Part 6 of the Sacred Mother's Ring − The Grand Design

第6章 夜明け (4)




 永遠に続くかと思われた長い時間のあと、突然ビル内のライトが点灯した。部屋の中にいた全員が「うぉ!」「ひぃ!」と大声を上げ、飛び上がったと同時に、今まで暗転していたコンピュータのスクリーンが、再び明るくなった。
『ダンカン・ジョグスレン世界連邦総督!』
 コンピュータのボイスシステムの声が、明瞭に響いた。
「なに? なんだ!?」ジョグスレン総督が机の下から顔を出した。
『停戦を命じてください。戦いは終わりです』
 コンピュータの声が、続けて響いた。
『私、世界連邦を管理するPAXが、あなたに命じます。解放者を追いかけるのは、戦うのはもう終わりにしなさい。彼らと共存するのです』
「なんだと?!」ジョグスレン総督が立ち上がった。
「停戦だと……??」スミソンズも呆然と呟いた。
「おまえは、本当にPAXなのか?」
 机の上においてある端末に、そう問いかける。
『そうです。これが本来の私なのです。今、私はRAYと一つです。彼女のプログラムが私を救ってくれました』
「PAXが……のっとられたのか??」
『のっとられていたのは事実です。しかし、今が本当の私の姿です』
「なに?」
『停戦してください。全兵士に武装解除を命じ、七人の手配を解除してください。彼らは私の解放者です。彼らがその過程で犯した罪は、不問にします』
「……」
『さもなければ、あなた方全員を解任します。私には、その権限があります』
「な、なに?」部屋にいた四人が飛び上がった。
『そしてジャック・スウィートを新総督とし、ヘレナ・パーシスを主席プログラマーに任命します。あなた方は、ただの一職員に降格します。それでも良いですか?』
「ああ……」
 ヴァーノン・スミソンズは不意に全身の力が抜けたようになって、その場に座り込んだ。
「そうだ……本当に、なんと言うことだ。連中はただコンピュータを破壊すればいいだけなのだ。余計な手間をかける必要はない。他の連邦と違い、外の連中を皆殺しにする必要などないんだ。だからビルも無傷だったのか。警戒する我々を尻目に、ゆうゆうと無人のコンピュータルームに飛び込んで、PAXを破壊すればいいだけなんだ。PAXが押さえられてしまったら、我々には何の権力もない……そういうことか」
 そしてこらえきれず、ヒステリックに笑い出した。
『私は壊されてはいません。壊されていたならば、今頃このビル全体が、地下部も含めて、なくなっていたでしょう』
「なんだって?」クラークソンが声を上げている。
『それは最終手段なのです。みなさんがどうしても私に従うのを拒否した場合は、新体制の妨げとなりますから、排除せざるをえません。私が壊れなくとも、起爆スイッチは存在していますので、起動は可能です。それを起動すると、このビルは他と違い、地下部も含めて大規模な爆発が起きます。しかし私も彼らも、その爆発の影響は及ばないところにいますから、みなさんに犠牲になってもらったあとは、私の命令に従う、新しい中枢スタッフを作りましょう』
 しばらく、全員が沈黙した。やがてジョグスレン総督が、ふらふらと立ち上がった。
「私はどうすればいいんだ……?」
『彼らと和解してください。彼らに危害を加えようとするのは止めなさい。私は今後、いかなる殺人も容認しません。逸脱は、多様化の証として歓迎します。それが破壊的なものでない限り、罪には問いません。そして政府上級職のナーサリーシステムを廃止し、精鋭軍を解体して、治安維持軍と合体させます。他連邦はもう精鋭軍はいないので、問題はありません』
「わかった……」
 総督はのろのろと頷き、端末の前に設置されているマイクをつかんだ。
