若竹七海さんのデビュー作品です。
建設コンサルタント会社で社内報を編集することになった若竹七海(著者名と同じです)。この作品は、毎月その社内報に掲載されることになった短編小説(七海の先輩から紹介された匿名作家によるもの)から成り立っています。各編の前にはその月の社内報の目次が掲載されているという、しゃれた(!)作りです。各編は日常の謎あり、ホラーありという、ちょっと内容的にはバラバラですが、その中で、ある一言によってそれまでの世界が反転してしまう、12月の「内気なクリスマス・ケーキ」が好きです。最後に「ちょっと長めの編集後記」と「配達された最後の手紙」でそれまでの短編小説に隠された謎が明らかとなります。思うに、僕はこの作品で連作短編集のおもしろさを知ったのかもしれません。 |