2003.02.28-03.01

江差線漫遊(江差−木古内)

今、綾小路さんは特急に乗っている。
いつもは各駅停車にしか乗車しないのにである。
実は綾小路さんは以前から江差線の漫遊計画を持っていた。
その計画は次の様なものであった。
すべて青春18きっぷを使用の上、1日目は函館もしくは木古内に行き、次の日に江差線の江差−木古内間の全探索を行う。
そして3日目に札幌に帰還する。
この計画をいつ実行しようかと時刻表を見ていたらいいものを見つけたのである。
函館周遊得割パスポート。
これは札幌から長万部までは特急(列車限定)の普通車指定席が利用でき、 長万部〜函館〜江差(中小国)間がフリー区間として特急の自由席まで利用できるのである。
有効期間は4日間で¥12000。
当初の3日間で¥6900相当、2泊の計画からは少し高いものにはなる。宿泊が1泊増えるし。
しかし1日で江差−木古内間の探索は厳しいものだった。
そのためには木古内に宿泊することが大前提だったのである。
しかし木古内では安い宿を見つける事が出来ず、結局は函館を基点にして行く今回の計画が安上がりだとの結論に達したのである。
工程にも余裕が出来、なんと木古内−函館間も含め江差線全駅を網羅する計画となったのであった。

と言う訳で特急に乗っているのである。

函館周遊得割パスポート 4日間有効 ¥12000

この函館周遊得割パスポートでは行きは早朝の2便または夜の2便から選択することになる。
4日間をフルに利用するため綾小路さんは迷わず始発のスーパー北斗2号を選択。
札幌駅が7時00分発で函館駅に10時11分に到着する列車である。
ちなみにこの列車限定がない函館周遊パスポートという切符もあり¥14000である。
しかし限定されなくても始発に乗っていたであろう。
とにかくお得な切符である。

札幌駅を出発したスーパー北斗2号は現在は架けかえられているだろうが遡れば
明治16年、難工事の末に開通した豊平川鉄橋を越え、函館本線から右に分岐して一路函館を目指した。

しかし特急は快適だ。前回はいつだったかなと思ってしまう。
この快適なところで早速朝食となった。札幌駅で購入した駅弁である。

札幌駅弁 すし処えぞ賞味 ¥920

スーパー北斗2号は苫小牧、東室蘭、長万部、森駅等に停車しながら10時11分に函館駅に到着した。
やはり特急は速い。
これが青春18きっぷ利用だと各駅停車に列車乗り継ぎ等で夕方までに着いたかどうか。

函館駅 写真(左)と(中)では後方に新函館駅の建物が見えている。

函館駅では10時40分発の白鳥18号に乗換え木古内駅を目指した。
ここでも特急に乗車できるのが有難かった。
白鳥18号は函館駅から40分弱で木古内駅へ到着した。
昭和63年まで松前線が分岐していて昔からターミナル駅ではあったが青函トンネルが開通してからは北海道の玄関口である。

木古内駅 写真(中)は津軽海峡線、(右)は江差線の駅名標

綾小路さんは木古内駅から11時33分発の各駅停車に乗換えて、まずは終点の江差駅を目指す事にした。
上磯駅を過ぎトンネルを出ると左手には津軽海峡と函館山が見えてきた。
写真を撮ろうとするがデジカメでオートフォーカスだとタイムラグがありすぎてうまく撮れない。
シャッターを押すたびに電柱が入ってきて邪魔になった。まあいい。ここは明日もあさっても通る。シャッターチャンスはいくらでもある。

列車は山間部を通り、上ノ国駅を過ぎ左手に再び海が見えてきたらほどなく江差駅に到着した。
江差線は上磯線として函館方面から部分開業を続け、昭和10年12月10日に木古内−湯ノ岱間が開業。
翌、昭和11年11月10日に湯ノ岱−江差間が開業して全通、江差線と改称した。
道南地方は本州に近いこともあり北海道の中では歴史が古く、江戸時代に江差には北前船が往来していた。
町内には旧中村家や旧檜山爾志郡役所など歴史的建築物も多い。

江差駅 (中)ここから80キロ、五稜郭まで線路は続く。(右)終点の車止め。

13時08分、折返しの列車で木古内方面に出発する。
昼食は函館駅で購入していたほたて浜焼き弁当である。

函館駅弁 ほたて浜焼き弁当 ¥1050

綾小路さんは今後の予定を確認しようと時刻表を見ていた。
そして上ノ国駅を過ぎると7.5キロの間に駅が4つ並んでいるのに気づいたのである。
徒歩で駅を巡ればこの後の工程が楽になるなと考え出し、計画を練り直し始めた。
そして結局は4つ目の宮越駅で下車したのであった。

