30代にして定職を持たない猿渡と「伯爵」と渾名される怪奇小説家のコンビを主人公とする7作からなる連作短編集。こうした趣の作品はホラーと言っていいのでしょうか。
僕自身はあまりホラー作品というのは読まないのですが、「このミス」で割と評判が良かったので、購入した作品です。表題作は誰でもわかるように、ポーの「アッシャー家の崩壊」からとられているのでしょうね。
二人とも無類の豆腐好きというのが、ホラーの主人公には似合わない気がするのですが、作品の内容はどれも読んでいて怖さがじわりとくる感じです。特に最初の「反曲隧道」は猿渡と伯爵との出会いから始まる僅か6ページの掌編ですが、最後のラストの恐怖は見事です。
※ 文庫化にあたって「超鼠記」が加えられ、8作となっています。収録作品を1作増やすなんて、文庫も買えと言っているようなものです。ハードカバーの際におもしろくなければ買わなかったのですが・・・。集英社さん、やることがきたないぞ!と思ってしまう僕です。 |