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結城昌治の本棚

  1. エリ子、十六歳の夏
  2. 暗い落日

エリ子、十六歳の夏 新潮文庫
 失踪した16歳の孫娘、エリ子の行方を追う祖父の田代を主人公とする5編からなる連作短編集です。
 結城氏といえば「暗い落日」、「公園には誰もいない」、「炎の終り」と続く私立探偵真木シリーズが有名ですが、この作品もハードボイルド風味が漂った作品です。田代は元刑事、定年退職まで勤め上げず、中途でドロップアウトをしたようなのですが、その理由は明らかにされていません。そんな祖父が昔取った杵柄というわけで、家出した孫娘を捜すわけですが、孫娘の行く先々で殺人事件が発生します。最後にエリ子が家出した理由が明らかにされますが、そこから家族が果たして再生していくのかは物語の外の話となります。
 キティーというエリ子の友人が出てきますが、ほとんど姿を見せないエリ子をしのぎ、田代と共にこの作品のメインキャラクターというべき、とてもかわいい女の子です。
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暗い落日 講談社文庫
 探偵真木シリーズ第1作です。今、日本の私立探偵小説といえば、原ォさんの「沢崎シリーズ」ですが、この作品は、講談社文庫に入った際に、原さんが解説を書いたことから、ふと手に取った作品です。
 私立探偵の真木は、ある金持ちから家を出たまま帰ってこない娘の捜索を依頼されます。真木が捜索で歩いた先には、娘が立ち寄った形跡がみられ、そしてそこには血の跡が・・・
 家族の悲劇ということからはロス・マクドナルドっぽい感じがします(本人はメイン・トリックはロス・マクの「ウィチャリー家の女」に対する不満から着想したものといっていますので、雰囲気が似ていると言われるのは嫌でしょうが)。
 発表されたのが1965年ということですので、古さを感じることは仕方ありませんが、各種のベストにも名を連ねているようにハード・ボイルドとしては今でも十分おもしろく読むことができます。
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