VO劇場 ─3─
「ねぇ、あんたってさ、わりと平気で人の食べてるものでも食べられるじゃん」
「オーリが食べてるものだったら、口の中からだって平気だよ」
「だよね。あれは、かなり趣味悪いと思うけど」
オーランドは、口のなかで、キャンディを転がしていた。
ヴィゴは、笑いながら、キスをして、オーランドのキャンディを取り上げていく。
「また、する。どうしてそういうことしたがるかなぁ」
「オーリが口を動かしてるのって、とってもかわいいからかな」
「・・・いいけどさ」
オーランドはまた、ひとつポケットから菓子を取り出し、口の中へと放りいれた。
今度はチョコレートのようだ。
「あれ?」
「どうした?」
オーランドの不審気な顔に、ヴィゴが心配そうに覗き込む。
オーランドは、口の中の感触を確かめるように、舌の動きに集中している。
「ねぇ、見てもらってもいい?」
「なに?なにかおかしい?」
オーランドは舌を口から出した。
舌の上には、チョコレートまみれの、グミがのっかっている。
「これは・・・多分、クマかな?クマの形のグミみたいだね」
チョコレートで汚れているだけではなく、形もかなりあいまいだった。
ヴィゴは、首をひねりながら、オーランドの舌の上の物体を眺める。
「クマ?ほんと?」
オーランドは手のなかに、口のグミを出そうとした。
ヴィゴは、止めて、オーランドの口から、直接グミを貰い受ける。
「チョコをもう少し、きれいにしないとわからないよ」
ヴィゴは、しばらく口を動かしたあと、緑色の物体を舌に乗せえてオーランドに見せた。
「・・・くま?物体Xって感じだ・・・」
「ほら、オーリにかえしてやるよ」
ヴィゴは、オーランドにグミを戻そうとした。
オーランドは、のけぞってキスをさける。
「どうして?」
「いや・・・あんたには、わるいけど、俺は、そういうことは・・・」
しかし、ヴィゴは、オーリを拘束して、顔を近づける。
「ちょっと、無理、悪い、無理だって。ごめん。そういうのは、ごめんってば!」
限界までのけぞったオーランドの唇をヴィゴが包む。
「・・・あんた、趣味悪すぎ」
ヴィゴの口の中には、もう緑の物体Xはなく、ただ、気持ちのいい舌が、オーリをからかっただけだった。
ヴィゴはにやりと笑う。
オーランドは、すぐ側にあるヴィゴの足を蹴飛ばした。
END