I  don't  know



誰も居ない空間。
孤独。

唯一それだけが私に似合うモノ。
唯一それだけが私を飾るモノ。















『キィッ…』
と音を立てながら開く扉。
今日の天気は曇り。
どんよりとした灰色。
私の気分までそうなってしまう。




そしていつもの特等席に『ストンッ』と座る。
そしていつもの様に自分で作ったお弁当を食べようとする。
口に入れようとした瞬間



「いいねぇ。それ美味そうこれあげるからそれと交換ね?」



『ヒョイッ』と、取り上げられた私のお弁当。
その代わりに振ってくるカニコロッケパンとベーコンエピ。
あまりに唐突すぎて一瞬の間固まってしまった。
そして『ハッ』と我に帰る。


「何すんのよ?」


反攻的な目でそいつを見上げる。
見慣れない顔。
こんな奴この学校に居たかしら?

「へぇ?初めて声聞いたよ加里屋実菜穂(かりやみなほ)先輩」

なんだか嫌な感じがする。
なんでそんなに攻撃的な目で見てくるのかしら?
私は別になにもしていないはず。
と言うか初めて喋ったので危害など加えていないはず。

「あなた…誰?」

かろうじて発せた言葉。

「俺?なんで知らないの?学校の中だと結構有名だよ?まぁいいか。桐谷陽(きりやよ
う)。一度で覚えてね?」

あぁ…。そう言えばいたような気がする。
確か委員長だったかな?
委員の集まりの時にいたような気がする。



私とは全く縁の無い人。




「ねぇ。ここの鍵壊れてたよ?先輩が壊したの?」
甘える子供のような喋り方で私に問う。
「そうだけど?それが何か?」
平然を装いながら答える。

「ふーん。いいのかなぁ?俺発見しちゃったよ。ココ。俺が一言言えば先生
達はすぐココ封鎖するだろうねぇ?」

ニヤニヤしながら言ってくる。
「…やめてよ。」
「何かいったか?」
わざとらしく聞き返される。
「やめてよ!!ここは私の大切な場所なの!!」
精一杯声を張り上げて叫ぶ。
視界が揺らぐ。



「わかった。ごめん。…だけとその変わりに条件がある。」




…条件?
脅しかしら?
カツ上げとか?
最低の人間ねコイツ。
「多分お前が考えているのとは違うからな。」
思わずムッとした。
「じゃあなによ!?」








「俺にもこの秘密の場所分けて?」