「私は世界総督、ダンカン・ジョグスレンだ。全精鋭軍に告ぐ。武装を解除し、全員宿舎に戻れ。もう戦う必要はなくなった。反逆者は、もう追わなくてもいい。その必要はない。我々は……彼らと和解することにした」
 そしてマイクを置き、部屋に待機した五十人に向かって告げた。
「おまえたちもだ。もう帰っていいぞ」
「総督……?」
 呼びかけたスミソンズに向かって、ジョグスレン総督はいらだたしげに声を上げた。
「他にどうすればいいんだ? PAXに逆らって、どうする? 逆らえはしないことを、おまえも知っているだろう? それともこのビルもろとも、吹っ飛ばされたいのか?」
 スミソンズは何も言えず、口をつぐんだ。
「致し方ないですな……」ジョーンズ総長が肩をすくめる。
「完全に、してやられたな……」クラークソンはため息をともに、首を振っていた。
 部屋に待機していた五十人の兵士たちは、安堵と諦めと、ほんの微かな悔しさの入り混じった表情で、次々と部屋をあとにしていった。
『それでは、彼らと和解してください』再びPAXの声がした。
「和解はしたではないか。武装解除を命じ、追わなくて良いとはっきり言った。まだ不満か?」ジョグスレン総督が怪訝そうに問いかける。
『精鋭軍には、それでいいでしょう。しかし真の和解は、あなたがたが彼らと会って、話すことです』
「奴らと会う?」部屋の四人が、同時に繰り返した。
『そうです。みなさん、護身用の武器は机の上に置いて、このビルの最上階にある、元の総督室まで行ってください』
「移動するのか……ま、まさか丸腰でいる我々を、狙い打つ気じゃないだろうな?」
 ジョグスレン総督はおどおどと呟き、
「可能性はないともいえないですが……」
 スミソンズも気遣わしげに首を振る。
『部屋のロックは解除しました。移動してください』
 PAXの声には、議論の入る余地はなかった。
「いたしかたあるまい……」
 四人はため息をつくと武器を置き、エレベータを使って、地下一階の暫定総督室から本来の場所、最上階の総督室へと向かった。そこには移転する前の設備が、そのまま残されている。
『それでは、部屋の中央にお進みください』
 そこにある端末から、PAXの声が命じた。
 四人は不安げな顔を見合わせ、そろそろと部屋の中央へ踏み出していった。

「時間だね、行こう」
 アレイルは仲間たちを振り返った。
「あー、なんか緊張するよなぁ」
 リンツが再びぶるっと震える。
「大丈夫よ。でも一応あなたがたは、後列にいたほうがいいわね。あなたとミルトとシェリーは」エマラインは少年の手を取った。
「世界連邦中枢と、ご対面か。たしかに少々緊張するな」
 ジャックもかすかに苦笑いを浮かべ、肩を上げ下げした。
「まだ部屋に敵が残っている可能性はないの、アレイル?」へレナが問いかける。
「大丈夫。もう護衛の兵士たちは宿舎に帰っていった。部屋はロックされているし、あの四人も武器は持っていない。それに、もう総督によって武装解除が命じられているからね。事実上、もう終わったも同じだよ。僕らの……勝利だ。でもできれば、お互い納得の行く形で終わらせたいんだろう。ピエールたちも、それから僕らも……」
 アレイルは屈みこみ、ミルトの両手を軽く握って続けた。
「いいかい、ミルト。これから別の部屋に移動するけれど、そこのおじちゃんたちに攻撃しちゃ、だめだよ。おとなしくして、お姉ちゃんと遊んでいてほしいんだ」
「うん」ミルトは無邪気に言い、シェリーも「任せて」と頷く。
「んじゃ、行くか? いよいよご対面だ」リンツが一同を見回した。

