熊本市からすぐ。家族で登れる【尾ノ岳(1041m)】

1995,05,14更新

『尾ノ岳』の地図と案内

 
尾の岳の地図 『尾ノ岳』(1041m)

尾ノ岳は阿蘇を環状に取り巻くカルデラ地形の特徴である『阿蘇外輪山』の北西の一角にある山である。この山の頂上には一等三角点があり周囲からもよく目立つ山である。もちろん、山頂からの展望も360度で手軽な割には眺望のよい山である。

ところでこの山に登るには注意が必要である。よく下調べをしないと、登山者は間違った”オノダケ”に登ってしまうことになりかねない。というのは、すぐ隣に同一の山名の山があるからである。普通の地図には載っていないがそちらは『斧岳』と表記し、音は全く同じである。左の地図に参考までに位置を記しておいた。本編で述べる尾ノ岳は熊本市から出かけていくと、左手に見えてくる方である。

外輪の高原地帯から見上げる尾ノ岳は単なる草つきのピークであるが、外輪の平坦部の標高が1000m近いために結構標高があって、1041mである。すぐ下を道路が上津江村に向けて通っているため登るのは容易で、ホントにあっと言うまである。ドライブがてらに登って眺望を楽しむのにはよい山である。

5月3日(晴れ)

今回は、家族で南小国へ出かける途中で一登りといった風に、昼食をとるために『尾ノ岳』に足を運んだ。

朝早々に起床し、連休中を友人の家族と阿蘇の南小国町で過ごすために、昼食用のサンドイッチを準備して熊本市の自宅を10:30に出発、熊本空港の横を抜けて一路、『尾ノ岳』をめざす。子供たちは、これからの連休に車の中ではしゃぎ回っている。本当に子供というのはなにをするにも120%エネルギ−全開でうらやましいことである。
車は順調に大津町を抜けていく、途中、大津町内を通って阿蘇へ抜ける国道57号線とクロスしたが ものすごい大渋滞である。当方は地元の利で抜け道を多数知っているのでそれには巻き込まれずにスイスイと走れる。”みなさん頑張ってね”と思わず心の中でつぶやいてしまう。
自宅から約1時間でミルクロ−ドに入る、車窓には今を盛りの色とりどりのつつじの花が流れていく。 このあたりで友人と無線で連絡が取れる、あちらは今家を出たばかりで、後から追っかけるとのこと。本当に子連れの移動は大変である。尾ノ岳で昼食をとる旨を伝え、落ち合う場所を指示し、ミルクロ−ドをひた登る。途中、二重の峠をすぎたあたりから、草原の中にぽつぽつと黄色い小さな花が咲いているのが見えてくる、阿蘇の春の顔の一つ、黄スミレの群落である。野焼きが終わり黒々とした草原を春の息吹とともに 黒地に黄色といったものすごいコントラストで染め上げていく。最盛期には、草原が黄色の絨毯となり、息をのむばかりである。
的石の展望台をすぎるあたりでは空の上に気持ちよさそうにバラグライダ−が浮いている、あれも機会があったら一度やってみたいものである。

ミルクロ−ドが菊池阿蘇スカイラインと交差したところから左折する、今日は久住方面へと右折していく車が殆どで、なんだか変な気になる。左折をして、ものの1Kmも行かないところに菊池スカイラインの料金所があるが、今回はその直前を上津江村方面に右折する。ここの角には、熊本県の草地畜産試験場があり、阿蘇の酪農などの研究をやっている。そういえば、阿蘇は昔は鬱蒼とした森林で覆われていたものが、人の酪農のために開墾されてこのような美しい草つきの草原になったということであり、人の力の大きさにはびっくりさせられる。

試験場の角から3Kmほど行くと、道が下りこみになるところで左手に砂利の大きな広場が見えてくる。この広場が、目指す『尾ノ岳』の登り口である。家を出てから1時間と45分の行程であった。車を広場の最も試験場よりに止めると、家族そろってわいわいと登山開始だ。
広場の左手、試験場よりの角の小さな数本の杉の木の一本に【尾ノ岳登山口】のオレンジ色の道標が打ち付けてある。その横を頂上目指して一直線に登る。周囲にはアシビが咲いている、平地ではもう終わっているので、やはり山上である。家族そろって、15分もわいわいと登っていくとあっと言う間に頂上であった。一番下の貴美香も駆け上がってきて、ちょっとだけハアハアいっている。あっけないものである。

しかし、頂上からの眺望はすばらしいものであった。北側には遠く玖珠の万年山(はねやま)が望め、 すぐ眼下には上津江のサ−キット場が一望の下である。東に目を転ずれば、久住の山並みが足下から続く高原の雲の上にどっしりと腰を下ろしており、南には近景に阿蘇五岳とカルデラ、遠景に祖母山群を配して、 まさしく絵のようである。早速景色を肴に昼食をとる、ビ−ルでもと行きたいところだが今日は先があるのでやめにした。残念至極であった。

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