言うと人物はGペン、細かな背景や効果線は丸ペンで描きます。
私は丸ペンのカリカリした感触が好きでなくて、細かく描き過ぎてしまいがちなのも気に入らず、背景も殆どはGペンで、細部だけ丸ペン使う程度。ちょっと使うと絵が小奇麗に見える。
16のGペンの軸は、握り手がコルク製でその先(赤い部分)に木が継いである物が軽くて持ち心地が柔らかく、お気に入り。売ってるままだと長過ぎて邪魔だし重いので、尻尾を8cm位切り詰めてシャ−ペン位の長さに縮めてあります。
12の丸ペンの軸は、やはり軽い木製。握り手が細くて疲れるので、文具屋で見つけたカバーをはめて使ってます。
13.14.筆
13はベタ用、14はホワイト用ですが、同じ「削用筆」というのを使ってます。
丸ペン軸と同じカバーを使って太くして、やはり長い部分はカットしてます。
ベタ用は、広い面用と細かい部分用の2本。ホワイト用も、すごく細かい、例えばベタの中に髪の線を描く時等のために、もっと細い面相筆も用意してあるんですが、一年に一度くらいしか使わないな。
17.18.カッターナイフ
19. カッタ−刃
主にスクリーントーンを切るのに使いますが、実は背景をコピーして使い回したり、失敗したコマだけ切り取って他の紙を貼る「切り貼り」や、カワイイ包装紙なんかを背景に貼り込んだりと、用途は多い。
普通のカッター刃は角度45度なんだけど、私は30度の刃が小回りがきいて好き。
削るのは45度が楽なので、カッターは2本用意してメインの30度とサブの45度を使い分けてます。
18のカッターが、金属にコーティングしてあるんだけど、持ち手が薄くて軽くてとっても使い易い。
でも一本買って以来売ってるのを見かけないので、こちらをメインで30度の刃を入れて使って、17のプラスチック製をサブにしてます。
20.製図用インク
ベタは墨汁ですが、ペンにはインクを付けて描いてます。
ペンの滑りが良く、乾き易い。
後からホワイト修正ができるように、耐水性。
あ、まさかと思うけど、マンガ原稿は黒一色で描くの、知ってるよね。
21.ポスタ−カラ−白
失敗した時の修正や、ベタの中に線を描く時に使用。
↓の修正液だけでもできない事は無いんだけど、少し面倒な気がしてもポスカラを皿に出して薄目に溶いて使うのが、結局早いし線に強弱も付け易くて、好き。
22.修正液
基本のホワイトはポスカラだけど、修正した上にまたペンで線を描く時は、こちらの方が乗り易くて便利。ペン入れしながら修正できる手軽さもマルです。
道具解説は以上ですが、作業の各行程でも出て来ます。
重複する部分も多いですが、興味のある方は、道具写真のWindowを開けたまま、次ぎへ進んでください。