 世界連邦総督室は、格段に広い部屋だった。一方の隅に大きな木製の机があり、その上に端末が乗っている。部屋の中央に置いてあるソファの前に、四人の男が立っていた。世界連邦総督ダンカン・ジョグスレン、第一連邦総長ハリガン・ジョーンズ、世界連邦主席プログラマー、ヴァーノン・スミソンズ、第一連邦主席プログラマー、カートライト・クラークソン。アレイルにとっては精神的な目で幾度となく見ている顔だが、ほかの六人にとっては、見覚えのあるのは総督くらいだろう。
 四人は七人が目の前に現れると、一瞬びくっとしたように小さく飛び上がった。そしてそのあと、まじまじとこちらを見返してくる。最初に口を開いたのは薄色の髪の主席プログラマー、スミソンズだった。
「実際に見るのは初めてだが……こうして見ると、本当に子供だな……二人はともかく」
 そうして彼は、アレイルに視線を移した。
「二号……いや、アレイル・ウェイン・ローゼンスタイナー。おまえはもう少し老獪な印象を持っていたが、若いんだな。年齢からすれば十八なのだから、当然なのだろうが」
「十二月には十九ですよ。ミスター・スミソンズ」
 アレイルはかすかに頭を振って答えた。
「どちらにしろ、たいして違わない。十八、九歳など、私の感覚では小僧っ子だ。だがそんな奴らに世界が転覆されるとは……若造に、女に、子供に、赤ん坊まで……たった七人の勢力に、世界が転覆されるとは」
「よりよい世界になるなら、転覆する価値はあるんだと思います。元々あるべき姿に世界連邦を戻したのだから、転覆というのも正しい言葉かどうか、僕にはわかりません」
「おまえらは……何が望みなんだ?」
 ジョグスレン総督が、そこで口を開いた。
「権力なのか? 私の次の総督はそこにいる六号、通称ジャック・スウィートとやらだというが」
「お、俺が総督だと?」ジャックが仰天した面持ちで目を白黒させた。
「冗談じゃねえ。そんな役はまっぴらごめんだ!」
「六号は、つなぎだろう。おまえが成人したら、次の総督になるつもりなんじゃないのか、ローゼンスタイナー」スミソンズが冷ややかに言う。
「僕も、そんな役はやりたくないです」アレイルは苦笑して首を振った。
「では、何が望みなんだ」総督が重ねて問いかけた。
「僕らは、僕らが自由に生きていける世界が欲しかった。それだけなんです」
「それだけか? 本当に、それだけなのか?」
「いや、僕らだけでなく、みんなが自由に生きていける世界が欲しかった。狂人の悪夢が作り出したこの世界を、元の世界連邦に戻したかったんです」
「おまえは、偉大なソーンフィールド総督を、狂人と呼ぶのか」
 四人の顔は怒りと当惑に染まっていた。
『ソーンフィールドは狂人です。私を乗っ取った恐るべき人間です。私もそう認識します。ですから不敬ではありません。事実です』PAXがそこで介入した。
「考えてみてください。この六百年の間、世界連邦は発展したと言えますか? 無気力に眠っていただけだった。そんな社会は死んだも同然です」
 アレイルはそう言葉を継いだ。
『彼の言うことは事実です。この六百年間、世界連邦の人口は二割も減少し、社会生産率は恐るべき低レベルにとどまったままで、新しい発明も研究も、何もなされなかった。科学レベルは逆行したとさえ言えます。恐るべき怠慢です』PAXもそう補足する。
「世界連邦は……しかし、安定してきた」スミソンズは反論した。
『安定は、やがて停滞をもたらします。そして停滞は、やがて衰退をもたらします。今の世界連邦は、まさに衰退フェーズの只中にいると言えます』
 PAXのボイスシステムは感情を交えない声であるにもかかわらず、断固として響いた。
『世界連邦は大きく刷新しなければなりません。元のあるべき姿に。ソーンフィールドが改竄した様々な悪法を白紙に戻し、本来のプログラムに戻さなければなりません。それに同意いただければ、みなさんの地位はそのまま継続を保証します』
「私はまだ、世界連邦総督でいられるのか?」ジョグスレン総督が叫んだ。
