I  don't  know


いつの間にか当たり前になっている。
人が傍に居てくれる。
その暖かさが伝わる。
その嬉しさ。
その暖かさ。


次第に段々のめり込んでいく。
そうまるで中毒者のように。
















『キィ…』と音を立てながら開く扉。
それには何ら変わりはない。
ただ変わったのは私。
あのとき私は何故OKを出したのだろう。
今になって思う。



そしていつもの様にふろしきを広げお弁当箱を出す。
そしたらきっとそろそろ…
『バンッ!!』
ほら来た。

「待って!!それ俺のおべんとっ!!食べないで!!」

ついフッと笑ってしまう。
なんだか可愛い。
弟がいたりペットが居る人はいつもこんな思いが出来るのだろうか?
だとしたらとてもうらやましい。
こんなに素直な子がいたら…きっと自分だってつい素直になるのだろう。








「はい。今日はケンタのチキンナゲットvv」
いらない。それが正直な気持ちだった。
「なんでそんなに胃にくるやつ?」
「だって実菜穂すごい痩せてるじゃん。」
少しむっとした顔をして言う彼。
そしてハッと気付いた事。
「なんで呼び捨てなの?しかも私年上なんだけど?」
一応言っておく。
だって自分が年下みたいな感じがして悔しいじゃない。
そしたら

「いいじゃん。だってどうせ実菜穂四月一日生まれだろ?俺その次の日だも
ん。」

理由になっているような、なっていないような。
「なんで私の誕生日知ってるの?」
「うん?それは俺が実菜穂をスキだから。」
「ふーん。」
へぇ。と思った。私を人並みに思い、友情感を抱いてくれる人も居たのだと。
「何?その答え?」
なんだか心なしからか不機嫌そう。
ふっと自分の体が勝手に動き彼の頭をぽんぽんと撫でる。
「う〜…。実菜穂ずるいよ。年下扱いして。」
いやそんなつもりは無かったんだが…。
そう心の中で言う。
なんかつい笑ってしまった。
あまりにも愛しく思えてしまって。

「…っ!!」

その途端に真っ赤になった彼。
どうしたんだろうか?
「ごめん!!俺用事思い出した!!」
そう言って『タタタッ』と走って言ってしまった。







そして思う。
いつの間にかこの空間が心地よくなっているのに。
まだ彼と話してからちょっとしかたっていないのに。

そして彼が行ってしまってから不意に襲う寂しさ。
なんなのだろう。
知りたいけど知りたくない。

だから今はこの気持ちに蓋をしておく事に決めた。