竹内真のデビュー作にて、小説すばる新人賞受賞作です。デビュー作ですが、次の作品も読んでみたいと思わせる出来になっています。
前座の落語家、自主制作映画の監督、目のでない劇団俳優、修行中のフリーライターという、まだ、世間で一人前と認められていない4人の男女が、本物の拳銃を拾ったことから始まる物語です。4人とも人生に今ひとつ伸び悩む部分を抱えていたのですが、拳銃を拾ったことをきっかけにそれぞれ成長していくというストーリーです。最後に拳銃を巡る争奪戦があったりするのですが、それほど深刻な書きぶりではなく、拳銃という小道具を使いながらサスペンス、ハードボイルドとは異なる4人の成長記とでもいう話となっています。
「粗忽拳銃」というのは、もちろん作品中にも出てくる落語の「粗忽長屋」から取ったのでしょうが、題名からも深刻さは感じられませんね。それにしても、「寿限無」から「銃ゲーム」とはよく考えたものです。 |