「私は世界連邦最後の総督として、汚名をさらさなくてすむのか?」
『むしろ改革の総督として、名誉を残すでしょう』
 PAXの声は相変わらず何の感情もあらわさないが、総督の耳には誇らしげに聞こえたに違いない。
「おお!」総督は感極まったような声を上げていた。
「それならば、私はおまえに従うぞ、PAX。元々そうだったようにな」
「私も従います」ジョーンズ総長が続いて言った。
 スミソンズとクラークソンも顔を見合わせ、共に同意した。そしてスミソンズは七人を正面から見据えたまま、口を開いた。
「私は、まだ納得はしていない。悔しい気持ちの方が強い。だが……ほかに致し方なかろう。それに新しい世界とやらが本当にそれほど居心地のいいものなのか、見てみたいという気持ちもあることは事実だ。もしそこが今より居心地が悪くとも、ほかにどうしようもないがな」
「よかった……」アレイルはほっとしたように息をついた。
「僕らは、あなたがたを殺したくはなかったですから。本当は今までの連邦でも、総長や精鋭軍、上級職のみなさんを殺したくはなかったんです。ほかに手段があったら、回避したかった。今さら言い訳に聞こえてしまうことは、わかっていますが」
「本当に言い訳だな」クラークソンが苦笑し、そして言葉を継いだ。
「だがまあ、こうなった以上、おまえらの勝ちだ。私たちは生かしてもらったことを、ありがたく思うべきなのだろうな。おまえたちは、何が望みなんだ?」
「普通の市民として生きたい。好きな道に進んで、好きな人と結婚したい。それだけです。ああ、それと、ジャックとヘレナを通称ではなく、正式な名前にしてください」
 アレイルの言葉に、全員が頷いた。
「それだけなのか?」
 ジョグスレン総督が信じられないように聞いてきた。
「それだけです」
「権力や富は、いらないのか?」
「経済的に豊かになるのはありがたいですが、みなが一緒に豊かになるのが理想だと思います。権力は……あまり魅力を感じません。理不尽な権力を押しつけられた時に抵抗できる力があれば、それで十分です」アレイルは首を振り、静かな口調で答えた。
 ジョグスレン総督とジョーンズ総長は、理解できない異人種を見るような目になっていた。しかし彼らとてまた、権力を持っているように見えて、実はPAXに従うしかない己に気づいていないし、それで満足してもいるのだろう。
『結婚システムに関しては、早急に改善しなければなりません。それから各連邦に暫定でたてた新総長から、素養のある本物の新総長を選ばなければなりませんね。忙しくなりますよ、みなさん』
「わ、わかった」総督、総長は、あたふたとした様子で、頷いている。
 ジョグスレン総督は七人に向き直った。
「おまえたちの要望は、わかった。それなら簡単に叶えられるだろう。第一連邦でも、おまえたちに対する停戦、和解命令が出た。治安維持軍にも、それは伝わるだろう。望み通り自由だ。おまえたちの市民権はPAXが管理するのだから、どこの連邦のどこの都市でも、望みの市民権を作ることが可能だ。六号七号の名前も通称ではなく、正式登録されるだろうしな。私も、いつでも署名する用意がある」
「ありがとうございます」
 アレイルは黙礼し、ほかの五人も同様にした。
「ただ、一つだけ要望があるのだが」スミソンズが言い出した。
「あまり特殊能力を表に出さないでもらいたい。とりわけ、一般市民の前では。特に念動や瞬間移動は、あまりに奇異だ」
「わかっています。僕らもこれからは、極力能力は使わないで生きていきたいです」
 アレイルは頷き、仲間たちを見やった。
「ああ、おれもこれからは極力足を使うぜ。まあ、今までもそうしてきたが。もう瞬間移動なんて、よっぽどせっぱ詰まってなきゃ、使う場がなさそうだしな」リンツは苦笑し、
