時をかける少女 |
角川文庫 |
中学生の芳山和子は、放課後の科学室で不思議なラベンダーのにおいをかいで意識を失い、それ以後彼女はタイム・トラベルの能力を身につけることとなる。
これは、いわゆるジュブナイルである。僕がこの小説を知ったのは、中学生のときにNHKで放映していた少年ドラマシリーズの「タイム・トラベラー」の原作としてであった。確か土曜日の夕方だったと思うが、時間になると、テレビの中には扉が開き中には顔の見えない男が座っている。そして、男が様々な不思議な現象を話すとあの独特の音楽が流れ出す。僕と同じ年代の人ならあの当時、この少年ドラマシリーズには夢中になったのではないだろうか。角川文庫版とは違う鶴書房盛光社(?)とかいう出版社からの本を持っていたのだけど、10年ほど前に家を建てる際に捨ててしまった。 |
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家族八景 |
新潮文庫 |
人の心を読むことができる超能力者七瀬を主人公にした短編集。この作品はお手伝いとして働く七瀬を通して世間一般の人々の心の奥底を描いており、迫害される七瀬たち超能力者の戦いを描いた続編の「七瀬ふたたび」よりSF色が薄い。 |
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七瀬ふたたび |
新潮文庫 |
七瀬シリーズの第2弾。
人の心を読むことができる超能力者七瀬は、超能力者だと人に知られるのを恐れて、今までやっていたお手伝いの仕事をやめて旅に出る。旅の途中汽車の中で同じテレパシーの能力を持ったノリオという子供に出会うほか、予知能力、テレキネシス、時間遡行の超能力を持った人たちと出会う。そして、そんな超能力者を抹殺しようとする集団が七瀬たちを追ってくる。前作と大きく異なりSF的要素が前面に出ている。超能力を持ってしまったということで、それを持たない人から憎まれる彼女ら。最後は涙が出ずにはいられない。 |
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エディプスの恋人 |
新潮社 |
七瀬シリーズの第三作目。テレパスである七瀬が勤務している高校で不思議な事件が起きた。その事件の中心人物である少年について探るうちに、七瀬は巨大な「意志」の存在に気づく。
おかしいなあ。前作「七瀬ふたたび」のラストで七瀬は○○○のではないのかなあ。いつの間にか高校に勤務しているのだろう。疑問が明らかにならないまま、何ごともなかったかのように物語は始まっていく。あれれ、いったいどうなっているのだろうと思いながら読み進めると・・・。最後に全てが明らかになる。「家族八景」では日常の物語だったのに、シリーズが進むにつれ、次第に日常とは関係ないテーマとなってきている。 |
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ロートレック荘事件 |
新潮社 |
ロートレックの絵画が多く飾られていることから、「ロートレック荘」と呼ばれる洋館に集まった美しい令嬢たち、青年たち、そしてその親。様々な思惑が交錯する中、二発の銃声が・・・
映像化が無理な作品といえば、この作品が1番だろう。それだけでなく、こうして感想を書くこと自体ネタばれになる恐れがある作品である。読んでいて確かに何かへんだなあと思う箇所はあり、いろいろなところに作者は手がかりを残しているが、僕自身は残念ながら最後まで作者の仕掛けた謎が分からず、読んでいて頭に描いていた映像と、最後の種明かしが全然違っていた。さすが筒井康隆である。 |
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