宮越駅

宮越駅からは道々を桂岡駅まで2.2キロ。
幸い天気がよく道路の雪もなくスムーズに歩けた。
しかし失敗が発覚したのである。
綾小路さんは現在、宮越駅から江差、上ノ国方面の西に向かって歩いている。
ところが西風が吹いているのである。よーく考えれば風向きは西または北であろう。
風向きまで頭が回らなかったのであった。
逆風を突いて桂岡駅を目指し30分後には到着した。

桂岡駅

桂岡駅の探索を終え次も徒歩。2.1キロで中須田駅である。
歩き出して途中に何やら寂れた建物を発見した。学校だ。いや学校だった建物だ。
張り紙には旧河北中学校とあった。
この学校が廃校になったのか、移転したのかは分らないがここで学んだ生徒がいた事は確かだ。

旧河北中学校

綾小路さんはさらに歩き続け中須田駅へ到着した。
まずは客車タイプの待合室を撮影してホームへ出た。
駅名看板を撮影しようとした処でアクシデント!
ホームから線路に転落してしまったのである。痛い!
左膝を擦りむきGパンが破れてしまった。
カメラは?どうやら無事だ。ほっ。
ローカル線でホームも低く、列車も来ない時間帯なのでこの程度ですんでよかった。
不注意中の大幸い。しかし反省。

中須田駅 写真(右)の前で綾小路さんはホームから転落

膝がひりひりしながら少し休養する。その後15時58分発の上り列車で1駅先の上ノ国駅へ向かった。
時間が少ないのでまずは駅舎を出て表側から見たが立派な建物が建っていた。
しかし出てきた所はその建物の右端の部分であった。
中央部を見ると上ノ国町商工会館の文字がある。
次にホームに戻り辺りを見渡すと使用されていない対抗ホームが目に付いた。

上ノ国駅 (左)駅全景 (中)駅舎部分はその立派な建物の右端部分 (右)対抗ホーム、奥には何やら橋台みたいな突起がついている

綾小路さんは上ノ国駅の探索を終え函館に戻る事にした。
16時27分発の下り列車で木古内駅へ。
ここで乗継ぎ。1時間以上待ってやっと18時38分発の白鳥15号が来た。
これで函館着が19時23分。特急が利用出来ないとさらに20分待ちで函館着はかなり遅れる事になる。有難たや!
綾小路さんの旅は明日に続く。

ではなかった。函館駅前から市電で十字街へ。
そこから徒歩10分。やって来ました。ロープウェイ山麓駅。
実はパスポートに付いていたのである。ロープウェイ往復券の引き換え券が。
と言うわけでやって来ました、函館山。男一人でと言うなかれ。男3人組もいた。まあどっちもどっちか。
しかしそこは綾小路さん。あまり興味はないので滞在10分強。次のロープウェイで降りてきたのであった。
中国地方のJR、第3セクター完乗するのに宮島航路に乗船した時を彷彿したなあ。あの時も宮島滞在30分で引返したっけ。
この後、函館塩ラーメンを食べサウナで夜を過ごした綾小路さんであった。

函館山からの夜景 100万$の夜景だとか、少し分けてくれー。

翌日、朝市で腹ごしらえして函館駅へ向かうと途中で新函館駅が見えてきた。
朝市の中のポスターにも平成15年オープンとあったようにもうすぐ開業である。
しかしこの造りを見ているとどう見ても現駅舎は間違いなく取り壊しだ。
昭和17年12月に完成したこの駅舎の命もあとわずか。残念である。

函館駅(新&現) 駅の西側から撮影、駅前広場は右側に写っている現駅舎の右手側。

江差−木古内間の残りの駅を探索するためにまずは木古内駅まで行く事にした。
7時04分函館発の江差行き上り列車は五稜郭駅を過ぎると昨日通ってきた函館本線を右手に見ながら木古内駅へと向かった。

函館本線分岐

列車は七重浜、東久根別、久根別と住宅街の真っ只中を突き進み清川口、上磯を通過した。
この先、上磯トンネルを通過すると左手には真っ青な津軽海峡が広がる。
それと共に上磯駅を過ぎたあたりからちらほら見えていた函館山が眼前に迫ってくる。
のはずが違ったのである。山側の迂回路線に回り第1矢不来トンネルを通過、続いて第2矢不来トンネルに入った。
そして出口付近で停止。青函トンネルを通ってきた特急列車の通過待ちとなったのである。
えっ、ひょっとして特急じゃないと海側の路線を通過しないの?愕然とする綾小路さんであった。
結局この日も函館山の写真は撮れなかったのである。

