第10回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞作です。
母が自殺し、その後父と結婚した義母は現在離婚係争中で、父親とニ人暮らしの光一。ある目、愛犬が殺され、光一は、父親が犯人だとして、司法試験合格を目指している敦の力を借りて父親を民事訴訟で訴えます。訴訟能力のない光一の代理人には父と離婚係争中の義理の母親に依頼というウルトラCを使い、前代未聞の裁判が始まります。
親子や兄弟の間だって理解し合えないことはあるだろうし、現に遺産相続で兄弟等が争って裁判になるケースもあります。でも、今回は父親を訴えたのが中学生の子どもですから尋常ではありません。彼がなぜ訴訟という手段に訴えたのか。ちょっとコミカルな題名からは窺えない事実がその裏側に隠されていたのが明らかになるのは物語の後半です。
ライトノベル感覚で読み始めたときには想像もできない、あまりに重い本でした。 |