(ちょっとネタばれ)
大量破壊兵器の衰退に伴い台頭してきた近接戦闘兵器体系・機甲兵装という軍用有人兵器が犯罪者たちにも使用されるに至り、警察は警視庁内に特捜部を設立し、「龍機兵(ドラグーン)」という最新式の機甲兵装を導入、搭乗要員として、寡黙な元モスクワの警官、ユーリー・オズノフ、常に冷静で感情を出さない北アイルランドIRFのテロリスト、ライザ・ラードナー、白髪で軽い雰囲気の日本人の傭兵、姿俊之を雇い入れる・・・。
シリーズ3作目の「機龍警察 暗黒市場」でこのミス第3位、吉川英治文学新人賞を受賞し、そのシリーズの評判がいいのは知っていましたが、SFロボット小説だろうと思って、食わず嫌いで今まで手に取りませんでした。今回ちょっとしたきっかけで読み始めたら、機甲兵装同士の戦いは最初と最後くらいで、あとは、登場人物がそれぞれ抱える過去や犯人を追う特捜部員の捜査、そして特捜部を嫌悪する警察内部の争いが描かれるなど、警察小説として十分読み応えがありました。
姿ら3人の搭乗員だけでなく、外務官僚でありながら特捜部長となった沖津、さらには各地の警察から特捜部にピックアップされた夏川らの刑事のキャラも個性的で読んでいてわくわくします。ページを繰る手が止まらずいっき読みです。
今回外国の地で傭兵として働いていた姿の過去は描かれていましたが、ユーリがモスクワ警察を追われた過去や、ライザのテロリストとしての過去、そして今回描かれた事件の真相は明らかとされていません。次作に期待です。
龍機兵の説明でカタカナ語が多くて、頭の中で龍機兵のイメージを思い描くことができないという点はオヤジだからしょうがないか。 |