列車はその後も走り続けて木古内駅へ到着した。
そこで約10分間停車して、8時14分に再び江差駅を目指して発車した。
発車後すぐ左手には津軽海峡線が本州目指して分岐して行った。

津軽海峡線分岐

木古内駅ではほとんどの人が降りた。
と言うより綾小路さん以外全員であった。
と言う事は乗客は綾小路さんだけと言う事だ。
貸切ー。

列車内様子

木古内駅から2つ目の吉堀駅で綾小路さんは下車。
列車は運転手1人きりで江差へ向かって行った。
ここではホームが島式であったが片面は使用されずに客車タイプの待合室が置かれていた。

吉堀駅 (中)島式ホームの片面に待合室が置かれている。(右)使用されていないホーム

吉堀駅の探索を終え、こんどは9時16分発の下り列車で茂辺地駅まで行く。
青森県には野辺地や瀬辺地と言った駅名があり、綾小路さんは時々こんがらがる。

茂辺地駅

10時40分、綾小路さんは再び江差行き上り列車に乗車した。
列車は木古内駅で20分程停車して先ほど下車した吉堀駅を過ぎると山間部に入っていく。
周辺には集落もなく灌木の中を通り抜けるだけである。ただ道道が右に左になりながら並行して走っている。
しかしディーゼルエンジンがうなりを上げ切り吉堀トンネルを通過してからは道路も離れ人為的な物は線路だけとなる。
しばらくたってようやく人家がまばらに見えたところが神明駅である。

神明駅

神明駅の探索を終えここで昼食となった。
今日も函館駅で購入した駅弁を神明駅の待合室で食べる。

函館駅弁 かに寿し弁当 ¥840

神明駅からは徒歩である。
2.8キロ先の湯ノ岱駅まで行くのである。
しかしここで方向を間違えたらえらい事になる。
反対方向の吉堀駅へは鉄道で13.2キロ。
先ほど通ってきた無人地帯は歩けないので20キロ近くになるだろう。
幸い綾小路さんは方向音痴ではなく、こういう時のために道路地図を携帯しているので大丈夫。
予定通り40分後には湯ノ岱駅に到着した。

湯ノ岱駅

湯ノ岱駅の探索は終了した。
次回はぜひ温泉にも入りたいものである。
ここで13時38分発の下り列車で渡島鶴岡駅まで行く。

渡島鶴岡駅

渡島鶴岡駅の探索で江差線の江差−木古内間の全探索は終了した。
江差線はなかなか乗車する機会がなく、夜間に乗車をして江差まで行った事はあったが昼間に全駅を探索する事ができ大満足の綾小路さんであった。

ここからはまた徒歩で移動する事にした。
木古内駅まで2.3キロ。駅前で少し迂回するため40分ほどで到着した。
木古内駅でしばらく列車を待ち次ぎに綾小路さんが向かったのは知内駅であった。
16時16分発のスーパー白鳥車内で無駄な物を発見した。
なんと前の座席のシートの背もたれにチケットホルダーがあった。
”取り忘れには十分ご注意下さい”とは書いてあるが利用する人がいるのかはなはだ疑問である。

スーパー白鳥車内

スーパー白鳥はあっと言う間に知内駅に到着した。
1日に上下各2本停車のローカル駅?である。
しかし綾小路さん、物好きやのう。
JR駅は立派な道の駅の端っこにポツリ。

知内駅 (左)道の駅 (中)道の駅の左端がJR駅 (右)跨線橋からは青函トンネルの北海道側の出入り口が遠望出来る。

知内駅に乗降するのは一生に一回きりであろう。
帰りの列車なんてもちろん有るはずがない。バスで木古内駅へ行ったのである。

木古内駅ではまた1時間以上の列車待ちとなった。
偶然にも昨日乗車した白鳥15号で、と言うか本数が少ないのでこれになる、で函館に戻ったのであった。
この日も函館塩ラーメンを食べ、この日はビジネスホテルに宿泊した綾小路さんであった。

綾小路さんの漫遊は江差線(木古内−五稜郭)に続く。



江差 上ノ国 中須田 桂岡 宮越 湯ノ岱 ※1


※1 神明 吉堀 渡島鶴岡 木古内 至 函館

中小国

トップ アイコン
トップ
アイコン
鉄道