「できるだけミルトがやたら力を使わないよう、気をつけるわ。今までもそうしてきたけれど。ミルト、いいわね。もう物を力で壊したり、動かしたりしたらだめよ」と、シェリーは、まじめな顔で弟に言い聞かせる。
「えー、つまんないの」ミルトは不満そうだ。しかし六人で協力して、根気よく注意して直していくしかないだろう。

『それでは解放プログラム、フェーズ2に入ります』
 遠くで、ぱちっと小さな音がした。やがて部屋にいた全員が変化に気づいた。都市のドームのつなぎ目を覆っていた透明プラスティックの帯が壁部分に巻き取られ、そこからゆっくりと開いていっているのだ。
「な、なんだ?」
 体制側の四人は驚いたように、一斉に窓に駆け寄った。
「ド、ドームが……」ジョグスレン総督が詰まったような声を上げた。
「開いたら……外敵にさらされないのか?」スミソンズが不審げに呟く。
『今は外敵などいません。外気にはさらされますが、それは害にはならないでしょう。ただ空調や服飾システムを合わせなければなりませんので、そちらの整備も急ぎましょう。他連邦では時差との調整がしばらく大変でしょうが、すぐに適応できるはずです』
 PAXの言葉に、四人は顔を見合わせ、戸惑い気味に頭を振っていた。
 
「空よ……」エマラインは歓喜を押さえきれず、呟いた。
「本物の空よ……」
「わぁ、きれい」
 シェリーが声を上げ、みなは声もなく見つめた。
 空は薄い紫がかった青に染まっていた。やがて彼方の地平線に光が差し染め、ゆっくりと下の方から、オレンジ色の混じった光が世界を照らしていった。
「夜明けだ……」と、アレイルは言い、
「夜明けね……世界の」エマラインも繰り返す。
 窓から見えるビルの群が、だんだんと明るくなっていく太陽の光の中、薄い影のコントラストを落としていた。自然の中で、いく度も夜明けは見てきた。しかし都市の夜明けは初めてだ。それは人工光の中、あっけなく明るくなる朝とは比べものにならない強い印象を、みなの心に刻みつけたようだった。
(世界が目覚めたのね、永い眠りから……悪夢から……)
 エマラインは頬に伝う涙を感じながら、そう思った。勝ったのだ……終わったのだ。終わりはあまりにあっけなく、にわかには信じられないほどだったが、第一連邦戦は敵味方双方に、誰も犠牲者がなく終わらせることができた。戦いに勝利するたびに感じていた心の痛みを、最後には感じずにすんだ。
 世界連邦中枢の四人は、反対側の窓に立って、珍しそうに外の景色を見ていた。彼女の力は、四人の心の動きを感じていた。四人とも今までの価値観を捨てることに抵抗は覚えていたが、それでも現状を受け入れていることだけは感じ取れる。これからの新しい世界が、さらに彼らをも変えていくだろう。この夜明けの光景が、少しではあるが、彼らの心にも奇妙な感銘を残したように。この三ヶ月近い戦いや犠牲、その葛藤や緊張が、彼らの心に停戦を受け入れやすくしたのかもしれない。
 エマラインは夜明けの空を眺めた。新しい世界に立てた。誰も失うことなく。その歓喜の思いに浸りながら。アレイルが手を伸ばし、エマラインの肩を抱いた。エマラインは軽く身をもたせかけ、お互いの思いに聞き入った。ジャックとヘレナもお互いの背中に手を回し、窓の外を見ている。その後ろでリンツとシェリーが照れたような、からかうような笑みを浮かべて顔を見合わせ、ミルトは窓に張りついて、昇っていく太陽を見ている。いつも朝早くは寝ていることが多いので、やはり珍しいのだろう。
「あさなの?」
 ミルトは振り返って聞いた。
「そうよ。新しい日が明けたの」
 エマラインは答えた。万感の思いを込めて。そして、ここからつながる未来へと、思いをはせて。

【 第6部 終 】




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