貸冷凍コンテナから14体の凍死体が発見されたのを契機に、同じ状況下での死体発見が続きます。連続殺人事件の捜査を外され、合同捜査班に派遣されたクロハは、暴力刑事の噂のあるカガの下で捜査に当たるが、クロハを目の敵にするカガとことごとく対立する。
機動捜査隊に所属する女性刑事“クロハユウ”を主人公にする警察小説で、第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作です。
女性刑事といえばすぐ頭に思い浮かべるのは、誉田哲也さんの「ストロベリーナイト」等の主人公・姫川玲子。姫川は警部として班長という立場にありますが、クロハは刑事になったばかり。美人という点は共通していますが、姫川が感情を露わにするタイプに対し、クロハは冷徹な印象を周囲に与えます(実際はそうではないようですが)。さらに、姫川については、刑事になった経緯も描かれ、人間味を感じられるのですが、クロハについては、あまり掘り下げて描かれていないので共感を持てません。それは、作者が一貫して登場人物の名前をカタカナ表記しているせいもあるのかもしれません。今のところは、僕としては姫川に軍配が上がります。
クロハばかりでなく、他の登場人物も名前がカタカナ表記になっているのは、作者としての何らかの意図があると思うのですが、このあたりはよくわかりません。
後半に入ると、事件がいっきに動き、意外な事実が明らかになっていきます。怒涛の展開にページを繰る手が上まりません。ただ、あまりにすべてに繋がりがあったことが、ちょっとご都合主義的だと気になりますが。 |