失踪した16歳の孫娘、エリ子の行方を追う祖父の田代を主人公とする5編からなる連作短編集です。
結城氏といえば「暗い落日」、「公園には誰もいない」、「炎の終り」と続く私立探偵真木シリーズが有名ですが、この作品もハードボイルド風味が漂った作品です。田代は元刑事、定年退職まで勤め上げず、中途でドロップアウトをしたようなのですが、その理由は明らかにされていません。そんな祖父が昔取った杵柄というわけで、家出した孫娘を捜すわけですが、孫娘の行く先々で殺人事件が発生します。最後にエリ子が家出した理由が明らかにされますが、そこから家族が果たして再生していくのかは物語の外の話となります。
キティーというエリ子の友人が出てきますが、ほとんど姿を見せないエリ子をしのぎ、田代と共にこの作品のメインキャラクターというべき、とてもかわいい女の子です。 |